
- DVを原因とする離婚の慰謝料相場は?
- DV離婚で慰謝料を請求する流れは?
- DVを立証するための証拠とは?
【Cross Talk 】DVを原因とする離婚の慰謝料の相場はどのくらいでしょうか?
DVを理由とする慰謝料の相場はどのくらいでしょうか?
DV離婚における慰謝料の相場は、一般的に数十万円から300万円程度です。
DV離婚の慰謝料相場について、詳しく教えてください。
配偶者からのDV(ドメスティック・バイオレンス)に苦しみ、離婚を考えているなら、慰謝料請求は正当な権利です。DVを原因とする慰謝料の相場はどのくらいなのでしょうか?また、DVを証明するためにはどのような証拠が必要となるのでしょうか?この記事では、DVを原因とする離婚において慰謝料を請求するための具体的なステップ、慰謝料の相場、DVを立証するための証拠について、弁護士が解説していきます。
DVが原因で離婚する場合に慰謝料を請求は可能

- DVが原因の離婚は慰謝料請求できる
- 慰謝料を請求するにはDVの証拠が必要
配偶者からDVを受けた場合、どのような請求ができますか?
DVを理由に慰謝料を請求できます。
DVを受けた事実を裏付ける証拠が必要
離婚の原因が配偶者のDV(ドメスティック・バイオレンス)である場合、被害を受けた側は加害者である配偶者に対して慰謝料を請求できます。DVは、単なる夫婦喧嘩や意見の相違とは異なり、配偶者や恋人など親密な関係にある方からの暴力行為を指します。
具体的なDVの態様には、以下のようなものがあります。
| 身体的DV | 殴る、蹴る、首を絞める、物を投げつける、凶器を突きつけるなど |
| 精神的DV(モラハラ) | 罵倒する、無視する、行動を監視・束縛する、人前で相手を貶める発言をする、子どもに悪口を吹き込むなど |
| 性的DV | 性行為の強要、避妊への非協力、中絶の強要など |
| 経済的DV | 生活費を一切渡さない、生活が成り立たないほどの少額しか渡さない、相手の仕事を制限する、浪費やギャンブルで借金を作る、借金を求めるなど |
このようなDVは、被害者の身体や精神、さらには人格権を侵害するものであるため、行為者は不法行為責任を負うことになります。不法行為責任とは、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した方が、それによって生じた損害を賠償する責任のことです(民法第709条)。財産以外の損害、つまり精神的な苦痛に対しては慰謝料の支払いを求めることができます(民法第710条)。
そして、DVを原因として慰謝料を請求するためには、単に「DVがあった」と主張するだけでは不十分で、DVを受けた事実を裏付ける客観的な証拠が不可欠です。医師の診断書や、暴力・暴言の録音・録画、日記やメモ、家計簿などが、DVの存在を証明する有力な証拠となり得ます。
これらの証拠をどれだけ多く、具体的に集められるかが、慰謝料請求の成功、ひいては適正な慰謝料額を獲得するために重要です。
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DV離婚の慰謝料の相場

- DV離婚の慰謝料の相場は?
- 慰謝料額を決める要素とは?
DVを理由とする慰謝料の相場はどのくらいですか?
ここでは、DV離婚の慰謝料相場や考慮要素を解説します。
DV離婚の慰謝料額を決める要素について
DVを原因とする離婚においては、慰謝料請求が可能であり、一般的に数十万円から300万円程度とされています。ただし、これはあくまで目安であり、ケースによって金額には大きな幅が生じます。中には500万円といった高額な慰謝料が認められた裁判例も存在します。
DVの慰謝料額に大きな幅があるのは、以下のように様々な要素を考慮して決定されるためです。
| DVの回数と期間 | DV回数が多く、期間が長ければ長いほど、被害者が被った精神的苦痛は大きいと判断され、慰謝料は高額になる傾向がある |
| DVによる怪我や障害の程度 | うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)といった精神疾患を発症した場合、その治療費や通院期間、休業損害なども考慮され、慰謝料が高額になる傾向がある |
| DVの態様 | DVの内容が高圧的、侮辱的で、長期にわたるものであれば、高額な慰謝料が認められる |
| 婚姻期間の長さ | 長年の結婚生活がDVによって破綻させられた場合、離婚による精神的苦痛は大きいと評価され、慰謝料が高額になる傾向がある |
| 未成熟子の有無と人数 | 子どもを抱えてDVから逃れ、生活を立て直すことの困難さや、子どもがDVを目の当たりにしたことによる精神的な苦痛も考慮される要素となる |
上記のような事情が総合的に評価されて慰謝料額が決定されることになります。
DVによる離婚で慰謝料を請求する流れ

