離婚する際の親権・養育費を決める方法
ざっくりポイント
  • 離婚をする場合の親権をどうやって決めるか
  • 離婚をする場合の養育費をどうやって決めるか
  • 養育費を決めた場合には公正証書を作成する

目次

【Cross Talk 】親権と養育費はどうやって決めますか?

離婚を検討しています。私達夫婦には子どもがいるので、子どもをどうするか決めないとなりません。親権や養育費はどのようにして決めるのでしょうか。

協議離婚の場合には離婚をするかどうかとは別途決めます。調停・裁判をする場合には調停や裁判の中で一緒に判断します。協議離婚をする際には養育費が払われなかったときのために公正証書にすることを忘れないでおきましょう。

そうなんですね!詳しく教えてもらっていいですか?

親権・養育費の決め方と自分に有利にするにはどうすればいいか知ろう

子どもがいる夫婦が離婚する場合に決めなければならないのが親権・養育費の問題です。親権・養育費をどのように決めるかは、離婚の種類によって異なります。離婚の種類ごとにどうやって親権・養育費を決めているのか、親権の獲得や養育費を多くもらうためのコツなどについてお伝えいたします。

離婚をする際の親権の決め方について解説

知っておきたい離婚のポイント
  • 調停離婚・裁判離婚の場合には離婚をするかどうかと一緒に決める
  • 自分に有利になるためのコツ

親権者が誰になるかはどうやって決めるんですか?

協議離婚の場合にはどちらが親権者になるか協議で決めます。親権者が決まらない場合にはそれだけで法的手続きを利用することもあります。調停離婚・裁判離婚の場合には手続きの中で一緒に決めます。

離婚において親権はどのように決めるのでしょうか。

親権とは

そもそも親権とは何でしょうか。
親権とは、未成年者の子どもの父母が、子どもに対して持っている身分上・財産上の権利の総称です。
民法では、子どもの成長・財産管理のために、様々な権利を規定しています。
例えば、

民法821条:居所の指定
民法823条:職業の許可
民法824条:財産の管理

これらの権利を総称したものが親権で、財産管理権および身上監護権(監護権)という種類のものがあります。
未成年者は父母の親権に服することになっており(民法818条1項)、父母の婚姻中は父母が共同で親権を行なうものとしています(民法818条3項)。

協議離婚をする場合の親権の決め方

協議離婚をする場合には、協議でどちらか一方を親権者とすることとされています(民法819条1項)。
また、同時に未成年者の身上監護や、離婚で別居することになるもう一方の親との面会交流に関するルールも決めることとされています(民法766条)。
離婚届を提出するときに、離婚届にどちらの親を親権者にしたかを記載する欄があり、そこに記載され戸籍に反映されることになります。

一度親権者を決めてしまうと、他方に戸籍を移すためには、家庭裁判所の許可が必要となるので注意が必要です(民法819条6項)。

親権だけが決まらない場合

協議離婚で、離婚に合意自体はしているものの、子どもの親権をどちらにするかのみが決まらないということもあります。
この場合には、家庭裁判所で協議に代わる審判を行なうとされています(民法819条5項)。

離婚調停・離婚裁判をする場合

離婚調停・離婚裁判をする場合には、その調停・裁判の中で親権についても定めます。
民法819条2項条は、裁判上の離婚の場合に裁判所が父母の一方を親権者と定めるとしており、調停の場合にも調停案の中で離婚をする場合にどちらかを親権者とする調停案が示されます。

親権を勝ち取るために有利となる事情

親権を勝ち取るためにはどのような事情があると有利なのでしょうか。
裁判所が親権者を定める際には子どもの福祉(=子どもが幸せに暮らすため)という観点から決められます。

このときに実務で良く言われるのが

・現状維持の原則
・母性優先の原則
・兄弟不分離の原則
の3つです。

現状維持の原則は、子どもの生活環境をできる限り変えないほうがいいという観点です。
母性優先の原則はつまり母親と暮らすほうが望ましいとする観点で、特に子どもが幼いうちは母親と一緒に暮らすほうが望ましいと考えれることが多いです。
兄弟不分離の原則は、文字通り兄弟はなるべく一緒に暮らした方が良いと考えるものです。
このような原則から、母親が育児で中心的な役割をしていることから、母親が親権を獲得することが多いです。

