別居の仕方次第で離婚を有利に進められる?別居の仕方と準備について
ざっくりポイント
  • 別居とは
  • 別居は離婚に影響する
  • 別居の準備

目次

【Cross Talk 】別居をする場合にはどんな準備をすればいいですか?

夫と金銭感覚が合わず離婚を考えています。別居はしたほうが良いと思うのですが、どんな準備をして別居をすればいいですか?

先に離婚に必要な証拠や相手の財産・収入など財産分与・慰謝料などの請求に必要な事項を調べておきましょう。

そうなんですね!詳しく教えて下さい。

別居は離婚に影響する!別居の準備と合わせて解説

離婚前に別居をすることがあります。夫婦には相互に同居義務があり別居はこれに違反する行為であるのですが、別居によって婚姻関係が破綻していると認定することが可能になり、離婚の成否の判断に影響することがあります。離婚をする際の準備としてどのようなことを行うべきかと一緒に確認してみましょう。

別居は離婚をするのに重要である

知っておきたい離婚のポイント
  • 別居とは
  • 別居は離婚をするのに重要である

別居は離婚をするにあたって重要なことですか?

はい、離婚をするにあたって法的な手続きで行う際には離婚事由の有無が問われますが、夫婦の婚姻関係が破綻していないと判断される場合には離婚が認められない場合があります。別居をしていると婚姻関係が破綻していると認定されやすくなるので、離婚にとって重要であるといえます。

離婚をするにあたって別居は重要です。
別居とは何か、どうして重要なのかなどについて確認しましょう。

別居とは

別居には特に法律上の定義はありませんが、同居義務に違反して別々のところに住むことです。
同じ場所に住んでいながら食事を一緒にしたり、一緒に寝たりしない、いわゆる家庭内別居は、ここでいう別居に含まれません。

別居の有無・期間は婚姻関係の破綻の判断に影響する

離婚をする際に、相手が協議離婚に応じない場合には、調停離婚・裁判離婚によって離婚をします。
この場合には民法770条1項が定める離婚事由が必要です。
離婚事由には770条1項1号から4号のように明確に規定されているものもあれば、5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という形で婚姻関係の破綻を実質的に認定するものもあります。
性格の不一致によって婚姻関係が破綻しているかどうかを認定する事情として、別居の有無とその期間は非常に重要な要素となります。

別居のメリット

別居には、

・精神的ストレスから解放される
・離婚協議を落ち着いてすることができる
・本気で離婚を考えていることを伝えることができる

というメリットがあります。
離婚を検討している相手と同居をしなければならないのは、精神的に大きなストレスを抱え続ける状態いなります。

別居の最大のメリットはこの日々のストレスから解放されることになります。
次に、離婚協議を落ち着いてすることができるというメリットがあります。
常に顔を合わせた状態で離婚協議をすると落ち着いて行うことが難しいです。
意見が決裂して話し合いを一時中断する間でもお互い顔を合わせて暮らさなければなりません。
自分のタイミングで別途、提案や話し合いをしたくても、相手と一緒に暮らしたままだと、相手と一緒にいる時間のタイミングで急に相手から離婚の内容についての話し合いを持ちかけられるようなこともあります。
別居をすれば、このような弊害がなく自分のペースで落ち着いて交渉をすすめることができます。

最後に本気で離婚を考えていることを伝えることができます。
普段の夫婦のコミュニケーションや、それまでの経緯によっては、同居したまま離婚の話を切り出しても、冗談に聞こえたり、取りあってもらえなかったりします。
別居をすることで、本気で離婚を考えているということを相手に伝えることができます。

別居のデメリット

一方で離婚には、

・やり方を間違うと離婚において不利になる
・証拠や資料を集めるのが難しくなる
・生活費・居住する場所をきちんと確保できないと家に戻らなければならなくなる

というデメリットもあります。

まず、1つ目はやり方を間違うと離婚において不利になるということです。
民法770条1項各号では離婚原因を定めていますが、その中に2号「配偶者から悪意で遺棄されたとき」というものがあります。
夫婦の同居義務・相互扶助義務に違反して家出を強行することが、「悪意の遺棄」に該当する場合があり、別居の態様によっては別居をすることで離婚原因を作った側になってしまうので、逆に慰謝料を払う立場になる可能性もあります。

