熟年離婚をすべきタイミングとは?
ざっくりポイント
  • 熟年離婚とは?
  • 熟年離婚に至る理由や原因とは?
  • 熟年離婚を切る出すべきタイミングはいつ?

目次

【Cross Talk 】熟年離婚をするタイミングはいつが最適でしょうか?

熟年離婚を検討していますが、どのようなタイミングで離婚すべきでしょうか?

お子様が自立したときや、相手の退職時に熟年離婚を検討する方が多いと言われています。

熟年離婚のタイミングについて、詳しく教えてください。

熟年離婚をすべきベストなタイミングとは?

長年連れ添っていた夫婦であっても、様々な理由や原因で離婚に至る場合があります。婚姻期間が長い年配の夫婦の離婚を熟年離婚といわれることがあります。そもそも、熟年離婚とはどのようなもので、熟年離婚の原因・理由にはどのようなものがあるのでしょうか?また、熟年離婚を検討すべきベストなタイミングはいつなのでしょうか。
この記事では、このような疑問点について、弁護士がわかりやすく解説していきます。

熟年離婚とは?

知っておきたい離婚のポイント
  • 熟年離婚とは?
  • 近年、熟年離婚は増加傾向にある

そもそも熟年離婚とはどのようなものなのでしょうか?

ここでは、熟年離婚の概要や近年の動向について解説していきます。

熟年離婚については明確な定義はありませんが、一般的には、長年連れ添った夫婦が数十年の婚姻関係に終止符を打ち離婚することを指します。
年齢でいうと50代以上の方が離婚をする場合に熟年離婚と言われる傾向がありますが、一概に年齢のみで定義されるものではありません。長年の結婚生活で積み重なった不満や、価値観のずれなどが原因で、人生の後半において新たなスタートを切るために離婚をする場合を熟年離婚と呼ぶことが多いです。

同居期間別の離婚件数によると、同居期間が「20年以上」の夫婦が離婚する割合が年々上昇傾向にあり、令和2年には全体の2割以上※を占めています。そのため、熟年離婚の件数は増加傾向にあると考えられます。

このような背景には、女性の社会進出による経済的自立や年金分割制度の整備などが挙げられ、経済的な不安が軽減され、精神的な自由を求める女性が増えたと考えられます。また、男性側から熟年離婚を切り出すこともありますが、依然として女性からの申し出が多いのが現状です。

熟年離婚は、若い世代の離婚とは異なり、子どもが既に独立している場合が多いため、親権や養育費でもめることは少ない傾向があります。しかし、長年の結婚生活で築き上げた財産の分与や、年金分割など、金銭的な問題が複雑になることがあります。特に、退職金の扱いや不動産の評価などは、専門的な知識が必要となるため、弁護士などの専門家に相談することが望ましいでしょう。

熟年離婚を検討する際には、離婚後の生活設計、経済状況、精神的な準備など、考慮すべき点は多岐にわたります。後悔のない選択をするためにも弁護士に相談しながら、慎重に検討を進めることが大切です。

※参照元:厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況」

熟年離婚の理由・原因

知っておきたい離婚のポイント
  • 熟年離婚の理由・原因とは?
  • 既に夫婦関係が破綻している場合も少なくない

熟年離婚をする夫婦の特徴にはどのようなものがありますか?

ここでは、熟年離婚に至る理由や原因について解説していきます。

熟年離婚に至る背景には、長年連れ添った夫婦ならではの複雑な要因が絡み合っています。ここでは、熟年離婚の主な理由・原因について、具体的に解説します。

夫婦関係が冷え切っている

長年の生活の中で、会話が減ったり、互いへの関心が薄れたりと夫婦関係が冷え切ってしまうことは少なくありません。特に、夫の定年退職後、夫が家にいる時間が増えることで、それまで表面化しなかった不満が顕在化し、離婚に至る場合も見られます。
顔を合わせるたびにストレスを感じ、一緒にいることが苦痛になるような状態は、熟年離婚の大きな要因となります。

性格の不一致

若い頃は互いに惹かれ合っていても、長年生活を共にするうちに、価値観や性格の不一致が顕著になることがあります。金銭感覚、家事・育児へのスタンス、趣味嗜好など、様々な面でのずれが、徐々に不満となって蓄積されていきます。特に、子どもの独立や定年退職など、人生の転機を迎えるタイミングで、残りの人生を自分らしく生きたいという気持ちが強まり、離婚を決意する場合が多いようです。

借金や浪費癖

定年退職後の生活設計が具体的に見えてくる時期に、配偶者の借金や浪費癖が発覚した場合、熟年離婚の大きな引き金となります。本来であれば、退職金や年金でゆとりある老後を送るはずが、借金の返済や生活費の補填に追われることになれば、将来への不安は計り知れません。特に、ギャンブルや浪費が原因の場合、改善の見込みが薄く、離婚を選択せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

浮気や暴力・精神的虐待

配偶者の浮気や不倫は、信頼関係を根底から崩壊させる行為であり、熟年離婚の大きな要因です。近年では、SNSやマッチングアプリなどを利用した出会いも増え、熟年世代の不倫も増加傾向にあります。また、長年にわたるDVやモラハラも、熟年離婚の深刻な原因の一つです。子どもが独立するまでは我慢していたものの、自分の人生を取り戻すために離婚を決意する場合も少なくありません。