- DVによる離婚で慰謝料を請求する流れとは?
- 話し合いが難しい場合は、離婚調停を申立てる
DV離婚で慰謝料を請求するにはどうすればいいですか?
ここでは、DVによる離婚で慰謝料を請求する流れを解説していきます。
夫婦同士で話し合う
まずは、夫婦間の話し合い(協議離婚)を通じて、離婚と慰謝料の請求を試みます。
しかし、相手がDV加害者である場合、自身が行ってきた言動をDVと認識していないことも多く、離婚を切り出すことで感情的になり、さらなる暴力に発展する危険性があるため、当事者間での直接的な話し合いは極めて困難を伴います。
そのため、ご自身の身の安全を確保することが最優先してください。実家や賃貸住宅など、安全な場所への別居を検討しましょう。お子さんがいる場合は、お子さんの安全も考慮し、一緒に避難することも検討が必要です。
このような場合には、弁護士に依頼し、代理人として交渉してもらうことをおすすめします。
離婚調停を申立てる
夫婦間の話し合いでは離婚に至らなかった場合、または相手との直接の話し合いが困難であると感じる場合は、家庭裁判所に離婚調停を申立てることになります。離婚調停は、調停委員と呼ばれる中立的な第三者が間に入り、夫婦それぞれの意見を聞きながら話し合いを進める手続きです。
調停委員が、あなたがDVを受けていた事実を確認できると、相手方に対して慰謝料の支払いを説得してくれる場合もあります。また、家庭裁判所にDV事案である旨を申立て時に伝えておけば、相手と直接会わずに済むように配慮をしてもらえます。
ただし、調停は、あくまで話し合いの場であるため、相手が離婚条件に合意しない場合、調停は成立しません。
離婚訴訟を提起する
離婚調停を申立てたものの、離婚や慰謝料について合意に達しなかった場合は、調停は不成立となり、次の段階として家庭裁判所に離婚訴訟(裁判)を提起することになります。
離婚訴訟は、裁判官が双方の主張や提出された証拠に基づいて判断を下す法的手続きです。
離婚訴訟においては、あなたがDVを受けていた事実と、それによって生じた精神的・身体的損害について、客観的な証拠を用いて主張・立証していくことになります。相手が離婚や慰謝料の支払いを拒否していたとしても、裁判官が提出された証拠に基づいてDVの事実を認めれば、判決によって離婚が命じられ、同時に慰謝料の支払いも命じられる可能性があります。
DVを立証するための証拠

- DVを立証するための証拠とは?
- 医師の診断書や、録音・録画、メモや日記が証拠となる
DVを証明するためにはどのような証拠が必要となるのでしょうか?
ここでは、DVを立証するために有効な証拠について解説していきます。
医師の診断書
身体的DVの被害を受けた場合、または精神的DVによって心身に不調をきたした場合には、速やかに医療機関を受診し、医師の診断書を取得することが非常に重要です。診断書は、DVによる負傷や精神的な影響があったことを示す強力な客観的証拠となります。
また、受診時の領収書や通院記録も大切に保管しておくと、治療費や通院期間を立証でき、慰謝料額の算定に影響を与える可能性があります。ただし、診断書は患者の申告に基づいて作成される部分もあるため、他の証拠と組み合わせて提出することで、より確実な証拠となります。
暴力や暴言の録音・録画
DVの瞬間を捉えた録音や録画は、極めて有力な証拠となります。
暴力を振るわれている様子や、暴言を吐かれている状況をスマートフォンなどで録音・録画することは非常に有効です。音声のみの録音でも、相手の激しい口調や脅迫的な言動が記録されていれば、精神的DVの証拠となり得ます。録音・録画をする際は、日付や時間、場所が分かるように意識しましょう。
また、メールやLINEなどのメッセージアプリでの暴言や脅迫、罵倒、あるいは生活費に関する不当なやり取りなども、精神的DVや経済的DVの証拠となります。やり取りのスクリーンショットを保存したり、履歴をエクスポートしたりして残しておきましょう。
DVについて記録した日記やメモ
被害者が自身の体験を詳細に記録した日記やメモも有効な証拠となります。
いつ、どこで、誰に、どのようなDV行為をされたのか、怪我の状態、気持ちの落ち込み、体調不良などの身体的・精神的な影響などを具体的に記録しておきましょう。一度だけでなく、継続的に記録することで、DVが単発的なものではなく、繰り返し行われていたことを示せます。
日記やメモは、被害者の主観的な記録ではありますが、他の客観的な証拠と合わせることで、DVの事実や被害の大きさを補強する重要な役割を果たします。
家計状況が苦しいことを示す家計簿など
経済的DVを立証するためには、生活費が不足している状況や、相手の不当な金銭管理を示す証拠が必要です。生活費の収支を詳細に記録した家計簿は、相手から十分な生活費が渡されていなかったことや、不当な支出が多かったことの証拠となります。また、生活費の催促や、不当な金銭要求に関するメールやLINEなどのやり取りも、経済的DVの証拠となり得ます。
これらの証拠を準備し、必要に応じて弁護士と相談しながら、DV離婚の慰謝料請求を進めていくことが重要でしょう。
まとめ
DVが原因で離婚に至る場合、被害者は加害者に対して慰謝料を請求することが可能です。慰謝料の金額は、DVの頻度や期間、被害の程度、婚姻期間の長さなど、様々な要素によって変動しますが、数十万円から数百万円に及ぶことがあります。
また、慰謝料請求を成功させるためには、医師の診断書、暴力・暴言の録音・録画、DVの詳細な記録、家計簿といった客観的な証拠が不可欠です。
DVが絡む離婚問題は、被害者にとって精神的負担が大きく、複雑な手続きが伴うため、一人で抱え込まずに専門家のサポートを得ることが肝要です。当事務所には離婚問題に強い弁護士が在籍しておりますので、お困りの場合はぜひ当事務所にご相談ください。







