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- 離婚後に不倫が発覚した場合でも慰謝料請求は可能
- 離婚後に不倫が発覚した場合の親権
【Cross Talk 】離婚をしたのですが、夫が不倫をしていたのが後から発覚し、慰謝料の請求をしたいです。
夫と昨年離婚をしました。夫はどうも離婚前から不倫をしていたそうなのですが、それを知らずに離婚したので慰謝料をもらっていません。今からでも慰謝料をもらうことはできますか?
慰謝料をもらうことができる場合もありますので諦めずに請求してみましょう。
ご相談してよかったです。是非よろしくお願いいたします。
結婚している間に不倫をしていたことが原因で離婚した場合には慰謝料の請求をすることが通常です。
しかし、不倫をしていたことが離婚後に発覚することもあります。離婚後に不倫をしていたことが発覚した場合、慰謝料請求は可能なのでしょうか。また、慰謝料請求の額などに影響するのでしょうか。
離婚後に不倫が発覚した場合慰謝料は請求できる?

- 慰謝料請求の法的根拠
- 離婚後に不倫が発覚した場合でも慰謝料請求は可能な場合がある
- 清算条項があるような場合には注意が必要
離婚後に、相手の不倫が発覚した場合慰謝料の請求は可能ですか?
はい、慰謝料請求は可能です。慰謝料請求は法律ではどのような原理で請求できるものかと一緒に確認してみましょう。
離婚後に不倫が発覚した場合、慰謝料請求は可能なのでしょうか。
慰謝料請求権の根拠
そもそも慰謝料請求権は法律上どのような根拠に基づくものなのでしょうか。
慰謝料請求権は、民法709条に規定される、不法行為に基づく損害賠償請求権に該当し、相手方の不法行為によって精神的苦痛を受けた場合に、請求できるとするものです。
不倫は、他方の配偶者に対して精神的苦痛を与えるものですので、慰謝料請求が可能となります。
離婚後に不倫が発覚した場合にも慰謝料請求は可能か
この慰謝料請求ですが、離婚後に不倫が発覚した場合でも請求は可能なのでしょうか。
この点については、離婚後に不倫が発覚した場合でも、婚姻期間中に不倫をしていた場合には精神的苦痛が発生する点では異なりませんので、不貞行為の証拠があれば慰謝料請求は可能です。
ただし、離婚時に作成する離婚協議書には、「離婚協議書に記載されていること以外の権利義務は存在しない旨」に合意する内容が含まれていることが通常です。
このような条項のことを、清算条項と呼んでいます。
清算条項がある場合、後から発覚した不倫については慰謝料の請求ができなくなることになります。
この場合には、離婚協議書における当該規定について、民法95条で錯誤取消を主張することで、請求が可能な場合もあるので、まずは弁護士に相談してみてください。
また、慰謝料は不倫をした人のみならず不倫相手に対して請求することも可能で、こちらについては清算条項の効力は及びません。
不倫相手に対して慰謝料請求をすることも検討しましょう。
さらに、慰謝料請求権が時効にかかっている場合も請求ができません。慰謝料請求は加害者と損害を知ったときから3年、行為の時から20年経過した場合、時効により請求ができなくなります。
不倫をしていたことが発覚してから3年を経過した後は、時効を主張され、請求できなくなることも併せて知っておいてください。
離婚後に不倫が発覚した場合の慰謝料請求の対象
離婚後に不倫が発覚した場合、慰謝料請求は誰に対して行うのでしょうか。
上述したように、慰謝料請求は不法行為に基づく損害賠償請求権を根拠に請求します。
不倫については、不倫を行った配偶者と不倫相手が共同して行う不法行為であると解釈されており、配偶者・不倫相手双方に請求が可能です。
離婚後に不倫が発覚した場合の慰謝料の相場
不倫が発覚したのが離婚後であることは、請求できる慰謝料の金額に影響するのでしょうか。
一般に不倫が原因で離婚する場合の慰謝料の相場は50万円~300万円程度とされています。
慰謝料の金額に大きな幅があるのは、不倫の期間や頻度、婚姻期間の長短や不倫相手が妊娠したか、不倫が原因で離婚したかどうかなどの事情を総合的に判断して、精神的苦痛の程度によって決められるためです。
この金額の決定にあたって、離婚をした場合と離婚をしていない場合では精神的苦痛の程度が異なるため、不倫が原因で離婚をした場合、慰謝料の額は大きくなります。
しかし、不倫が発覚せずに離婚をしている場合には、離婚は不倫とは関係がなく行われていると判断される可能性が高いため、慰謝料が少なくなる可能性があります。
離婚後に不倫の慰謝料を請求する手続き
離婚後に不倫の慰謝料を請求するためにはどのような手続きになるのでしょうか。
不倫の慰謝料請求は、次のような手順で請求します。
- 慰謝料の支払いを求めて交渉する
- 裁判などの法的手続きを起こす
- 相手の財産に強制執行をする
まず相手に対して慰謝料の支払いを求めて交渉を行います。
実務上内容証明郵便を利用して相手に対して請求を行い、交渉をすることが多いです。
任意の支払いに応じない場合には、裁判などの法的手続きによって請求を行います。
場合によっては調停・少額訴訟・支払い督促などの法的手続きを利用することが望ましい場合もあります。
裁判で勝訴判決を得るなどしても支払わない場合には、相手の財産に対して強制執行を行い、慰謝料を回収することになります。
離婚後に発覚した不倫は、その他の金銭の取り決めに影響するか
離婚後に発覚した不倫は、その他の金銭の取り決めに影響するのでしょうか。
離婚をする場合には、慰謝料のほかに財産分与・子どもがいる場合には養育費の支払いについても取り決めが行われます。
しかし、財産分与は婚姻期間中に夫婦で築いた財産の精算をするもので、不倫をした事実はその金額に影響しません。
また、養育費は未成熟子の養育のための費用を決めるもので、不倫をした事実はその金額に同じく影響しません。
そのため、離婚後に不倫が発覚したとしても、財産分与請求権や養育費の金額に影響はしません。
離婚後に不倫が発覚した場合の親権の問題