介護の問題

高齢化が進む現代において、介護の問題も熟年離婚の新たな要因となっています。特に、義理の親の介護を巡っては、夫婦間の協力体制が崩れ、不満が募ることがあります。介護の負担が一方に偏ったり、配偶者が全く協力してくれなかったりする場合、精神的な疲労が限界に達し、離婚に至る場合も少なくありません。

これらの要因は、単独で存在するのではなく、複合的に絡み合っていることがほとんどです。長年の積み重ねによる不満やストレスが、人生の転機を機に爆発し、熟年離婚という決断に至るのです。

熟年離婚を切り出すベストなタイミング

知っておきたい離婚のポイント
  • 熟年離婚を切り出すベストなタイミングとは?
  • 子どもの自立や、配偶者の退職時に熟年離婚を検討することが多い

熟年離婚のタイミングはいつが良いのでしょうか?

ここでは、熟年離婚を切り出すベストなタイミングについて解説していきます。

子どもが自立したタイミング

子どもがまだ幼い場合、離婚は子どもの心に大きな影響を与える可能性があります。学費や生活費の心配もあり、離婚に踏み切れない方もいるでしょう。

しかし、子どもが経済的・精神的に自立すれば、親としての責任は一段落します。子どもの成長は、夫婦が自分たちの人生を再設計する上で、一つの区切りとなるでしょう。「子どもが独立した今なら、自分のために生きても良いのではないか」と、前向きに離婚を考えることができるタイミングとなります。

配偶者が退職したタイミング

長年連れ添った夫婦にとって、退職金の存在は無視できません。
退職金は、夫婦の共有財産として財産分与の対象となる可能性があります。そのため、配偶者が退職金を手にし、ある程度財産分与の見通しが立った時点で離婚を切り出すことは、経済的な安定を確保する上で賢明な判断と言えるでしょう。
また、退職を機に生活スタイルが大きく変わることで、夫婦関係を見直す良い機会となる場合もあります。

自力で収入を得られるようになったタイミング

専業主婦(主夫)の場合、離婚後の経済的な不安は大きな懸念材料です。しかし、定職に就き、安定した収入を得られるようになれば、経済的な自立が可能となります。経済的な不安が解消されることで、精神的な余裕が生まれ、離婚へのハードルが下がるでしょう。
ご自身の収入があることで、離婚後の住環境や生活費についても、配偶者に依存する必要がなくなるため、離婚を検討するタイミングとなる可能性があります。

これらのタイミングは、あくまで一般的な目安です。夫婦によって状況は異なるため、自分たちにとって最適なタイミングを見極めることが重要です。また、必要に応じて、弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることも検討しましょう。

熟年離婚を弁護士に相談すべき理由

知っておきたい離婚のポイント
  • 熟年離婚を弁護士に相談するメリットとは?
  • 相手との交渉や書類作成、裁判手続きを一任できる

熟年離婚を検討している場合には、弁護士に相談すべきなのでしょうか?

ここでは、熟年離婚を弁護士に相談するメリットについて解説していきます。

相手との話し合いや交渉を任せられる

長年の結婚生活で積み重なった感情的な対立は、当事者同士の話し合いを困難にする場合があります。特に、熟年離婚では、過去の出来事や感情が蒸し返され、冷静な話し合いができないことも少なくありません。しかし、弁護士に相談することで、第三者として冷静かつ客観的に状況を分析し、あなたの代理人としてあなたが有利になるように、相手方と交渉してもらえます。
これにより、感情的な対立を避け、建設的な話し合いを進めることができます。

財産分与や慰謝料についても適切に判断できる

熟年離婚では、長年の結婚生活で築き上げた財産の分与が大きな争点となる可能性があります。
不動産、預貯金、退職金、年金など、多岐にわたる財産の評価や分割方法は、専門的な知識がなければ適切に判断することが難しいでしょう。
弁護士は、法律や判例に基づき、あなたの権利を最大限に守るためのサポートを行います。また、離婚に至る原因によっては、慰謝料を請求できる場合もあります。
弁護士は、証拠収集や法的な主張を行い、適切な慰謝料の獲得を目指します。

裁判に発展した場合にも対応を任せられる

話し合いで合意に至らない場合は、離婚調停や裁判に進むことになります。これらの手続きは、専門的な知識と経験が必要となり、当事者だけで対応するのは困難です。弁護士は、調停や裁判での主張、証拠提出、尋問など、あらゆる手続きをあなたに代わって行います。これにより、あなたは精神的な負担を軽減し、安心して手続きを進めることができます。

まとめ

熟年離婚に至る理由として、夫婦関係が冷めきっている、性格の不一致、金銭問題、異性問題など様々なものがあります。熟年離婚の場合には、財産分与や慰謝料などが主な争点になることが多く、不安な場合には弁護士に相談すべきでしょう。
当事務所には、熟年離婚を含む離婚事件の解決実績のある弁護士が在籍しておりますので、お悩みの方はぜひご相談ください。

<参照>
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon22/dl/suii.pdf