

- 離婚調停中に異性と会うと不貞行為になる?
- 離婚調停中に異性と会うことのデメリットとは?
- 離婚調停中に異性と会っても良い場合とは?
【Cross Talk 】離婚調停中に異性と会っても良いですか?
現在、離婚調停中なのですがその間に異性と会っても良いのでしょうか?
離婚調停中に異性と会うことには一定のリスクがあります。
離婚調停中に異性と会うリスクについて、詳しく教えてください。
夫婦は離婚する際に、話し合いで離婚条件を取り決めることができます。しかし、協議がまとまらない場合には、離婚調停を行う必要があります。それでは、離婚調停中に配偶者以外の異性と会うことは許されるのでしょうか。調停中に異性と会うことにはどのようなリスクがあるのでしょうか。さらに、異性と会っても良いのはどのような場合でしょうか。この記事では、上記のような疑問点について、弁護士が詳しく解説していきます。
離婚調停中に異性と会うのは許される?

- 離婚調停中に異性と会うのは許される?
- 離婚調停中に異性と会うのが不貞行為となる場合とは?
そもそも、離婚調停中に異性と会うことは許されるのでしょうか?
離婚調停中に異性と会うことが不貞行為に該当する場合は許されません。
離婚調停とは?
「離婚調停」は、家庭裁判所が主催する手続きであり、夫婦間の話し合いを通じて離婚や離婚後の親権、財産分与、慰謝料などの問題を解決するために行われます。正式には「夫婦関係調整調停」と呼ばれる制度です。
この手続きでは、公平な立場にある調停委員が夫婦の間に入り、当事者同士が冷静に話し合えるようにサポートします。そのため、感情的になりやすい問題についても、落ち着いて意見を交わすことが可能です。
離婚調停では、相手と直接顔を合わせずに話を進めることができます。
特に、相手が威圧的な態度を取る場合でも、不安を感じることなく交渉を進められる点は大きなメリットです。また、DVやストーカー被害を受けている場合でも、安全を確保しながら離婚手続きを進めることができます。さらに、離婚訴訟では判断が難しいような細かい条件についても、双方の合意のもとで取り決めることが可能となります。
離婚調停が成立した場合は、調停調書謄本を添えて市区町村役場に離婚届を提出することで、正式に離婚が成立します。
▼関連記事
離婚調停とはどのようなものか・費用・期間・有利にすすめるコツなどを紹介
不貞行為とは?
不貞行為とは、既婚者が配偶者以外の異性と自由な意思のもとで肉体関係を持つことを指します。
法律上、夫婦には互いに貞操を守る義務があり、不貞行為はその義務に違反する行為とみなされます。民法第770条1項1号では、不貞行為が離婚の理由として認められることが明記されており、裁判での離婚事由となる重要な離婚原因の一つです。また、婚姻届を提出していなくても、事実上夫婦同然の生活を送っている内縁関係の場合も不貞行為の対象になります。
不貞行為と認められる可能性があるのは、明確な肉体関係がある場合と、証拠が不十分でも肉体関係が推測できる場合です。そのため、以下のような行為は、直接的な証拠がなくても不貞行為と判断される可能性が高いです。
- ラブホテルを2人で利用していた場合
- 宿泊を伴う旅行に行っていた場合
- 異性と同棲している場合 など
夫婦でない男女が一緒に住んでいる場合、「肉体関係がない」と主張しても信用されにくく、不貞行為と判断される可能性があります。
▼関連記事
どこからが不貞行為?腕組みやキスは不貞行為として認められる?弁護士が解説
離婚調停中に異性と会うと不貞行為となる可能性
不貞行為とは、既婚者が配偶者以外の異性と自由な意思のもとで肉体関係を持つことを指すため、離婚調停中に異性と会うと不貞行為となってしまう可能性があります。以下のような場合は、離婚調停中に異性と会うことが不貞行為に該当すると評価される可能性があります。
- 明らかに肉体関係があると証明された
- 肉体関係が推測される行動が確認された
離婚調停中で夫婦が別居していたとしても、法的には婚姻関係が継続しているため、別居期間中に肉体関係を持つと不貞行為とみなされる可能性があります。例えば、別居後すぐに異性と関係を持った場合や、別居中でも相手方配偶者が夫婦関係の修復を試みていた場合には、不貞行為と評価される可能性があります。
離婚調停中に異性と会うデメリット

