夫が不倫相手を妊娠させた場合に取るべき対応について解説いたします。
ざっくりポイント
  • 夫が不倫をして妊娠させた場合確認すること
  • 夫が不倫をして妊娠させた場合の離婚
  • 夫が不倫をして妊娠させた場合の相手に対する損害賠償請求

目次

【Cross Talk 】夫が不倫して相手を妊娠させた!いったいどうすればいいですか?

夫が不倫をしていたらしく、さらに不倫相手が妊娠したと聞かされました。どうしていいかわからず相談をしたいです。

まずは夫が妊娠させた事実が本当かどうか、妊娠させたとして相手はその子どもを生むのかどうかを確認したうえで、離婚や損害賠償を検討しましょう。

はい、詳しく話に乗ってくれますか?

夫が不倫して相手を妊娠させたとされる場合にやるべきこと

夫が不倫をしているときに、夫やその相手から妊娠をしたことを告げられることがあります。このようなことを唐突に告げられると動揺してしまってどうすれば良いかわからなくなる方がほとんどです。夫が不倫をして相手が妊娠したと告げられた場合にまず必要なのは、事実関係の確認です。このページでは夫が不倫をしていて相手が妊娠した場合の処理について確認しましょう。

夫が不倫をして相手を妊娠させた場合に確認すべきこと

知っておきたい離婚のポイント
  • 相手の妊娠の有無を確認する
  • 妊娠している場合には相手が子どもを生むかどうかを確認する

夫が不倫相手を妊娠させた場合にはまず何をすれば良いですか?

まずは相手が本当に妊娠をしているのかどうか、妊娠をしている場合に相手が子どもを産むつもりがあるのかどうかについて確認しましょう。

夫が不倫相手を妊娠させた場合に確認すべきことは次の通りです。

不倫の内容を確認する

まずは不倫の内容をしっかり確認しましょう。
夫に

・いつから不倫をしていたのか
・相手は誰なのか(会社の同僚・学校の後輩など)
・どのくらいの頻度で不倫をしていたのか

夫が嘘をついてくることが想定されるので、SNSのやりとりなどを提出させるのも良いでしょう。

本当に不倫相手が妊娠しているのか

次に確認するのは、不倫相手が本当に妊娠しているのかどうかです。
ケースによっては妊娠していないにもかかわらず、離婚してもらいたくて嘘をついているケースがあります。
単に月経が遅れている場合や、市販の妊娠検査薬を利用したにすぎない場合には、産婦人科で診断をしてもらいましょう。
妊娠していない場合には不倫の事実についてきちんと裏取りを行ないましょう。

不倫相手が子どもを産むのか中絶するのか

本当に妊娠している場合には、相手がその子どもを産むのか中絶するのかを確認します。
このときに、相手の女性とトラブルにならないように気をつけましょう。
相手に中絶を迫るなどをすることによって、妊娠中である不倫相手の精神面が不安定になります。
夫の職場に乗り込んで来て不倫・妊娠の事実を言いふらす、中絶を過度に迫りすぎて相手を精神疾患に追い込むなどの二次的三次的なトラブルが生じないように気を付けましょう。

不倫相手が子どもを産まない場合

不倫相手が子どもを産まない場合には、

・中絶のための費用負担
・夫との離婚

について考える必要があります。

もし不倫相手が中絶をする場合には、中絶のための費用負担を夫がする必要があります。
後述しますが、妻から不倫相手に慰謝料請求をすることができますので、例えば不倫相手に慰謝料請求をしないことを交換条件に、夫が中絶のための費用を負担しないといった解決方法も考えられます。
また、不倫は法定の離婚原因の1つである「不貞な行為」(民法770条1項1号)にあたりますので、夫との離婚も考えることになります。

不倫相手が子どもを産む場合

もし不倫相手が子どもを産む場合で不倫相手が夫に養育費の支払いを求める場合には、金額などを決める必要があります。
また、妻が夫と離婚する場合には、離婚にあたって慰謝料や財産分与、夫婦に未成年の子どもがいる場合には養育費をどうするかなどを決める必要があります。

夫が不倫をして相手を妊娠させた場合の妻が取ることができる法的措置

知っておきたい離婚のポイント
  • 夫が不倫をして相手を妊娠させた場合には夫や不倫相手に慰謝料請求をすることができる。
  • 夫が不倫をして相手を妊娠させた場合には夫と離婚をすることができる。

夫が不倫をして相手を妊娠させた場合、私は法的にはどのようなことが請求可能なのでしょうか。

夫や不倫相手に慰謝料請求をすることができるのと、夫と離婚をすることができます。

夫が不倫をして相手を妊娠させた場合に、妻が何をすることができるかについて確認しましょう。
夫が不倫をして相手を妊娠させた場合の妻が行う法的措置には

・夫や不倫相手への慰謝料請求
・夫との離婚

の2種類があります。

不倫相手への損害賠償請求

不倫相手は夫との不倫によって夫と妻の夫婦生活の平穏を侵害して精神的苦痛を与えています。
そのため、妻は不倫相手に慰謝料請求をすることが可能です。
また、夫も、自身の不倫により妻との夫婦生活の平穏を侵害して妻に精神的苦痛を与えたことになりますので、妻は不倫相手だけではなく夫に対しても慰謝料請求をすることが可能です。
慰謝料の額は、

・結婚生活の期間
・夫婦の同居の有無や別居している場合には別居期間
・不倫の頻度・期間
・夫と離婚をするか否か
・夫婦に子どもがいるか

などの様々な事情を総合的に考慮して決まります。

なお、慰謝料請求は不倫の事実だけで可能なので、実は妊娠していなかった場合でも、不倫をしていれば請求が可能です。また、妊娠した場合には妻の精神的苦痛は大きくなるので、その場合にはより多くの額の慰謝料が認められるでしょう。

夫との離婚

不倫は法定の離婚原因の1つである「不貞な行為」(民法770条1項1号)にあたりますので、夫と離婚をすることが可能です。
協議で夫と離婚をすることはもちろん、夫が協議離婚を拒んでいる場合には離婚調停・離婚裁判を起こして離婚を求めることが可能です。
協議離婚をする場合には、慰謝料・財産分与の他、夫婦に未成年の子どもがいる場合には親権・面会交流・養育費などの事項を決める必要があります。これらを決めた際には、離婚協議書という形で書面に残しておいた方が、後々のトラブルを回避できます。
また、離婚協議書を公正証書で作成しておくと、(元)夫が決められた金銭の支払いをしない場合に、直ちに強制執行をすることができます。

まとめ

このページでは、夫が不倫相手を妊娠させた場合に、妻がすべき確認や決定事項と、取ることができる法的措置についてお伝えしました。
妊娠の事実の確認や、相手の意向を確認しつつ、慰謝料請求や離婚を検討することになります。
不倫相手や夫と話し合いを重ねていくためには、法的知識と冷静な判断・交渉をすることが不可欠です。
ご自身での対応が不安な場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修者

弁護士 城田 喜朗第二東京弁護士会 / 第二東京弁護士会 犯罪被害者支援委員会委員
ご依頼者さまに寄り添い、最も良い問題解決ができるように、全力で頑張ります。