

- 養育費とは?
- 養育費は原則非課税である
- 例外的に養育費に贈与税がかかる場合とは?
【Cross Talk 】養育費には原則として贈与税はかからない
月々受け取る養育費には贈与税はかからないのでしょうか?
原則として、通常必要とされる養育費には贈与税はかかりません。
養育費と贈与税について、詳しく教えてください。
月々受け取っている養育費にはその都度、贈与税などの税金がかかってくるのでしょうか。また、税金がかかる場合はどのような場合なのでしょうか。
このコラムでは、養育費には原則贈与税がかからないこと、例外的に贈与税がかかる場合などについて、弁護士が解説していきます。
養育費は原則として非課税

- 養育費とは?
- 養育費は原則非課税
養育費には贈与税がかかるのでしょうか。
基本的に、養育費には贈与税はかかりません。
養育費とは?
「養育費」とは未成熟の子どもが経済的・社会的に自立するまでにかかる必要な費用を指します。養育費は親が子どもに対して負う義務ですので離婚して親権を失った親も養育費の支払い義務を負うことになります。
具体的に以下のような費用は、子どもに必要な養育費として認められます。
子どもが成熟するまで毎月一定の金額を支払うことが一般的です。子どもが自立して経済的に独立するまで支払うことになります。例えば、高校を卒業して仕事に就く場合には、それ以降は養育費の支払いは不要となります。また4年制大学に通う場合には大学を卒業する23歳の3月までと合意することもあります。
原則として養育費には税金はかからない
それでは、親権者が非監護親から受け取ったお金に贈与税などの税金はかかるのでしょうか。
個人が何らかの原因で現金や財産を受け取った場合には所得税や贈与税などの各種税金を納める義務が発生するのが一般的です。子どもが独立するまで十数年あるという方の場合、毎月の養育費に税金がかかってくると、相当な納税額になりそうです。
しかし、結論からいうと、原則として月々受け取る養育費には、贈与税をはじめとする税金はかかりません。
法律上、親であれば、同居の有無を問わず、未成熟の子どもに対して扶養義務を負っています。離婚して離れて暮らしていたとしても扶養義務はなくなりません。離婚前後で、子どもが受け取れるお金に差が出ないように、養育費には税金がかからないようになっています。
養育費と贈与税の関係については、相続税法に規定があります。
相続税法には、「次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」と規定されています(相続税法第21条の3第1項2号)。
この「生活費」とは、通常の日常生活を営むのに必要な費用で、治療費や養育費その他これらに準ずるものを含むと、国税庁は解釈しています。また、「養育費」については、被扶養者(子ども)の教育上通常必要と認めらえる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限るものではないとされています。
親から子どもに支払われる養育費は「生活費又は教育にあてるためにした贈与により取得した財産」にあたるため、「通常必要と認められるもの」である限り贈与税の課税対象とはなりません。
養育費に贈与税が課される場合

- 養育費に贈与税がかかる場合とは?
養育費に贈与税がかかることはあるのでしょうか?
例外的に、養育費に贈与税が課税される場合を解説します。
養育費を一括で受け取った
養育費として金銭を受け取った場合でも、「通常必要と認められるもの」に該当しない場合には、贈与税が課税されることになります。
離婚に伴う養育費の支払いを一括で受け取る場合には、金額も高額になります。そのため、養育費名目で多額の金銭を一括で受け取った場合には、贈与税が課税対象とされる可能性があります。
養育費を使わずにそのまま預貯金していた
また、受け取った養育費をそのまま預貯金した場合には、贈与税がかかる可能性があります。
養育費が非課税とされている理由は、子どもの生活費や教育費として必要経費として使われるものだからです。そのため、養育費をそのまま預貯金した場合は、そのような使用に必要なものではないと判断され、課税対象となってしまうおそれがあります。
養育費で不動産・株式を購入した
株式の買入代金や不動産の買入代金に充当した場合にも、「通常必要と認められるもの」に該当しないと判断され、課税対象となってしまうおそれがあります。
まとめ
以上、原則として養育費には贈与税はかかりません。しかし、例外的に「通常必要と認められるもの」とはいえないと判断された場合には、贈与税がかかることになります。
養育費に関するトラブルを抱えている場合には、適切な金額を受け取るためにも、弁護士に相談して対応を任せるようにしてください。