熟年離婚をすると年金分割はいくら?
ざっくりポイント
  • 熟年離婚での年金分割とは?
  • 熟年離婚で年金分割をする方法とは?
  • 熟年離婚で年金分割をする際の注意点とは?>

目次

【Cross Talk 】熟年離婚をすると年金を受け取ることはできますか?

熟年離婚をすると年金を受け取ることはできますか?

熟年離婚であっても年金分割制度をすることで年金を受け取ることができます。

熟年離婚の年金問題について、詳しく教えてください。

熟年離婚であっても年金分割することで年金を受け取ることができる

熟年離婚をする場合、「長年専業主婦でも年金はもらえる?」、「夫の年金の半分もらえる?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。熟年離婚における年金は、その後の人生を左右する重要な問題です。正確な知識を持たずに離婚を進めると、老後の生活設計に大きな影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、熟年離婚における年金分割の仕組みや、手続きの流れ、注意点について弁護士が解説していきます。

熟年離婚すると年金はどうなる?

知っておきたい離婚のポイント
  • 熟年離婚すると年金はどうなる?
  • 年金分割制度とは?

熟年離婚をすると年金はどうなるのでしょうか?

離婚時には年金分割制度を利用できます。

年金分割制度とは?

日本の公的年金制度は、国民年金(基礎年金)と会社員や公務員が加入する厚生年金の2階建て構造になっています。熟年夫婦が離婚する場合、特に長年専業主婦として家計を支えてきた妻は、夫が受給できる厚生年金を自分は受け取れないため、老後の生活に不安を抱きがちです。しかし、このような不公平を是正するために「年金分割制度」があります。

年金分割制度とは、離婚時に、夫婦が婚姻期間中に納付した厚生年金の保険料納付記録(標準報酬)を分割し、夫婦間で公平に分配する制度です。標準報酬とは、厚生年金の保険料の納付実績のことであり、将来の年金受給額を計算する際の基礎となります。

この制度は、将来の年金受給額そのものを分けるのではなく、あくまで年金額を算定するための保険料納付実績を分けるものです。そのため、年金分割の請求者が自身の年金受給資格を満たしていなければ、年金を受給することはできません。

年金分割の対象

年金分割の対象となるのは、夫婦が婚姻していた期間の厚生年金の納付記録に限られます。したがって、以下のような場合は年金分割制度を利用できません。

  • 国民年金のみに加入していた場合
  • 婚姻前の期間
  • また、年金分割は必ずしも夫から妻に行われるわけではありません。共働き夫婦で妻の収入が夫より高い場合など、妻から夫に年金記録が分割されることもあります。

    関連記事:共働きでも離婚で年金分割はできる?請求は2年以内に!

    熟年離婚の年金分割でいくらもらえる?

    熟年離婚の場合、婚姻期間が長くなるため、年金分割の効果は非常に大きくなる傾向があります。

    具体的な増加額は個々の状況によって異なりますが、年金分割によって月3~7万円ほど年金受給額が増える可能性があります。年額に換算すると数十万円の増加となり、離婚後の生活を支える上で大きな助けとなるでしょう。

    正確な年金分割の見込み額を知るには、日本年金機構が提供する「年金分割のための情報通知書」を取得する必要があります。これを取得することで、婚姻期間中の年金記録を正確に把握し、具体的な年金額を試算することが可能です。

    熟年離婚で年金分割する方法

    知っておきたい離婚のポイント
    • 熟年離婚で年金分割をする方法とは?
    • 合意分割と3号分割

    熟年離婚で年金を分けるにはどうすればいいのでしょうか?