そのため、別居をするにはそれなりの理由が必要です。

・相手が不貞行為を行った
・相手が暴力を振るった
・夫婦関係が冷え切っていて常に言い争いをしている
・別居に合意した

などの事情があることが必要です。
また、経済力に余裕のあるほうが別居をする場合には別居後に相手に生活費を渡す必要もあります。

次に証拠や資料を集めるのが難しくなるというデメリットが挙げられます。
夫婦の家計が一緒になっているときに、相手の財産がどのようになっているか、細かいところまで把握していないことも多いかと思います。
このような場合に婚姻費用の分担や慰謝料・財産分与・養育費の請求をするときに、相手にはどのような財産があるのか分かっていないと、その額を定めるのに支障をきたしたり、相手が支払いをしない場合に強制執行をすることができなくなる可能性があります。
また不倫やDVの証拠、性格の不一致を証明する証拠・性格の不一致が相手に原因があることを証明する証拠などの証拠の収集も難しくなります。

さらに充分な生活費・住居場所の確保ができないと、結局またもといた家に戻らなければならないことがあります。
例えば、専業主婦やパートで扶養の範囲でのみ働いているような場合、別居をして一人暮らしをすると急に生活費が必要となります。
この場合、相手に対して婚姻費用分担請求をして生活費を確保することもできますが、これにも時間がかかる場合があります。
別居した後の生活を考えずに別居をすると、生活費が足りなくなり自宅に戻らなければならなくなることもあるので注意が必要です。

別居前の準備

知っておきたい離婚のポイント
  • 別居前に必要な準備
  • 住む場所や証拠・資料の収集、相手の財産などの調査

別居前にはどのような準備をすればいいですか?

住む場所の確保や証拠・資料の収集、相手の財産などの調査をきちんと行っておきましょう。とくに子どもがいる場合には、その子どもの養育環境をしっかり整えておくことは親権をとるために不可欠です。

別居前の準備にはどのようなことが必要でしょうか。

住む場所の確保

必ずきちんと行うべきなのは住む場所の確保です。
別居をしたいからといって、突然家を出るようなことをしても、アパートは借りられない・ホテル暮らしではすぐにお金が尽きるという状態になってしまいます。
また、漫画喫茶・ネットカフェのようなところに長期間滞在するのも、きちんと眠れず別居が長続きしません。

まず必ず住む場所はきちんと確保しておくようにしましょう。
なお、DVが原因で家を出る場合には、シェルターと呼ばれる保護施設を準備してもらえることがあるので、市区町村や警察に相談をしてみましょう。

子どもの養育環境を整える

子どもがいて子どもを連れて行く場合には、子どもの養育環境をしっかり整えるようにしましょう。
子どもがいる場合、親権・養育費に関する交渉をする必要があります。
子どもの親権について調停・裁判で争うことになった場合、子どもの養育をどちらに任せるのがより良いのかという観点から決められます。

別居をすることができても、子どもの養育がまともにできない状況であるような場合には、親権争いで負けてしまうこともあるのです。
親や兄弟などから援助を得られるようであれば得る、不安があるような場合には行政と相談して必要な援助を得るなどして、子どもの養育環境をきちんと整えるようにしましょう。

離婚に必要な証拠・資料を揃えておく

別居の前に離婚に必要な証拠・資料を揃えておきましょう。
上述した通り、別居をした後に新たに証拠・資料を揃えるのは非常に難しくなります。
別居までの間に離婚に必要な証拠・資料をしっかり揃えておきましょう。

財産や収入などを調べておく

別居前に財産や収入などをしっかり調べておきましょう。
上述したとおり、婚姻関係が破綻しようとしているときには、相手の財産や収入などが分からなくなっているようなことも珍しくありません。
財産をしっかり調べておかないと、財産を隠されることによって財産分与で著しく不利になる可能性があります。
また、特に給与の内容や支払い口座の情報などは、差し押さえを行う際に必要となるのできちんと調べておきましょう。

まとめ

このページでは、別居・別居前の準備についてお伝えしました。
別居は婚姻関係が破綻しているかどうかの判断に影響を及ぼすなど重要なものですが、安易に行うと証拠や資料などの収集が困難となったり、生活がうまくいかず自宅に戻らざるをえないことになります。
別居をする前に、再度どのようなことが必要かを確認いただき、できれば弁護士に相談して確認をしながら行うことをおすすめします。