スピード離婚で慰謝料を請求するためには?
ざっくりポイント
  • スピード離婚とは?
  • スピード離婚で慰謝料を請求できる場合・できない場合とは?
  • スピード離婚で慰謝料を請求する方法とは?

目次

【Cross Talk 】スピード離婚でも慰謝料を請求することはできますか?

夫とスピード離婚をしたのですが、相手に慰謝料を請求することはできますか?

スピード離婚であっても慰謝料を請求できる可能性があります。

スピード離婚の慰謝料請求について、詳しく教えてください。

スピード離婚であっても慰謝料を請求できる可能性がある

結婚した夫婦が短期間の間に離婚してしまうことをスピード離婚ということがあります。スピード離婚は、結婚生活が短いことから、精神的な苦痛がそこまで大きくならないのが特徴です。それでは、スピード離婚をした場合でも、相手に慰謝料を請求できる場合はあるのでしょうか。また、スピード離婚で慰謝料を請求できない場合や、慰謝料を請求するための流れはどのようなものなのでしょうか。この記事では、このような疑問点について、弁護士が詳しく解説していきます。

スピード離婚とは?

知っておきたい離婚のポイント
  • スピード離婚とは?
  • スピード離婚に至る主な原因とは?

夫婦が離婚をする場合、どのようなものがスピード離婚と呼ばれているのでしょうか?

ここでは、スピード離婚の定義やその主な原因について解説していきます。

スピード離婚とは

結婚は人生の一大イベントですが、全ての夫婦が長く幸せな結婚生活を送れるわけではありません。特に、結婚してから短期間で離婚に至る「スピード離婚」は近年増加傾向にあります。

そもそも「スピード離婚」には明確な定義はありませんが、一般的には結婚してから3年未満で離婚することを指します。

令和3年に厚生労働省が調査した「人口動態統計」によると、婚姻後3年以内に離婚した夫婦は、離婚した夫婦全体の18.7%。婚姻後2年以内に離婚した夫婦の割合は12.2%という結果でした。現代では、決して珍しいとは言えないことがわかります。

スピード離婚に至る主な原因・理由

スピード離婚に至る主な原因や理由として、以下のようなものがあります。

配偶者の不倫

スピード離婚の理由として多いのが配偶者の不倫です。結婚前から浮気していたが、結婚後に発覚する場合や、「結婚したら落ち着くだろう」と思っていたのに変わらなかった場合もあります。不倫が発覚すると信頼関係が一瞬で崩れ、修復が困難になり、離婚へとつながります。

借金が発覚

結婚後に配偶者の借金が発覚し、経済的な不安から離婚する場合もあります。借金があることを隠していたことで信頼関係が損なわれたり、返済に追われる生活に耐えられなくなったりすることが理由です。また、借金が原因でブラックリストに載り、ローンが組めなくなると、今後の生活設計にも大きな影響を与えます。

性格の不一致

結婚前はお互いを理解していたつもりでも、実際に結婚生活を始めると価値観や生活習慣の違いが明らかになり、衝突が増えることがあります。特に同棲経験がないカップルは、生活リズムや家事の分担、金銭感覚などの違いに戸惑い、早期に離婚を決断する場合が多いです。

スピード離婚で慰謝料はもらえる?

知っておきたい離婚のポイント
  • スピード離婚でも慰謝料を請求できる可能性がある
  • スピード離婚の慰謝料の相場とは?

スピード離婚でも慰謝料を受け取ることはできますか?

スピード離婚であっても慰謝料を請求できる可能性は十分あります。

スピード離婚でも慰謝料の請求はできる

慰謝料とは、離婚によって被った精神的な苦痛に対する損害賠償です。スピード離婚であっても、相手に婚姻関係の破綻の原因がある場合は慰謝料を請求できます。

スピード離婚で慰謝料を請求することができるのは、以下のような場合です。

不貞行為(不倫)

配偶者が自由意思で異性と性的関係を持った場合、これは不貞行為とされ、慰謝料請求の対象になります。デートやキス程度では不貞行為と認められにくいですが、証拠があれば慰謝料を請求できる可能性が高まります。

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不貞行為ってどういう意味?された場合の慰謝料請求などについて解説

悪意の遺棄

正当な理由なく夫婦の義務(同居・扶助・協力)を放棄した場合、慰謝料請求が可能です。
具体例として、一方的に家を出て別居したり、収入があるのに生活費を一切渡さなかったりする場合が挙げられます。

DV・モラハラ

身体的な暴力(DV)や、言葉の暴力(モラハラ)を受けた場合、慰謝料請求ができます。特にDVは裁判でも強く認められやすいですが、モラハラは証拠が残りにくいため、録音やメッセージの保存が重要です。