    ここでは、離婚における年金分割の方法について解説していきます。

    合意分割

    年金分割制度には、夫婦の合意を必要とする「合意分割」と、専業主婦(夫)など国民年金の第3号被保険者だった方を対象とした「3号分割」の2種類があります。

    合意分割は、夫婦の話し合いによって年金分割の割合(按分割合)を決める方法です。夫婦が婚姻期間中に納付した厚生年金の保険料納付記録の総額を、話し合いで決めた割合で分割します。

    分割割合の上限は「2分の1」とされています。夫婦間の話し合いで合意ができない場合でも、裁判所の手続き(調停や審判)を通じて最終的に決定されますが、実務上はほとんど場合、2分の1(50%)の割合が適用されます。また、婚姻期間中の厚生年金に加入していた全ての期間が対象となります。
    そして、合意分割は、夫婦2人で年金事務所に出向いて手続きを行うのが原則です。ただし、公正証書などで合意内容を証明できる場合には、夫婦の一方だけでも手続きができます。

    3号分割

    3号分割は、国民年金第3号被保険者(専業主婦や専業主夫)であった期間に限り、夫婦の合意がなくても自動的に年金分割が行われる特例的な制度です。

    3号分割では、分割割合は自動的に2分の1と決まっており、夫婦の合意は必要ありません。また、この制度は2008年(平成20年)4月1日に開始されたため、2008年4月1日以降の第3号被保険者であった期間のみが対象となります。それ以前の期間については、合意分割の手続きが必要です。
    そして、3号分割は、第3号被保険者であった方が単独で年金事務所に請求するだけで手続きが可能です。

    熟年離婚で年金分割する際の注意点

    知っておきたい離婚のポイント
    • 熟年離婚で年金分割をする際の注意点
    • 財産分与や慰謝料の請求も検討すべき

    熟年離婚で年金分割をする際にはどのようなことに注意する必要がありますか?

    ここでは、熟年離婚で年金分割する際の注意点を解説していきます。

    年金分割だけでは生活できない可能性がある

    年金分割によって将来の年金受給額が増えたとしても、それだけで老後の生活費をまかなうことは難しいのが現実です。熟年離婚の場合、婚姻期間が長いため分割される金額も大きくなりますが、月額で考えれば数万円程度であることが多く、これだけで生活を維持するのは困難でしょう。

    特に、専業主婦(夫)として長年過ごしてきた方は、自身の年金受給資格の有無や、老齢基礎年金の金額も考慮に入れる必要があります。年金分割はあくまで経済的な支えの一つであり、それだけに頼るのではなく、離婚後の生活を現実的にシミュレーションし、その他の経済的基盤も確保しておくことが不可欠です。

    財産分与や慰謝料請求も検討する

    年金分割と合わせて、財産分与や慰謝料請求も検討することが重要です。

    財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産(預貯金、不動産、有価証券など)を公平に分配する制度です。熟年離婚の場合、婚姻期間が長い分、共有財産も多額になっている可能性が高く、財産分与は老後の生活資金として大きな意味を持ちます。また、年金分割の対象外である退職金や企業年金も、財産分与の対象となります。

    また、不貞行為やDV(家庭内暴力)など、離婚の原因を作った相手方に対しては、慰謝料を請求できる可能性があります。

    離婚に詳しい弁護士に相談する

    年金分割は手続きが複雑であり、財産分与や慰謝料の算定も専門的な知識が求められます。
    離婚問題に詳しい弁護士に相談すれば、年金分割のほか、退職金や慰謝料を適切に請求したりするためのアドバイスを得られます。弁護士に依頼することで、元配偶者との交渉を任せられるため、精神的な負担を軽減し、複雑な手続きもスムーズに進められるというメリットもあります。

    まとめ

    熟年離婚をする際に、年金分割制度を利用すれば、婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦で公平に分け合うことができ、特に長年専業主婦だった方の老後の経済的不安を軽減できます。
    ただし、年金分割だけでは生活が難しいことも多いため、財産分与や慰謝料請求も併せて検討することが重要です。また、手続きには期限があり、複雑な点も多いため、離婚に詳しい専門家への相談をおすすめします。
    当事務所には熟年離婚に詳しい弁護士が在籍しておりますので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。