離婚をする場合の主な手続き
ざっくりポイント
  • 離婚自体の手続き
  • 離婚した後の手続き
  • 離婚までに決めておくもの

目次

【Cross Talk 】離婚をするときにはどんな手続きがありますか?

離婚を考えはじめました。これからどんな手続きが必要か調べています。

であれば、離婚自体の手続きと、離婚後にする手続き、離婚までに決めておくと良いものについて確認しましょう。

聞いておいてよかったです!詳しく教えて下さい。

離婚をする場合の主な手続きについて確認

離婚をする場合には、離婚自体をするための法的な手続きと、離婚後に行う各種手続きがあります。また、離婚後の生活に不安がある場合に備えて、離婚前からやっておくべき手続きもあります。離婚に向けた行動をするにあたって、どのような手続きがあるのかを把握しておきましょう。

離婚の際の手続き

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚自体の法的手続き
  • 離婚をする場合の手続き

離婚に関する手続きにはどのようなものがあるのでしょうか。

離婚自体の法的手続きと離婚をする場合に必要な手続きに分けて確認しましょう。

離婚をする際にはどのような手続きが必要でしょうか。

離婚自体の手続き

まず、離婚自体の法的手続きを確認しましょう。
離婚には

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚

の4種類があります。
協議離婚をするには、当事者間で離婚について協議をしたうえで、離婚届を提出します。
この離婚届の提出によって、離婚が成立します(後述する報告的届出と区別する意味で創設的届出
と呼ばれています)。

協議で離婚ができない場合の手続きとしては、法的な手続きを利用します。
裁判を利用する前に、必ず調停をしなければならないとされているので(調停前置主義)、まずは離婚調停を申し立てます。
離婚調停で示された調停案に合意して、調停が成立すれば離婚が成立します。
この場合にも、調停成立から10日以内に離婚届を提出しますが、調停によってすでに離婚は成立しており、戸籍の処理のために行われるにすぎないことから、これは単なる報告的届出とされています。
離婚調停での食い違いがわずかであるような場合をはじめ、一部の場合では、裁判所が判断を下す審判という手続きが行われることもあります。

この場合には、下された審判に対して異議が出されず確定した場合に、離婚が成立します。
同じく10日以内に離婚届を提出する必要がありますが、これは単なる報告的届出にすぎません。
調停や審判をしてもなお離婚が成立しない場合には、最終的には裁判を起こして離婚を争います。
裁判で離婚する旨の判決が下された場合には、その裁判が確定した時点で離婚が成立します。
この場合、確定後10日以内に離婚届を出すのも上記と同様です。

慰謝料・養育費・財産分与・親権

離婚調停・離婚審判・離婚裁判では、慰謝料・養育費・財産分与・親権など、離婚に伴い発生する金銭の問題と、子どもに関する問題も一緒に解決します。
しかし、協議離婚をする際には、離婚をするかどうかだけではなく、これらの事項についても別途話し合って決めておく必要があります。
取り決めた慰謝料・養育費・財産分与額については、離婚協議書を作成して明確にしておくほか、離婚協議書を公正証書としておくことで、支払われなくなった際に容易に強制執行ができるようにしておきます。
子どもがいる場合には、どちらの親権に服することになるかを決め、もう一方の親と会う際のルール(面接交流権)についても決めて記載しておきます。

子どもの氏の変更

離婚をすると、氏を改めた方は元の名字に戻ることになっています(民法767条1項)。
日本の場合、結婚で夫の名字に変更することが多く、離婚で元の氏に戻って子どもの親権を取得する女性が多いです。
この場合、子どもの氏を変更しなければ元夫の姓のままなので、子どもの氏を自分の氏に変更する必要があります。
氏の変更には通常家庭裁判所の許可を得て変更する必要があり(民法791条1項)、子どもが15歳未満である場合には、法定代理人である親権者がこれを行います(民法791条3項)。

不動産がある場合の手続き

不動産がある場合には不動産に関する手続きを行います。
住宅を購入したときに、夫婦共有名義にしていた場合には、離婚で氏名が変わるので氏名の変更の登記を行います。
財産分与で不動産を譲渡してもらったり、持分を譲渡してもらったりした場合には、その旨の登記を行います。
また、売却をする場合には、住宅ローンの残額と売却金額の大小にもよりますが、売却益をどう分けるか,あるいは住宅ローンの残額をどう分けるかを取り決める必要があります。

年金・健康保険など

年金や健康保険については、本人の加入状況に応じた手続きが必要です。
離婚する際も働いている方であれば、年金や健康保険については氏名などの変更のみで良いのですが、例えば専業主婦であるような場合には、年金・健康保険について新しく加入をしなければなりません。
また、婚姻期間中の年金について分割することができる年金分割という制度がありますので、併せて手続きを行いましょう。

生命保険の受取人の変更

夫婦がそれぞれ生命保険に入っている場合、受取人をもう一方にしていることが多いです。
手続きを進めていく中で失念をしており、受取人がそのまま元夫・元妻のままになっていることが多いのですが、受取人を変えるか、変える場合は誰にするかも決めておくのを忘れないようにしましょう。

離婚までに決めておくと良いもの

知っておきたい離婚のポイント
  • 住む所に困らないように居住先の確保をしておく
  • 生活費をすぐに得られる見込みがない場合に行っておくべき手続き

離婚までに決めておいた方がいいものは他にありますか?

住まいとお金は確保するようにしましょう。

以上の離婚にまつわる手続きの他に、離婚までにしっかり決めて手続きをしておいたほうが良いものについて確認しましょう。
特に考えておかなければならないのが、居住先と生活費の確保です。

居住先

まず、居住先を確保できるようにしておきましょう。
実家があるような場合や、収入があるため居住先を容易に確保できる場合であれば良いのですが、収入がなく頼るところもないような場合、離婚後のみならず、離婚をするためにまずは別居する場合に居住先の確保が困難となることがあります。
特にDVに耐えかねているような場合には、シェルターと呼ばれる一時保護の施設があるので、市区町村の福祉事務所や警察などに相談をしてみましょう。

生活費を得られる見込みがない場合

離婚のために別居を始めたり、離婚をした後の生活費を得られる見通しを作っておきましょう。
相手に財産分与や養育費・慰謝料を求めたり、別居にあたって婚姻費用の分担として生活費の支払いを求めたりする際に、相手が支払わなければ法的手続きに頼る必要があります。

ただ、その法的手続きには時間がかかることが多く、いますぐに手持ちのお金がない場合に、生活費が底をつくということがあり、別居をして離婚の準備をしようとしても離婚を諦めてしまうケースがあります。
復職が難しい、病気で働けないというような場合には、離婚や離婚のための別居をする際に、生活費を確保するための見通しを立てておくことが望ましいです。
特に、生活保護などの公的な給付を受けることを考えている場合には、審査に時間がかかることもあるので、早めに行動をすることが大事です。
公的な支援を受けるためには、まずは市区町村の相談機関に相談をしてみましょう。

まとめ

このページでは、離婚をする際の手続きの概要と、離婚をする前の準備についてお伝えしました。
離婚と一口にいっても、離婚をするかどうか、または離婚をする場合の様々な手続きなど、細かい手続きがたくさん発生し、時間がかかります。
また、離婚の手続きに時間がかかることをふまえて、居住先や生活費の確保をしておくことも欠かせません。
まずは弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修者

弁護士 岩壁 美莉第二東京弁護士会 / 東京第二弁護士会 司法修習委員会委員
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