★タイトル一行説明
ざっくりポイント
  • 離婚に至る夫婦間の価値観の違いとは?
  • 価値観の違いで離婚する方法とは?
  • 価値観の違いによる離婚を回避する方法とは?

目次

【Cross Talk 】夫婦間の価値観の違いで離婚することはできますか?

夫と価値観が合わないことを理由に離婚することはできるのでしょうか?

価値観の違いを理由に離婚することは可能です。

価値観の違いを理由とする離婚について詳しく教えてください。

夫婦間の価値観の違いを理由に離婚することはできる

「価値観の違い」が原因で、タレントや芸能人が離婚するのを報道で耳にしたことがある方も多いと思います。
それでは、夫婦の価値観の違いを理由に離婚することはできるのでしょうか?離婚に至るような具体的な価値観の違いにはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では、上記のような疑問点について弁護士が解説していきます。

離婚に至る夫婦の価値観の違いとは?

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚に至る夫婦間の価値観の違いとは?

夫婦が離婚に至るような価値観の違いにはどのようなものがありますか?

ここでは、離婚の原因になる夫婦間の価値観の違いについて解説していきます。

人生設計や生活スタイルの違い

離婚に至るような夫婦間の価値観の違いに、人生設計や生活スタイルの違いがあります。例えば、妻は子どもを2人は欲しいと考えている一方で、夫は子どもを全然欲しがらないという場合には、将来的な人生設計に致命的な溝が生まれる可能性が高いでしょう。また、夫は結婚してしばらくは仕事に打ち込んで家や車を買って、資産形成に力を入れたいと考えているのに対して、妻は仕事よりも家庭を大事にして、夫婦で旅行に行きたいなどと考えていた場合には、ライフプランに食い違いが生じてきてしまいます。

このような人生設計や生活スタイルの差は、夫婦間に日常的な摩擦や衝突の原因になりやすいため、不満が積み重なった結果、離婚問題に発展してしまうおそれがあります。

経済的な価値観の違い

夫婦が共同して結婚生活を営んでいくためには、お金の問題を避けては通れません。
そのため、夫婦のうち一方が家計管理に気を付けていたとしても、他方に浪費癖がある場合などは、経済的な価値観の違いが夫婦関係を悪化させてしまう可能性があります。このような経済的な価値観の違いから、パートナーが趣味やブランド物へ高額な出費を繰り返し、隠れて借金を作っていたような場合には、夫婦関係が破綻する原因になりえます。

上記に対して、パートナーが極端にケチな場合にも、離婚問題に発展するおそれがあります。夫が家族の生活を維持するために必要な生活費を妻に渡さない場合には、「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に該当するとして、法定離婚事由に該当する可能性もあります。

性的な価値観の違い

性的な価値観の違いには、夫婦間の性的趣向の違いのほかに、ジェンダーギャップも含まれます。まず、夫婦間の性的拒否(セックスレス)や性交渉の強要がある場合には、結婚生活を続けていくのが難しくなります。夫婦の性交渉に関する考え方にズレがある場合には、離婚の原因になる可能性があります。

また、女は「家」に入れば、夫に付き従って生きていくのが当然であるなどという旧態依然としてジェンダー感を押し付ける場合にも、離婚問題に発展する可能性があります。

したがって、このような夫婦間の性的な価値観の違いは、離婚の原因になる可能性があります。

価値観の違いを理由に離婚できるか?

知っておきたい離婚のポイント
  • 価値観の違いを理由に離婚できる?
  • 協議離婚は可能だが、裁判離婚では法定離婚事由に該当している必要がある

夫婦間の価値観の違いを理由に離婚することはできるのでしょうか?

夫婦間の価値観の違いを理由に離婚することは可能です。

夫婦が合意すれば離婚できる

夫婦が離婚をする方法には、「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」の3つの方法があります。
まず、「協議離婚」とは、夫婦で話し合って離婚するかどうかを合意する方法です。お互いが話し合って決めることになるため、夫婦間の価値観の違いや他の些細なことが理由・原因であったとしても、夫婦が合意すれば離婚することができます。夫婦が離婚に合意した場合には、離婚届けに署名・押印し、市区町村役場に提出することで離婚が完了します。

もし、夫婦が協議しても離婚できない場合には、裁判所の調停手続きを利用して離婚することとなります。これを調停離婚といいます。調停手続きでは、家庭裁判所の裁判官と調停委員2名が夫婦の間に入って話し合いを行うことになりますが、最終的にはお互いが納得して離婚するかどうかを判断し、双方が合意に至れば離婚することができます。
そのため、価値観の違いが原因である場合であっても、調停離婚をすることができます。調停離婚が成立すれば、合意された内容が調停調書に記載されることになります。

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裁判離婚の場合には、法定離婚事由が必要

協議離婚や調停離婚によっても離婚の合意に至らなかった場合に離婚をするためには、離婚裁判を提起する必要があります。ただし、離婚裁判で裁判所に離婚を認める判決を出してもらうためには、民法が規定している一定の離婚原因に該当する必要があります。これを法定離婚事由といいます。
法定離婚事由として、次の5つが規定されています(民法第770条1項)。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

価値観の違いがある、というだけでは、上記のどれにもあたらないため法定離婚事由は認められませんが、価値観の違いにより婚姻の継続を期待できないほど深刻に夫婦関係が破綻した場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる可能性があります。

別居期間が長いと離婚しやすくなる

「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかどうかの判断について裁判所は慎重であり、価値観の違いにより夫婦仲が険悪になったというだけでは、離婚請求は難しい可能性が高いです。
しかし、価値観の違いにより別居して生活するようになり、別居期間が長い場合には、既に婚姻関係が破綻しているとして離婚請求が認められやすくなります。
一般的に婚姻関係の破綻が認められるためには、3年~5年程度の別居期間が必要となります。

価値観の違いによる離婚を考えるときのポイントとは?

知っておきたい離婚のポイント
  • 価値観の違いにより離婚することを回避するためのポイントとは?

価値観の違いで離婚したいと思ったときには、どうすればいいのでしょうか?

ここでは、価値観の違いを理由とする離婚のポイントを解説します。

価値観の違いによる離婚したい場合には、夫婦でしっかりと話し合うことがポイントです。
パートナーとの価値観に違いがあることは分かっていても、それだけで離婚できるかは疑問です。上記のとおり、裁判で離婚しようとするとハードルが高い部分がありますから、まず協議で離婚できないかを考えます。
協議のため、まずはパートナーに離婚したいという意向とその理由を伝えてみるのもよいでしょう。

互いの話し合いで離婚に合意できればよいですが、離婚に合意できないようならば、離婚するためには調停に進むしかありません。調停は自分で提起することもできますが、調停などの対応を自分で行うのは負担も大きいので、専門家に相談するほうが良いでしょう。

まとめ

夫婦間の価値観の違いを原因として離婚することは可能です。協議離婚や調停離婚であれば、夫婦が互いに納得していれば、価値観の違いが原因であっても離婚することができます。これに対して、離婚裁判の場合には、法定離婚事由に該当している必要があります。
夫婦の価値観の違いを理由として離婚する意思が固い場合には、離婚問題に詳しい弁護士に相談するようにしてください。早期に離婚を成立させたいという場合には、協議離婚や調停離婚を成立させるのが得策な可能性があるため、離婚に強い弁護士に対応してもらうことがおすすめです。
当事務所には、離婚問題の解決実績のある弁護士が在籍しておりますので、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。