養育費が未払い!どんな対策をとればいい?
ざっくりポイント
  • 養育費が未払いになった場合の対応方法
  • 養育費の支払いについて問題となる場合
  • 養育費の変更について

目次

【Cross Talk 】養育費が未払い!どうすればいいですか?

元夫と離婚して子どもと2人で暮らしています。元夫は毎月養育費を支払う約束をしていたのですが、先月から突然養育費を支払わなくなりました。どうすればいいですか?

養育費の支払いを求める法的手続きをすぐに行うべきでしょう。相手はどうして支払わないのでしょうか?支払えない状況になってしまっているような場合には、早めに児童福祉手当を取得するなどに切り替えたほうがいいかもしれないです。

なるほど、詳しく教えてもらってもいいですか?

養育費の支払いをしてもらえない場合の対応

子どもがいる夫婦が離婚した場合、多くの場合で母親が子どもを引き取り、父親が養育費を支払うことが多いです。
養育費の支払いが止まったときには、どのような対応が必要なのでしょうか。養育費を回収するための法的手続きと注意点について、このページで解説いたします。

養育費が未払いになった場合に支払わせる方法

知っておきたい離婚のポイント
  • 養育費が未払いとなった場合に支払わせる方法
  • 養育費の取り決めについての状況によって方法が異なる

養育費が未払いになった場合、相手に支払ってもらうためにはどのようなことが必要ですか?

養育費の取り決めをどのように行っているかによって異なるので、場面ごとに確認しましょう。

養育費が未払いになった場合に相手に支払わせるためにはどのようなことが必要なのでしょうか。

養育費はどのようにして決められるか

前提として、養育費の支払い義務や金額はどのようにして決められるかについて確認しましょう。
養育費の支払いについては、協議離婚と調停離婚や裁判離婚の法的手続きに基づく離婚かどうかで異なります。
協議離婚の場合の養育費においては、当事者間で協議して決めることになり、離婚手続きとは別に取り決めることもできます。そのため、養育費の支払いについて一切明確な取り決めをしないまま離婚をすることも可能です。
これに対して調停離婚や裁判離婚をする場合には、離婚時に養育費の支払いについても同時に決定されます。

養育費の明確な合意がない状態で、未払いとなった場合の対応

協議離婚後に、養育費について明確な合意がない状態で、未払いとなった場合には、まず養育費の支払い義務や額について取り決める必要があります。

当事者間で協議した上で、それでも支払わない場合には法的手続きを行うことになり、養育費請求調停・養育費請求審判を利用することになります。
養育費が調停や審判で決められても未払いである場合には、相手の財産に強制執行を行って支払ってもらうことになります。

養育費についての合意・取り決めがあるのに未払いになった場合の対応

養育費について、当事者間の合意がある場合や、取り決めがあるにも関わらず未払いとなっている場合の手続きは、まずその合意・取り決めが裁判所で決められたものであるかどうかで手続きが異なります。
当事者間の合意があり、それが文書化されている場合には、上述した調停・審判によって養育費の確定をする必要があります。

一方で既に調停・審判によって養育費の取り決めがあるにも関わらず未払いになっている場合には、強制執行を行うことになります。
なお、調停・審判によって決まった養育費の支払いがない場合には、裁判所が支払いをするように勧告・命令をすることができ、命令に従わない場合には過料を科す制度もあります。

公正証書がある場合

養育費の支払いについて強制執行認諾文言のついた公正証書が作成されている場合には、直ちに強制執行を行うことができます。
強制執行認諾文言とは、支払が滞った場合直ちに強制執行を受ける旨の文言をいいます。
公正証書を作っていても、強制執行認諾文言が入っていないと直ちに強制執行をすることはできないので注意が必要です。

養育費の支払いについて問題となる場合

知っておきたい離婚のポイント
  • 養育費の支払いができない場合
  • 養育費の変更

相手が養育費の支払いができないなど、イレギュラーな場合もありますよね?

養育費の支払いについて問題となる場合をいくつか確認しておきましょう。

養育費の支払いについて問題となる場合についての対応方法について確認しましょう。

相手が自己破産をした場合

相手が自己破産をした場合には養育費はどうなるのでしょうか。
この場合、養育費について過去の未払い分と将来の養育費に分けて考える必要があります。

まず、過去の未払い分については、単なる金銭の請求権となって自己破産をすると免責されることになるので、請求ができなくなります。

一方で、将来の養育費請求権については、自己破産によっても免責されない債権として存続するので、請求が可能です。

自己破産をするときには弁護士に依頼して行うことが多いため、養育費の支払いを止めることもありますので、この場合には依頼を受けた弁護士と話し合って支払ってもらうようにすることになります。

相手が無職になったなど支払い能力がない場合

相手が無職になったなどで、養育費の支払いができないような場合もあります。
この場合には、そもそも回収できるお金や給料がないということになりますので、強制執行を行っても回収できない可能性が高いです。

児童扶養手当を受給する、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用する、場合によっては生活保護を利用するなど、行政による支援を受けることによって、生活を立て直す方策を検討するようにしましょう。
行政による支援を受けるためには、社会福祉協議会などと相談をしながら各種申請を行い、審査を受ける必要があります。審査には時間がかかる場合が多いのでなるべく早く行動をするようにしましょう。

養育費の変更は可能か

養育費は、離婚時の子どもの年齢によって長期間支払うことになります。
その間に、父母を取り巻く状況が変化することもあり、従来取り決めた養育費の金額が適切ではない場合もあります。
そのため、一度取り決めた養育費を変更することができる場合があります。

養育費の減額が認められる事情としては次のようなものがあります。

  • 支払い義務者が失職
  • 支払い義務者が再婚するなどで扶養する家族が増えた
  • 受取人の収入が増えた
  • 受取人が再婚して再婚相手と子どもが養子縁組をして扶養してもらえるようになった

一方で養育費の増額が認められる事情としては次のようなものがあります。

  • 支払い義務者の収入が増えた
  • 受取人の収入が減った・失職した
  • 子どもが病気などで多額の医療費がかかるようになった

養育費の変更については、当事者で決めることもできますが、当事者で合意ができない場合には養育費請求調停を提起して、そこで変更を求めることができます。
調停で合意ができない場合には、裁判所の審判で養育費の変更を判断することになります。

まとめ

このページでは、養育費の支払いがなくなった場合についてお伝えしました。
養育費の取り決めをどのようにして行ったかに応じて、必要な手続きを講じて法的請求をする必要があります。
また、支払いができない場合には、児童扶養手当の受給など必要な対応を検討するようにしましょう。
どのような方法が必要か不明な場合には、弁護士に相談してみてください。

この記事の監修者

弁護士 丸井 駿第二東京弁護士会
専門家として冷静な視点を持ちつつ、暖かく寄り添い、ご依頼者様が前を向いて生活する手助けをするため最善を尽くします。