未払いの養育費は元配偶者の親に請求できる?
ざっくりポイント
  • 元配偶者の親には養育費を支払う義務はない
  • 元配偶者の親に養育費を請求できる場合とは?
  • 養育費の未払い問題は弁護士に相談する

目次

【Cross Talk 】未払いの養育費は元配偶者の親に請求できますか?

未払いの養育費は元配偶者の親に請求できますか?

原則、相手の親は養育費の支払い義務を負っていませんが、例外的に請求できる場合があります。

養育費を相手の親に請求できる場合について詳しく教えてください。

元配偶者の親から養育費を受け取れる場合がある

離婚の際に元配偶者との間で養育費に関する取り決めをしていたのもかかわらず、月々の支払いが止まってしまった場合、相手の親に請求することはできるのでしょうか。原則として相手の親は養育費の支払い義務を負っていませんが、例外的に相手の親から養育費を受け取れることもあります。
この記事では、未払いの養育費は元配偶者の親に請求できるか、例外的に相手の親から養育費を受け取れる状況などについて、わかりやすく解説していきます。

養育費が未払いの場合、相手の親に請求できる?

知っておきたい離婚のポイント
  • 未払いの養育費は元配偶者の親に請求できる?
  • 相手の親に任意での支払いをお願いすることはできる

未払いの養育費は元配偶者の親に請求できますか?

元配偶者の親に養育費を支払う義務はありません。

非監護親の親に養育費の支払い義務はない

離婚後、元配偶者(非監護親)からの養育費の支払いが途絶えてしまうと、子どもの生活や教育を担う監護親にとっては深刻な問題となります。元配偶者に行方不明や経済的な困窮といった事情があり、支払いが期待できない場合、「せめて相手の親、つまり子どもの祖父母に請求できないか」と考える方は少なくありません。

養育費の支払い義務は、あくまで未成年の子どもの親である元配偶者(子どもの父または母)にあります。養育費は、親が未成年の子どもに対して負う「子の監護に要する費用」(民法第766条第1項)を具体化したものであり、その義務を負うのは子どもの親です。

そのため、養育費の支払いが滞った場合でも、その親である元配偶者の両親、つまり子どもの祖父母には、原則として養育費を支払う法的な義務はありません。

これは、祖父母が裕福であるかどうか、また孫との交流が続いているかといった個人的な事情とは関係ありません。祖父母は法律上、養育費の支払いを肩代わりする責任を負わないため、仮に祖父母に対して支払いを求めても、相手が拒否した場合、法的に強制することはできません。

養育費を定めた公正証書や調停調書などの債務名義(強制執行を行うための公的な文書)があったとしても、その効力は原則として養育費の債務者(元配偶者)にしか及びません。祖父母を債務者として強制執行を行うことは不可能です。

養育費の支払いをお願いすることはできる

祖父母には法的な支払い義務がない一方で、養育費の支払いを「お願い」すること自体は自由にできます。

子どもと祖父母の関係性や、元配偶者と祖父母の関係性によっては、親切心や孫の将来を案ずる気持ちから、祖父母が任意で支払いに応じてくれる場合もゼロではありません。
例えば、離婚後も孫との交流が続いており、孫の生活や教育環境が悪化することを望まない場合や、元配偶者が実家に住んでおり、生活費の多くを祖父母が出している場合には、養育費を支払ってくれる可能性があります。

ただし、これはあくまで「任意」の協力であり、法的な義務に基づくものではありません。祖父母が支払いに応じない場合、それ以上強制的に請求を進めることはできないという限界があることを理解しておく必要があります。

まずは法的な義務を負う元配偶者に対する請求(内容証明の送付や法的手続きなど)を優先し、それが困難な場合の選択肢の一つとして、祖父母に協力を依頼することを検討すべきでしょう。

関連記事:養育費が未払いになった場合の回収方法について解説

未払いの養育費を相手の親に請求できる場合

知っておきたい離婚のポイント
  • 未払いの養育費を元配偶者の親に請求できる場合とは?
  • 連帯保証人や扶養義務がある場合

未払いの養育費を元配偶者の親に支払ってもらえるのはどのような場合ですか?

ここでは、養育費を元配偶者の親から支払ってもらえる場合について解説します。

相手の親が任意で支払いに応じてくれる

これまでに述べた通り、原則として、養育費の支払い義務は子どもの親である元配偶者にあり、その親(祖父母)にはありません。しかし、例外的に祖父母に対して養育費の支払いを求めたり、それに相当する金銭的な援助を法的に請求したりできる場合があります。

まず、法的な義務とは関係なく、元配偶者の親(祖父母)が孫の生活状況を鑑みて、自らの意思で未払いの養育費を肩代わりしたり、金銭的な援助をしたりすることに同意してくれる場合があります。

これは、祖父母と孫の関係が良好であったり、元配偶者の経済状況が絶望的で、このままでは孫の生活が破綻すると祖父母が判断したりした場合などに起こり得ます。

ただし、あくまで「お願いベース」であり、交渉によって祖父母が支払いに応じてくれれば、それはそのまま受け取って問題ありません。しかし、相手が途中で支払いを拒否したり、金額の減額を申し入れてきたりした場合、法的にその支払いを強制することはできないという点に注意が必要です。

