モラハラの被害にあったときの対応方法・離婚できるか
ざっくりポイント
  • モラハラとはどのようなものか・対応方法
  • モラハラで離婚ができるか
  • モラハラを立証するための証拠

目次

【Cross Talk 】モラハラでもう限界!離婚できますか?

夫のモラハラにもう限界で離婚したいと思っています。モラハラでも離婚はできますか?

夫が離婚に同意しない場合は調停・裁判をすることになるのですが、離婚原因である民法770条1項5号所定の「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたり得るといえます。

そうなんですね。詳しく聞かせてもらえますか?

モラハラでも離婚ができることがある!被害にあったときの対応方法を知っておこう

夫婦間でモラハラ(モラルハラスメント)が行われることで夫婦関係に亀裂が入ることがあり、「パワハラ」との違いや、具体的にはどんな行為がモラハラなのかなどが取り上げられます。
この記事ではモラハラをされた場合の対応方法や立証方法について解説いたします。

モラハラとは

知っておきたい離婚のポイント
  • モラハラとは
  • パワハラとの違い

私はなんとなくモラハラと呼んでいますが、そもそもモラハラってどんな行為のことを言うんですか?

モラハラとは、倫理や道徳に反する形で精神的な嫌がらせをする行為全般をいいます。

まずモラハラとはどのようなものでしょうか。

モラハラ(モラルハラスメント)とは

モラハラとは、モラルハラスメントを省略したもので、倫理や道徳に反する形で精神的に嫌がらせをする行為全般をいいます。
モラルは倫理や道徳を指す言葉で、ハラスメントが嫌がらせのことをいい、これらを合わせた造語がモララルハラスメントです。
一番イメージしやすいのは暴言ですが、強い言葉ではなくても嫌みや精神的に不快に思うことを言うこと、また、無視のようなものを含みます。

パワハラとの違い

モラハラと似た言葉にパワハラというものがあります。
パワハラとはパワーハラスメントを省略したもので、職場において職務上の地位における優位性を背景に、業務上の適正な範囲を超えて行なう精神的・身体的苦痛を与える行為または職場環境を悪化させる行為をいいます。

パワハラについては、職場において上司という立場を元に行われるもので、夫婦間の問題とはその本質を異にします。
なお、モラハラは夫婦間でも行われますが、たとえば職場の同僚に対して、精神的な嫌がらせ行為が行われるなど、職場でも問題となります。

モラハラの具体例

夫婦間におけるモラハラの例しては

・相手を貶める言動をする
・強い言葉を使った暴言を吐く
・異様な束縛を行なう
・何もしていないにも関わらずにらみつける
・理由もなく不機嫌な振る舞いを行なう
・無視をする

といったものがあります。

モラハラは夫から妻、妻から夫の双方で問題となります。

モラハラをされた場合の対応方法

知っておきたい離婚のポイント
  • モラハラをされた場合の対応方法としては損害賠償を請求・離婚をする
  • モラハラも夫婦関係が破綻するに至れば「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」として離婚原因になり得る

モラハラをされた場合に離婚は可能でしょうか。

夫婦関係が破綻するに至っている場合には可能でしょう。モラハラをされた場合の対応方法と一緒に検討しましょう。

モラハラをされた場合の対応方法にはどのようなものがあるでしょうか。

慰謝料を請求する

モラハラも程度がひどくなると看過できない精神的苦痛となり、慰謝料請求が可能です。
また、モラハラが常態化してPTSDやうつ病などの精神疾患を発症した場合には、傷害罪として刑事罰の対象になり得る行為です。
慰謝料とともに通院などの費用の損害賠償請求が可能です。
モラハラをする人は自分の行っている行為が悪いという認識がない場合があるため、調停・裁判などによって慰謝料請求が認められると判断されることによって、行動を改善することが期待できます。

離婚する

モラハラがひどくなっている時点で検討するのは離婚でしょう。
離婚については協議離婚であれば、モラハラが原因でも当事者が離婚に合意している以上は離婚が可能です。ただし、モラハラをするような相手が離婚をすんなり認めるとはいえず、相手に拒絶されることもあるでしょう。
この場合、離婚調停・離婚裁判によって離婚の請求をすることになります。
離婚調停や離婚裁判をする場合には、民法770条1項各号所定の離婚原因に該当することが必要となります。
法律上、モラハラをされたことが離婚原因になるとは規定はされていないため、モラハラをされたこと自体は離婚原因とはなりません。
しかし、モラハラの程度が酷く・長期間に及んでいるなどで、夫婦関係が破綻しているような場合には、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」として離婚が可能な場合があります。

モラハラの被害にあったときの立証方法

知っておきたい離婚のポイント
  • モラハラを立証する必要がある
  • モラハラを立証する証拠の種類

モラハラをされたことは証拠が必要ですか

はい、請求する側が証拠を揃える必要があります。モラハラ被害の立証方法について確認しましょう。

モラハラをされたことが原因で損害賠償を請求したり、離婚を請求したりする場合には、証拠の存在は欠かせません。
そこで、モラハラの被害になったときの証明方法について確認しましょう。

言動を録音・録画する

一番確実な証拠になるものとして、モラハラの言動を録音・録画することが挙げられます。
暴言や嫌味などについては録音をし、無視される・睨まれるといったものについては録画をするのが効果的です。
ICレコーダーのようなものがあれば高音質で録音できますが、難しい場合は携帯電話・スマートフォンで動画録画をしてもかまいません。

メール・SNSなどのやり取りを保存する

モラハラがメールやSNSで行われている場合には、メールやSNS上でのやり取りを保存しておきましょう。
メールの場合は文章だけではなく、差出人・送信日時が分かる情報と一緒に保存しましょう。
SNS上のやり取りについても、スクリーンショットやログの保存などをしますが、そのメッセージの送信相手がモラハラを行なう相手方本人であることが分かる方法で保存しましょう。
画面を移動しなければモラハラをする本人であることが判明しないような場合には、画像ではなく動画として保存してもかまいません。

渡されたものは保存しておく

手紙やメモなどで渡されたものも保存をしておきましょう。
普段は暴言を吐くような人の場合、外出中には体面を気にしてメモにして渡してくるようなことがあります。
これも証拠になるので保存をしておきましょう。

身体的な症状がある場合にはきちんと通院する

うつ症状やストレスによって様々な身体的症状が出るようなこともあります。
このような場合には、必ず通院をして、診断書を出せるようにしておきましょう。

細かく日記をつける

以上を心がけていても、暴言を投げかけられたときに、手元にICレコーダーもスマートフォンもないということもあります。
証拠化できないモラハラについてもできるだけ細かく日記につけるなどして、モラハラの内容を書き留めておきましょう。

確かにメモは記載する人によってどうにでもなるので、直接的な証拠に比べると弱いといえます。
しかし、他に強く非難される録音が多数ある場合、メモにしている内容が大きく異ならなければ、モラハラと認定してもらえる可能性が高くなります。
日常的にモラハラが行われており、その全てを保存するのが難しい場合には、証拠として保存できないものでも、日時・場所・モラハラの内容を細かく日記のような形で残しておきましょう。

まとめ

このページでは、モラハラについてお伝えしました。
一つ一つの行為の違法性は少ないとはいえ、日常的に行われる場合には、夫婦としての関係を破壊してしまうのがモラハラです。
モラハラによって夫婦関係が破綻したといえる場合には、離婚を請求することも可能といえますが、夫婦関係が破綻したといえるか、破綻を証明できるか、弁護士に相談することをおすすめします。