そのため、母親側としては、育児に不適切であるという事情を認定されないようにすべきといえ、逆に男性側としては母親が子どもを育てるのが不適切であるという事情と証拠を集めることになります。

・子育てへの関与実態
・虐待・ネグレクトなど子どもの養育にマイナスの事情
・子どもの年齢が高い場合には子どもの意思が尊重される

以上のような事情を認定してもらえるようにします。
このような事情を認定できる証拠などをしっかり掴んでいれば、調停・審判をしなくても親権を諦めるような方向に持っていけるので、交渉でも有利となります。

離婚をする際の養育費の決め方

知っておきたい離婚のポイント
  • 養育費の決め方
  • 決めた養育費の内容は公正証書にする

親権が私になった場合には養育費をもらえると思うんですが、これはどのように決まりますか?

同じく協議離婚と裁判・調停離婚に分けて確認しましょう。

養育費の決め方について確認しましょう。

協議離婚をする場合の養育費の決め方

協議離婚をする場合に、養育費もあわせて協議で決めることができます。
養育費にはいろいろな決め方がありますが、

・毎月いくら支払うか
・子どもが何歳まで支払うか
・その他条件

以上を念頭に交渉してみましょう。

養育費というと子どもが成人までという考えの方も多いのですが、大学を卒業するのが一般的になっている昨今、大学卒業までは養育費を支払うという取り扱いも増えています。
毎月いくら支払うかについては、家計事情を考慮して無理のない範囲に設定するのが良いでしょう。
離婚をする以上何がなんでも生活に支障がないように支払わせるべき、と考えることも多いのですが、無理な支払いを強いると不払いに繋がりかねません。
その他、例えば大学卒業の22歳まで支払うとした場合に、大学に進学しなかった場合はどうするか、浪人・留年をした場合にはどうするか、といったことまできちんと詰めておくことが望ましいといえます。

離婚後に養育費を決めることも可能

養育費は離婚前に決めてしまうのが望ましいですが、養育費については子どもが未成年者であるうちには親である以上支払う義務があります。
そのため、離婚後に養育費の支払いをしてもらうことも可能です。
ただ、一度連絡を絶った後に、養育費の支払いを求めて交渉をするのは一般的に困難となるので、できる限り離婚前から交渉をしておくのが良いでしょう。

なお、離婚時には財産分与・慰謝料などの支払いも一緒に求めることがありますがが、財産分与については離婚から2年の除斥期間が、慰謝料については3年で時効となるので注意しましょう。
養育費の支払いをしない場合には調停・審判を利用して養育費を決めます。

養育費は公正証書にすることが望ましい

養育費の取り決めについては口約束だけでは不十分です。
かならず書面にしておき、できれば公正証書を作成するようにしましょう。
もし養育費の支払いがない場合、通常の書面(念書)にしている場合には、その書面をもとに民事訴訟をしなければなりません。
一方で公正証書がある場合には、すぐに強制執行をすることが可能です。
養育費の取り決めは公正証書にしておくようにしましょう。

離婚調停・離婚裁判での養育費の決め方

離婚調停・離婚裁判では、手続きの中で養育費を決定します。
調停が成立した・裁判が確定した場合には、養育費の支払いがなければ調停調書・確定判決で直ちに強制執行をすることが可能です。

一度決まった養育費の変更

一度決まった養育費ですが、例えば支払う側の収入が減った、再婚をしたなどの事情がある場合に、養育費の額の変更をすることが可能です。
手続きは任意の交渉でもされますし、話し合いで決まらない場合には調停・審判によります。

まとめ

このページでは、親権・養育費の取り決めについてお伝えしました。
離婚をする夫婦に子どもがいる場合には必ず問題になります。
親権の決定・養育費の支払いがスムーズにいかない場合には、弁護士に相談してみてください。