- 離婚調停中に異性と会うことのデメリットとは?
- 慰謝料を請求されるリスクがある
離婚調停中に異性と会うことはやめておいた方がいいのでしょうか?
ここでは、離婚調停中に異性と会うことのデメリットについて解説していきます。
離婚調停が不利になる
離婚調停中に新しい異性と関係を持つことには、様々なリスクが伴います。離婚調停では、裁判所が仲介しながら夫婦間の話し合いを進めていきます。その中で、調停委員は双方の主張を聞きながら、円満な解決を目指します。しかし、調停中に交際が発覚すると、調停委員の心証を悪くし、結果として不利な状況に陥る可能性があります。
特に、子どもの親権を争っている場合、「調停中に異性と関係を持つような方は親としての適格性に欠ける」と判断され、親権を獲得する方向で調停を進めることが難しくなるかもしれません。調停委員は公平な立場で話を進めるものの、当事者の行動によっては評価が変わることもあります。
また、本人が「既に婚姻関係が破綻している」と考えていたとしても、法律的にはまだ夫婦にあたります。そのため、調停中の異性関係は軽率な行動と受け取られやすく、相手側からの反発を招く原因にもなります。さらに、調停が不成立となり、裁判に発展した場合にも、異性との交際が裁判で不利な要素として扱われることがあります。
不貞行為を理由に慰謝料を請求される
離婚調停中の異性関係が不貞行為と認定されると、配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。離婚調停中であっても婚姻関係が継続している以上、第三者との肉体関係が発覚すると慰謝料の対象となる可能性が高いでしょう。
特に、離婚調停前から異性と関係を持っていた場合は、婚姻関係が破綻する前の不貞行為とみなされることになるため、慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。場合によっては、「夫婦関係を破綻させた原因を作った有責配偶者」と判断され、離婚条件が不利になるだけでなく、有責配偶者からの離婚請求として裁判離婚が認められない可能性が高くなります。この場合、相手が任意に離婚に応じない場合には離婚することができなくなってしまいます。
一方で、調停中に既に離婚の合意が成立している場合は、慰謝料請求が認められないこともあります。
夫婦双方が離婚の意思を固めており、婚姻関係が事実上破綻していると判断されれば、新しい交際が不貞行為にはあたらない可能性があるからです。
ただし、この判断はケースバイケースであり、状況によってはトラブルに発展することもあります。
また、調停中に一方が婚姻関係の継続を希望している場合、「夫婦関係はまだ破綻していなかった」とみなされ、新しい異性との関係が発覚すると慰謝料請求が認められやすくなります。さらに、不貞行為の期間が長いほど、慰謝料の額も増える可能性があるため注意が必要です。
離婚調停中に異性と会っても良い場合

- 離婚調停中に異性と会うことが許される場合とは?
- 不貞行為に該当するおそれがなければ問題ない
離婚調停中に異性と会っても良い場合とはどのような場合なのでしょうか?
明らかに不貞行為に該当しない場合には、離婚調停中に異性と会っても問題ありません。
相手と肉体関係にない
法律上の不貞行為とは、配偶者が自由意思で婚姻関係以外の異性と肉体関係を持つことを指します。そのため、単に異性と食事をしたり、連絡を取ったりするだけでは、不貞行為には該当しません。
ただし、調停中に異性と頻繁に会って、親密なやり取りをしていることが相手に発覚すると、疑念を抱かれる可能性があります。たとえ肉体関係がなかったとしても、「不貞行為をしているのではないか」と主張され、離婚調停がこじれてしまうことも考えられます。
また、調停委員の心証が悪くなり、不利な立場に追い込まれることもあり得ます。そのため、異性と会う場合は、周囲から誤解されないような行動を心がけることが重要です。
キスやハグなどの親密なスキンシップがあった場合、それが不貞行為と同等の違法性を持つと判断されることもあります。場合によっては慰謝料請求の対象となることもあるため、調停が終わるまでは異性との接触に慎重になるべきでしょう。
既に夫婦関係が破綻している
配偶者以外の異性と肉体関係を持っても、既に夫婦関係が破綻していれば、不貞行為には該当しません。離婚調停が進行している段階では、多くの場合、夫婦関係は既に修復困難な状態にあります。
しかし、法的に「夫婦関係が破綻している」と認められるかどうかが重要なポイントです。
夫婦関係が破綻していると判断される基準としては、別居の有無やその期間、夫婦間の関係性、日常生活での接触の有無などです。例えば、長期間別居しており、生活費の管理も別々で、お互いに関わることがほとんどない場合、夫婦関係が破綻しているとみなされやすくなります。また、家庭内別居の状態が続き、会話もなく、完全に生活が分離している場合も、破綻が認められる可能性が高くなります。
状況によっては、婚姻関係がまだ破綻していないと判断される可能性もあります。そのため、夫婦関係が完全に破綻していると確信できる場合でなければ、異性との交際は控えるのが無難でしょう。
既に夫婦が離婚に合意している
離婚調停では、夫婦が離婚に合意しているものの、財産分与や養育費などの条件面で意見が分かれていることもあります。このような場合、既に夫婦関係は実質的に終了しており、離婚成立までの最終調整の段階にあると考えられます。
夫婦双方が離婚の意思を固め、調停が円滑に進んでいる場合、異性と会ったとしても大きな問題になることは少ないでしょう。特に、離婚届に署名捺印を済ませており、あとは提出を待つだけの状況であれば、婚姻関係はほぼ解消されたとみなされる可能性があります。
まとめ
離婚調停中であっても、基本的に婚姻関係が継続していることには変わりないため、異性と肉体関係を持つと不貞行為に該当することになります。不貞行為と評価されると、有責配偶者とみなされ離婚請求ができなくなり、相手方配偶者から慰謝料を請求されてしまうリスクがあります。
ただし、既に夫婦関係が破綻している場合や、相手が離婚に合意している場合には、不貞行為に該当しないことになりますが、離婚調停中に異性と会っていることが発覚すると感情的な対立を生む可能性もあります。そのため、離婚調停中に異性と会うことはできるだけ控えた方が無難でしょう。
離婚問題でお困りの場合には、弁護士に相談することをおすすめいたします。当事務所には離婚事件の経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。