関連記事:養育費請求には時効がある!更新・完成猶予の方法や催告など対処法を解説

相手の親が養育費の保証人になっている

法的に元配偶者の親に養育費の支払いを法的に請求できるのは、離婚時に作成した養育費に関する公正証書や調停調書などの債務名義において、相手の親が「連帯保証人」として債務を負担することに合意している場合です。

連帯保証人とは、主債務者(養育費を支払うべき元配偶者)が支払いを履行しない場合、主債務者と全く同じ義務を負い、債権者(監護親)からの請求があれば支払わなければならない法的な義務を負います。

この連帯保証契約は、元配偶者の親自身(祖父母)の明確な意思表示がなければ成立しませんが、もし連帯保証人になっていれば、元配偶者からの養育費の支払いが滞った際、祖父母に対して未払い分の全額を法的に請求することができます。

祖父母が孫の扶養義務を負っている

養育費の支払い義務とは別に、民法第877条第1項には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められており、子どもの祖父母(元配偶者の親)と孫は直系血族にあたるため、扶養義務を負っています。

この扶養義務には、「生活保持義務」と「生活扶助義務」の2種類があります。

生活保持義務は、夫婦間や親子間で適用され、扶養義務者が自分と同じ程度の生活水準を相手に提供する義務(養育費の根拠)のことです。これに対して、生活扶助義務は、それぞれそれ以外の親族間で適用され、扶養義務者が自身の生活に経済的な余裕がある場合に、扶養権利者の最低限の生活を助ける義務です。

祖父母が負うのは後者の生活扶助義務です。そのため、元配偶者に稼働能力がなく収入がない、または行方不明で所在が不明であるといった理由で養育費の支払いが期待できない場合、「祖父母が自身の生活に余裕がある」ことを条件に、孫の生活費について祖父母に扶養料を請求できる可能性があります。

この扶養請求は、当事者間の話し合いで決まらなければ、家庭裁判所に扶養の調停・審判を申立てて、金額を定めてもらうことになります。ただし、この手続きで認められる金額は、生活保持義務に基づくものではなく生活扶助義務に基づくもので、最低限度の生活を助ける義務にとどまるため、親が負う養育費よりも相当程度低くなる傾向にあります。

養育費の未払い問題は弁護士に相談すべき

知っておきたい離婚のポイント
  • 養育費未払い問題を弁護士に相談するメリットとは?
  • 相手との交渉や法的手続きを一任できる

養育費の未払い問題は弁護士に相談すべきなのでしょうか。

ここでは、養育費未払い問題を弁護士に相談するメリットを解説します。

適切な養育費回収方法を提案してもらえる

養育費の未払いが発生した場合、どのような回収方法がもっとも有効かは、元配偶者の経済状況や話し合いに応じる姿勢など、個別の事情によって異なります。弁護士に相談すれば、問題状況を正確に把握し、最適な解決策を提案してもらえます。

例えば、相手に交渉の余地がある場合は、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成し、将来的なリスクに関する助言をもらえます。また、話し合いを拒否している場合は、支払督促や訴訟へ移行するなど、状況に応じた効果的かつ迅速な方法を提案してもらえます。

相手方との交渉を任せられる

養育費をめぐる元配偶者との交渉は、精神的な負担が非常に大きいものです。弁護士に依頼すれば、あなたに代わって元配偶者と直接交渉を行うことができます。

弁護士が代理人となることで、感情的な対立を避け、法的な根拠に基づいた冷静な話し合いを進められます。また、弁護士名義で内容証明郵便を送ることは、相手方に対し「法的手段を取られる可能性がある」という強いプレッシャーとなり、相手が支払いや協議に応じる可能性を高める効果も期待できます。

必要な法的手続きも全て任せられる

養育費の回収には、内容証明郵便の作成、裁判所への調停・審判の申立て、強制執行(給与や財産の差し押さえ)手続きなど、複雑で専門的な知識を要する作業が数多く発生します。

弁護士は、これらの煩雑な法的手続きの一切をあなたに代わって処理できます。特に、強制執行は、相手の給与や財産に関する情報を正確に把握したうえで行う必要があり、専門家のサポートが不可欠です。

子育てや仕事で忙しい中で、これらの手続きにかける時間や労力を心配する必要がなくなり、手間をかけずに未払い養育費の回収を目指すことができます。

まとめ

養育費の支払い義務は子どもの親にあり、未払いが発生しても、原則として元配偶者の親(祖父母)に法的な支払い義務はありません。
ただし、祖父母が任意で支払いに応じる場合や、養育費の連帯保証人になっている場合は請求が可能です。また、元配偶者に支払能力がない場合は、祖父母の扶養義務(生活扶助義務)に基づき、扶養料を請求できる可能性があります。
未払い問題の解決を遅らせることは、子どもの生活に深刻な影響を及ぼします。適切な回収方法の提案、相手方との交渉、煩雑な法的手続きを一任するためにも、養育費の未払い問題は速やかに弁護士に相談することをおすすめします。