ただし、慰謝料の金額は、婚姻期間や有責性の程度などを考慮して決まります。そのため、スピード離婚の場合は、相当程度婚姻期間が継続していた離婚よりも慰謝料が低くなる傾向があります。また、婚姻期間が短いと「離婚自体による精神的苦痛が少ない」と判断され、慰謝料が減額されることもあります。

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モラハラをする相手と離婚したい!慰謝料の相場や方法・事例とは

スピード離婚の慰謝料の相場

裁判上の一般的な離婚慰謝料の相場は以下の通りです。

  • 不貞行為(不倫):100万~300万円
  • 悪意の遺棄:50万~200万円
  • DV(暴力):50万~200万円

ただし、上記はあくまで一般的な相場であり、スピード離婚の場合には、相場よりもさらに低額になる可能性があります。

スピード離婚で慰謝料を請求できない場合とは

知っておきたい離婚のポイント
  • スピード離婚で慰謝料を請求できない場合は?

スピード離婚で慰謝料を請求できないのはどのような場合なのでしょうか?

スピード離婚で相手に有責性がない場合には、慰謝料を請求できません。

性格の不一致

性格の不一致は、離婚理由としてもっとも一般的なもののひとつです。しかし、この理由で離婚する場合、慰謝料を請求することはできません。
慰謝料を請求するためには、相手に有責性(法的に責任を問える事情)があることが必要です。
しかし、性格の不一致は、夫婦のどちらかが一方的に悪いわけではないため、慰謝料の対象になりません。

スピード離婚では、「価値観が合わない」「一緒に暮らしてみたら想像と違った」などの理由で離婚を決意することが多いですが、これは個人の相性の問題であり、法的な責任を追及できるものではないのです。

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性格の不一致で離婚をすることはできるのか?その場合の慰謝料などについて解説

親族との不仲

配偶者の両親や親戚との関係がうまくいかず、それが原因でスピード離婚に至ることもあります。
しかし、親族との不仲は、夫婦間の問題ではなく、相手の家族との関係によるものであるため、相手の配偶者が直接的に婚姻関係を破綻させたわけではないと判断され、原則として慰謝料請求は認められません。
ただし、配偶者が意図的に家族と共謀して嫌がらせをしたり、モラハラを行ったりしていた場合は、慰謝料請求が認められる可能性もあります。

夫婦関係が既に破綻していた

不貞行為(不倫)は、慰謝料を請求できる代表的な離婚理由のひとつですが、夫婦関係が既に破綻していた場合には慰謝料請求が認められないことがあります。
慰謝料は、「相手の行為によって婚姻関係が破綻した」場合に請求できます。しかし、すでに夫婦関係が破綻していた場合、不貞行為が直接的な離婚の原因とはいえないため、慰謝料請求が認められません。

スピード離婚で慰謝料を請求する流れ

知っておきたい離婚のポイント
  • スピード離婚で慰謝料を請求する流れとは?
  • 話し合いで解決できない場合には、離婚調停を活用する

スピード離婚で慰謝料を請求するにはどうすればいいのでしょうか?

ここでは、スピード離婚で慰謝料を請求する流れを解説していきます。

当事者で話し合う

スピード離婚で慰謝料を請求する場合には、当事者で話し合いを行うことになります。
示談交渉では、慰謝料の金額が争点となることが多いため、相場に基づいた適切な金額を提示することが重要です。この示談交渉を弁護士に依頼することができます。

調停・裁判

示談で合意できなかった場合、家庭裁判所に離婚調停を申立てます。調停では、裁判官と調停委員を交えて話し合いが行われ、慰謝料の支払いについて合意を目指します。
調停でも解決しない場合は、離婚訴訟(裁判)を提起し、裁判所に最終判断を委ねることになります。裁判では、証拠をもとに有責性や慰謝料の適正額が判断されることになります。

慰謝料の支払い

示談交渉や調停で合意が成立した場合、合意内容に従って慰謝料が支払われます。支払い方法としては、一括払いと分割払いがあります。裁判で慰謝料の支払いが命じられても、相手が支払いを拒否する場合があります。その際は、強制執行の手続きを申立てることで、相手の給与や財産を差し押さえることも可能です。

まとめ

スピード離婚であっても慰謝料を請求できる可能性があります。また、離婚の際に相手に請求できるものとして、慰謝料のほかに婚姻費用や財産分与、養育費などの金銭もあります。
そのため、スピード離婚で相手から慰謝料を受け取りたいと考えている場合には、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめ致します。当事務所には、離婚に強い弁護士が在籍しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。