浮気をされたことを会社に報告するのはNG!
ざっくりポイント
  • 不貞行為とは
  • 会社に不貞行為があったと報告するのがどうしてNGか
  • 不貞行為をされた場合の対応方法

目次

【Cross Talk 】夫が不貞行為をしているのを会社に言ったほうが良いでしょうか?

夫が不倫をしました。会社で不倫をしたようなので、会社に不倫をしたことを伝えようと思うのですが……。

社内の方と不倫をしたことを会社に伝えた場合、夫が懲戒処分を下されるなどで会社での地位を下げるばかりか、やり方が悪いと脅迫や名誉毀損となります。夫・相手に慰謝料請求をする、夫と離婚を検討するなどが良いでしょう。

聞いておいてよかったです。詳しく教えてください。

夫が不倫をした場合に会社に報告するのはNG!

特に夫が会社の女性と不倫をしたような場合によく問題になるのが、会社に不倫・浮気の事実を報告するかという問題です。
会社の女性と不倫をしたような場合、会社としては社内の風紀を乱したという理由で会社の女性に懲戒処分をすることがあり、これを狙って会社に報告することがあります。
しかし、不倫は両当事者によって行われるので、不倫相手のみならず夫も懲戒処分の対象になるばかりか、相手に退職を迫るようなことがあれば、脅迫・強要といった刑事事件に発展しかねません。
このような場合の対処方法と一緒に検討しましょう。

不貞行為(不倫・浮気)をされたことを会社に報告するのはNG!

知っておきたい離婚のポイント
  • 不貞行為(不倫・浮気)とは
  • 不倫をされたことを会社に報告するのはNG!

不倫を会社に伝えるのはNGなんですね。

はい。やり方次第では刑事事件になりかねないので、会社に報告するのはNGであると考えましょう。

不倫されたことを会社に報告するのはNGです。

不貞行為とは

不貞行為とは、民法770条1項1号に規定されている離婚原因の一つで、配偶者以外の方と肉体関係・性的関係を持つことをいいます。
一般的には不倫・浮気と呼ばれますが、不貞行為については肉体関係・性的関係という意味で狭く解釈することを知っておいてください。
このページでは「不倫」という表現で統一します。

社内の方と不倫をしたと会社に報告するとどうなる

まず、社内の方と不倫をした場合、会社に報告するとどうなるのでしょうか。
会社は、従業員全員が適切に仕事ができるように、会社内の秩序や風紀を維持する必要があります。
社内の人間同士が不倫をすることで、社内で恋人のような振る舞いを公然としているような場合や、業務でひいきするなど、会社内の秩序や風紀を乱していると判断できる場合には、懲戒処分をすることがあります。

懲戒処分をする際には証拠が必要であるため、周りの方に対する聞き込み調査が行われ、これによって不倫の事実を広く知られる可能性があります。
また、実際に懲戒処分されると、不倫相手だけではなく、配偶者も処分の対象となるため、出勤停止・給与の減額などの処分を受ける可能性もあり、事実上会社での重要なポジションを失うような場合もあります。

単に不倫をしたと会社に報告しても会社では何もできない

社内での不倫ではなく、会社とは全く関係なく不倫をしたような場合は、会社に報告をしても、会社の秩序・風紀とは関係のないプライベートなことなので、社内で何らかの処分を下すようなことはできません。
そのため、会社に報告することに全く意味はないのです。

不倫をしたことを会社に報告しようとして刑事事件になる場合

不倫をしたことを会社に報告しようとしたときに、やり方を間違えて刑事事件に発展する可能性もあります。
不倫をしたことを多数の人がいるところで、周囲に聞こえるように報告するような場合には、名誉毀損罪(刑法230条)が成立しえます。

配偶者や不倫の相手方を侮辱した場合に成立する可能性があるのは、侮辱罪(刑法231条)です。
不倫相手を脅迫すれば脅迫罪(刑法222条)が、相手に謝罪や土下座を強要したり、会社に解雇を強要すれば強要罪(刑法223条未遂も含む)なども成立しえます。
会社に直接訪問して騒ぎ立てるようなことをすると、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する可能性もあります。

冷静に行動できなくなり、こういった犯罪を犯してしまうリスクがあるので、会社に報告するという行為はNGと考えるべきです。

不貞行為(不倫・浮気)をされた場合の対応

知っておきたい離婚のポイント
  • 配偶者・不倫の相手方に慰謝料請求をする
  • 配偶者と離婚する

不倫をされた場合の対応方法にはどのようなものがありますか?

配偶者・不倫の相手方に慰謝料請求をすることと、配偶者と離婚することが挙げられます。

不倫をされた場合の対応方法には次のようなものが考えられます。

配偶者に慰謝料を請求する

不倫をした配偶者に慰謝料を請求することができます。
この場合、離婚をしないで慰謝料を請求することも可能です。

不倫相手に慰謝料を請求する

不倫相手に慰謝料を請求することができます。
慰謝料は、精神的苦痛に対する損害賠償として支払われるもので、不倫の場合には配偶者と不倫相手が共同して不法行為を行ったものとされます。

そのため、不倫相手にも慰謝料を請求することができます。
なお、不倫相手に対して慰謝料全額を請求することも可能なのですが、この場合不倫相手は配偶者に対して負担部分を請求する求償という方法で支払いを求めることができます。
配偶者とかかわり合いをもってほしくないのであれば、慰謝料のうち不倫相手が負担すべき部分についてのみ請求するのが良いでしょう。

配偶者に離婚を請求する

配偶者との婚姻関係が破綻してしまっているのであれば、離婚も検討しましょう。
配偶者が離婚を拒む場合でも、民法770条1項1号の不貞行為に該当する行為を行っている以上、離婚裁判の請求が認められる可能性が高くなります。

まとめ

このページでは、不倫をされた場合に、会社に報告することはNGであることを中心にお伝えしました。
配偶者が会社から懲戒処分を受けるなどして、婚姻生活を続けるにあたって不利益を被る可能性があることに加え、つい頭に血が上ってやってしまったことが刑事事件に繋がるおそれもあります。
そのため、慰謝料請求を行う・離婚をするといった方法で対応するようにしましょう。慰謝料や離婚の具体的な請求方法については、専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。

この記事の監修者

弁護士 岩壁 美莉第二東京弁護士会 / 東京第二弁護士会 司法修習委員会委員
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