不妊であることを理由に離婚できるのか
ざっくりポイント
  • 相手が合意しない場合には離婚裁判を提起して離婚する必要がある
  • 離婚裁判を提起するためには離婚原因が必要
  • 不妊であることだけでは離婚原因とはならないが他の理由と併せて離婚できることも

目次

【Cross Talk 】不妊の妻と離婚はできますか?

妻と離婚を考えています。私は子どもが好きですし、私の父母も孫の顔が見たいと言っており、子どもが欲しいのですが、妻の不妊が原因で夫婦仲が既に冷めきってしまっています。そのため、妻と離婚しようと思っています。

不妊であることだけで離婚するのは難しいかもしれませんが、他にも夫婦関係の破綻となる原因があれば離婚をすることができることもあります。

不妊の妻と離婚ができる?不妊は離婚原因となるのか?

離婚について合意できない場合には、離婚調停、最終的には離婚裁判を起こすことになります。離婚裁判を起こすためには離婚原因が必要なのですが、不妊は離婚原因となるのでしょうか。

このページでは不妊は離婚原因となるのかについて、を中心にお伝えいたします。

不妊であることを理由に離婚できる?

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚裁判を提起するためには離婚原因が必要
  • 不妊であるというだけでは離婚原因とはならない

不妊であることを理由に離婚は可能なのでしょうか。

離婚をするために必要な離婚原因となるか確認をしましょう。

不妊であることを理由に離婚をすることはできるのでしょうか。

協議離婚・調停離婚の場合には合意があれば離婚ができる

離婚にはいくつか種類がありますが、協議離婚・調停離婚では当事者が離婚に合意をすれば離婚は可能です。
そして、離婚に合意ができさえすれば、どのようなことが原因で離婚をするのか離婚理由も問いません。
そのため、不妊を原因に離婚をすることも可能です。

離婚裁判の提起には離婚原因が必要

しかし、協議離婚・調停離婚で離婚できない場合、離婚裁判を起こして離婚する必要があります。

離婚裁判を起こすためには、民法770条1項1号所定の離婚原因が必要となります。

(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

不妊であるというだけで離婚原因とはならない

不妊であることは民法770条1項各号の規定はありません。
該当の余地があるとすれば、5号の「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」ですが、不妊を理由にこれに該当することにはなりません。
そのため、不妊であるというだけで離婚原因になるわけではありません。

しかし、不妊であることやその他の原因によって、婚姻関係が破綻しているといえるような場合には、民法770条1項5号で定められた「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」にあたるとされ、離婚原因となることがあります。
そのため、不妊であることなど婚姻関係がどのようになっているかを総合的に判断し、婚姻関係が破綻しているような場合には、離婚調停を起こし、最終的には離婚裁判の手続きをとおして、離婚をすることが可能です。

不妊で離婚したい場合の対応方法

知っておきたい離婚のポイント
  • 他の離婚原因がある場合にはその離婚原因を主張する
  • 証拠の収集は念入りに行う

不妊を理由に離婚したい場合にはどのようなことをすれば良いでしょうか。

まず、他に離婚原因があるような場合にはそちらを主張すべきです。また、婚姻関係の破綻を認定するための証拠の収集も念入りに行うようにしましょう。

不妊で離婚したい場合の対応方法について確認しましょう。

別の離婚原因がないか検討する

まず、別の離婚原因がないかを検討しましょう。
不妊であるということだけで婚姻関係の破綻を認定することは非常に難しいです。

相手が不倫をしているような場合には、民法770条1項1号で離婚原因となりますし、相手が家を出ていってしまったような場合には2号の悪意に遺棄にあたりえます。
ほかにもDV・モラハラがあるような場合には、不妊であることとこれらの事実を総合考慮して婚姻関係の破綻が認定できる可能性があります。
これらの別の離婚原因がないかはきちんと検討しましょう。

夫婦関係が破綻している証拠をきちんと集める

夫婦関係が破綻している証拠をきちんと集めましょう。

夫婦関係が破綻しているかどうかは、互いの主張や証拠に基づいて認定が行われます。
夫婦関係が破綻していることの客観的な証拠が少ないと、夫婦関係の破綻を認定できずに、離婚原因はないとして離婚ができないこともあります。
また、夫婦関係が破綻していることの立証ができると、訴訟に移行する前段階で離婚をすることも可能となりえます。

そのため、夫婦関係が破綻している証拠を集めることは非常に重要であるといえます。
不妊であることの証拠は、不妊治療をしていたことを証明する証拠などで証明します。
その他の夫婦関係の破綻を認定できる証拠については、状況によって異なるので、弁護士に相談するようにしてください。

第三者も交えて誠実な話し合いをする

以上述べてきたように、不妊であることのみを理由として離婚をしたい場合に法的な意味で離婚原因と評価するのは、難しいように思えます。
ただし、夫婦関係の調整という意味で弁護士に依頼をし、協議の下で離婚が成立する例も少なくはありません。
そのため、どうしても離婚をするというのであれば、話し合いで離婚ができないかを検討できるといいでしょう。
弁護士などの専門家をを交えて誠実に話し合いをし、、協議離婚をすることが望ましいでしょう。

まとめ

このページでは不妊が原因で妻と離婚できるのかについてお伝えしました。
相手が離婚に合意しない場合には、民法770条1項各号所定の離婚原因がなければ離婚裁判の提起ができません。
不妊は離婚原因ではないのですが、不妊など現在の夫婦事情からみて、夫婦関係が破綻している場合に5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」であるとして離婚原因があると判断されます。
不妊だけで離婚することは非常に難しい上に、証拠の収集を適切に行わなければ、離婚をすることは非常に困難です。
まずは弁護士に相談して、離婚するためにはどのようにすれば良いか相談してみることをおすすめいたします。