- 離婚後に不倫が発覚した場合の親権
- 親権者の変更を希望する場合
実は離婚をしたときに子どもの親権者を相手にしたのですが、不倫をしていたことがわかった以上子どもをきちんと養育してもらえるか不安です。不倫をしていたならば親権者はこちらに移るということはありませんか?
不倫が離婚後に発覚したからといって親権が移動することはありません。この場合親権変更調停の申立てを検討することになります。
離婚後に不倫が発覚した場合、親権の問題はどうなるのでしょうか。
不倫をしていたことは親権に影響するのか
まず不倫をしていたことは親権に影響するのでしょうか。
父母のどちらを親権者にするかについては、子どもの健全な成長という観点から決められます。
そのため、どちらかが不倫をしていたということだけで決定するわけではありませんが、不倫をしていることで子どもの健全な成長という観点から悪影響を及ぼす場合には、不利になる材料として取り扱われます。
親権者変更の法的手続きの申立てを行う
すでに離婚をして親権者を決めている場合には、後に不倫をしていたことが発覚しただけでは、親権者を変更する効力は発生しません。
もし不倫をしていたことが子どもの健全な成長に悪影響で、親権者の変更が不可欠であると主張する場合には、親権者を変更する法的手続きの申立てを行いましょう。
まず、親権者変更調停を申立て、調停で合意できない場合には親権者変更審判の申立てを行い、家庭裁判所の判断を仰ぎます。
まとめ
このページでは、離婚後に不倫をしていたことが発覚した場合の慰謝料請求を中心にお伝えしました。
慰謝料請求は不法行為に基づく損害賠償請求として行うもので、離婚後であっても不法行為である以上は慰謝料請求は可能です。
ただし清算条項や時効によって請求できない場合もあるので、まずは弁護士に相談してみてください。






 
					 
		

