相手が離婚に応じない・同意しない場合に離婚するには?
ざっくりポイント
  • 協議離婚・調停離婚をするには合意が必要
  • 相手が協議離婚・調停離婚に応じない場合には離婚裁判を起こす必要がある
  • 離婚裁判を起こして請求が認められるには離婚原因が必要

目次

【Cross Talk 】夫が離婚に応じてくれないのですが…

夫と離婚をしようと交渉をしています。夫は世間体が悪いのか離婚には応じてくれず、話し合いは平行線のままです。相手が応じてくれない場合にはどんな手続きがありますか?

相手が離婚に応じない場合には、離婚裁判を提起して離婚をすることになります。基本的には裁判の提起前までに離婚調停を起こす必要があります。なお、離婚裁判を提起して請求が認められるには離婚原因が必要なのですが、離婚原因になる事実があるか教えてもらえますか?

はい、ぜひ相談させてください。

相手が離婚に応じない・同意しない場合にはどうすればいい?

相手と離婚の交渉をしても、離婚に応じない・同意しない場合にはどうすればいいのでしょうか?離婚には主に協議離婚・調停離婚・裁判離婚があるのですが、協議離婚・調停離婚をするためには双方が離婚に合意する必要があります。そのため、相手が離婚に応じない以上は、協議離婚・調停離婚で離婚することはできません。そこで離婚裁判の提起が必要なのですが、離婚裁判を提起して請求が認められるためには離婚原因が必要となります。以上の前提を詳しく確認しつつ、離婚に応じない場合の対応方法について確認しましょう。

相手が離婚に応じない・同意しない場合に離婚するための方法

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚には主に協議離婚・調停離婚・裁判離婚がある
  • 相手が離婚に応じない場合には離婚裁判で離婚する必要がある

相手が離婚に応じない場合にはどのように離婚するのでしょうか。

離婚裁判でしか離婚できません。

相手が離婚に応じない・同意しない場合に離婚するための方法としては、離婚裁判を提起する必要があります。

協議離婚・調停離婚をするためには相手の同意が必要

離婚には主に、協議離婚・調停離婚・裁判離婚があります。
協議離婚の場合には、双方が離婚に応じて離婚届を作成して提出しなければ離婚の効力は発生しませんし、調停離婚の場合には、双方が離婚に合意しなければ調停は成立しません。
そのため、協議離婚・調停離婚では、双方が離婚に同意しない場合には離婚ができません。

裁判離婚では相手の同意がなくても離婚ができる

一方で、裁判離婚の場合、裁判官が離婚という判決を下し、その効力が確定すると離婚となります。
そのため、裁判離婚では、相手の同意がなくても離婚が可能です。

離婚裁判を提起して請求が認められるためには離婚原因が必要

注意が必要なのが、離婚裁判を提起して請求が認められるためには、離婚原因が必要であることです。
民法770条1項は次のように定めています。

(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

民法770条1項各号に規定されていることを「離婚原因」と法律の世界では呼んでいます。
離婚裁判を提起して請求が認められるためには、離婚原因が必要となるのです。

今すぐ離婚するための離婚原因がない場合

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚原因がない場合には今すぐ離婚の裁判を起こしても認められない可能性が高い
  • 離婚原因がない場合に同意しない相手と離婚するための方法

離婚原因にあたるものがない可能性があります。では離婚はもう絶対にできないのでしょうか。

離婚原因がない場合の対応方法について確認しましょう。

離婚原因がなく、今すぐ離婚裁判が起こしても請求が認められない可能性が高い場合にはどのようにすべきでしょうか。

相手との交渉を冷静に行う

離婚原因がない以上、離婚裁判を起こしても請求が認められない可能性が高いので、相手との交渉を冷静に行い、同意をしてもらうのが現実的な方法になります。
そこで、相手との交渉を冷静に行うようにしましょう。
離婚というのは、契約上のお金の支払いをどうするかという問題に比べて、当事者の感情が大きく左右する問題です。
離婚をしてほしくて相手に請求する際に、冷静さを失っているような場合には、感情的な対立に終始してしまう可能性が高く、同意を得ることは難しいといえます。
相手との交渉を冷静に行い、冷静に交渉が行えないときには、弁護士に交渉を依頼することを検討してみてください。

第三者も交えて誠実な話し合いをする

第三者も交えて誠実な話し合いをすることも一つの手です。
冗談・一時の気の迷い、くらいにしか思ってもらえないような場合には、当事者間での交渉が前に進まないことが多いです。
親や友人、仲人になってくれた方など、離婚の交渉が本気であることを伝えるために、第三者を交えて話をすることを検討しましょう。

別居をする

別居をすることを検討してみましょう。
別居をして、一定期間が経過すると、長期間別居をしているという事実は、夫婦の同居義務を果たせていないという認定がされ、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認定されることに繋がりやすくなります。
また、別居をしている期間でも、夫婦である間は婚姻費用の分担をする必要があり、相手の収入のほうが多い場合には、婚姻費用として金銭の請求ができます。
これによって、離婚への間接的なプレッシャーを与えることで、交渉がしやすくなる可能性もあります。

まとめ

このページでは、相手が離婚に応じない・同意しない場合の離婚についてお伝えしてきました。
離婚のうち、協議離婚・調停離婚をするためには相手の同意が必要ですが、裁判離婚をする場合には相手の同意は不要です。
ただし、離婚原因がなければ、離婚裁判の提起をしても請求が認められる可能性は高くありません。
ご自身の置かれている状況を確認し、離婚原因があるか、離婚原因がない場合には、離婚するためにどのような行動が必要か、弁護士に相談してみましょう。

この記事の監修者

弁護士 岩壁 美莉第二東京弁護士会 / 東京第二弁護士会 司法修習委員会委員
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