
- 離婚後に妊娠が発覚した場合、父親は誰になる?
- 離婚後に母親が再婚していた場合には、再婚相手が父親になる
- 離婚後に妊娠が発覚した場合に注意すべきポイントとは?
【Cross Talk 】離婚後に妊娠が発覚した場合、注意すべきポイントとは?
元夫との離婚後に妊娠が発覚しました。この場合、法的にどのような点に注意しなければなりませんか?
離婚後に妊娠が発覚した場合、母親が既に再婚しているかどうかで父親の推定が異なります。
離婚後の妊娠の問題について、詳しく教えてください。
離婚後に妊娠が発覚した場合には、親子関係はどうなるのでしょうか。父子関係については、民法には嫡出推定という規定があり、離婚が成立していても元夫が子どもの父親と推定される場合があります。ここでは、離婚後に妊娠が発覚した場合の父子関係の取り扱いや、離婚後の妊娠に関する注意点などについて、弁護士が解説していきます。
離婚後に妊娠した場合は誰の子どもになる?

- 離婚後に妊娠が発覚した場合、父親は誰になる?
- 離婚後の妊娠の場合、母親の再婚の有無によって、父親の推定が異なる
元夫と離婚後に妊娠が発覚した場合、親子関係はどのように取り扱われるのでしょうか?
離婚後の妊娠の場合には、母親が再婚をしているかどうかで取り扱いが異なります。
離婚後、母親が再婚していた場合
離婚後に妊娠が発覚した場合、法的な親子関係はどうなるのでしょうか。法律上の母親は出産の事実により当然に確定します。しかし、父親についてはどうでしょうか。
この点、民法は、生まれた子どもの父親が誰であるかを法律上早期に確定して子どもの利益を図るために、嫡出(ちゃくしゅつ)推定という制度を設けています。
民法には、「妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする」と規定されています(民法第772条1項)。
そのため、母親が元夫と離婚をして、離婚後に妊娠が発覚した場合であっても、別の再婚相手と結婚してその後に生まれた子どもは再婚相手の子どもと推定されることになります。
離婚後、母親が再婚していない場合
それでは、離婚後に妊娠が発覚したけれども、母親が再婚していない場合、法的な父親は誰になるのでしょうか。
民法は、「婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と規定しています(民法第772条2項)。
婚姻してから200日以後または、婚姻の解消・取消し(離婚)から300日以内に生まれた子どもは、元夫との婚姻中に懐胎したものと推定されます。
そのため、元夫以外の男性と交際していたとしても再婚していない限り、離婚から300日以内に生まれた子どもについては、元夫が生まれた子どもの父親と推定されてしまいます。
離婚後300日以内に生まれた子どもについては、元夫の戸籍に入ることになり、離婚の際に父母が名乗っていた姓を称することになります。
これに対して、離婚してから300日以降に生まれた子どもについては、この嫡出推定が及ばないため、婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもと扱われます。この場合、子どもの父親を確定させるためには、「認知」の手続きが必要となります。
嫡出推定の見直しと再婚禁止期間の廃止
改正前の民法では、元夫と離婚してから300日以内に生まれた子どもについては、元夫の子どもと推定されていました。子どもの血縁上の夫が元夫と異なる場合であっても原則として元夫を父とする出生届以外は受理してもらえませんでした。そのため、このような戸籍上の扱いを避けるため、出生届が提出されない子どもが存在するという問題(無戸籍者問題)がありました。
そこで、このような嫡出推定規定や関連する制度について見直しが行われ、次のような改正がなされました。
まず、前述の通り婚姻の解消等の日から300日以内に子どもが生まれた場合であっても、母が元夫以外の男性と再婚した後に生まれた子どもは、再婚後の夫の子どもと推定することとしました。ただし、令和6年4月1日以降の出生に限られます。同日より前の出生の場合、出生までに母親が再婚した場合でも、離婚後300日以内に出生した子は元夫の子と推定されます。
そして、女性は離婚後100日間再婚できないとする再婚禁止期間も廃止しました。
さらに、これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認められ、嫡出否認の訴えの出訴期間が1年から3年に伸長されました。
離婚後に妊娠が発覚した場合の注意点

- 離婚後に妊娠が発覚した場合に注意するポイントとは?
離婚後に妊娠が発覚した場合には、どのような点に注意すべきでしょうか?
ここでは、離婚後に妊娠が発覚した場合の注意点について解説していきます。
必ず出生届を提出する
離婚後に300日以内に生まれた子どもについては、元夫の子どもと推定されることになり、元夫の戸籍に子どもが入ることになるため、出生届を提出しないという判断をする方がいます。しかし、出生届を提出しないと戸籍を取得することができないため、子ども本人に不利益が生じることになります。
具体的には子どもの親族関係や国籍を証明することができなかったり、産後すぐであれば健康診断や予防接種、児童手当などの案内が役所から届かなかったりする可能性があります。また、教育や社会保障などの必要な公的サービスが受けられず、進学や就職など様々な場面で困る可能性もあります。将来的には、銀行口座の開設が難しくなり、運転免許証を取得できず、選挙権が認められないといったデメリットも生じてしまいます。
子どもの氏の変更を申立てる
離婚後に妊娠が発覚し、出産した場合、母親は子どもの親権者になります。母親が再婚していない状態で離婚後300日以内に生まれた子どもについては、元夫の子どもとして父親の戸籍に入ることになります。
母親が離婚後に旧姓に戻った場合には、親権者と子どもの姓が異なる状態になってしまいます。
母親と子で姓が異なる状態となった場合には、家庭裁判所に子の氏の変更についての許可の審判を申立てます。そして、母親の戸籍への入籍を進めることになります。
離婚後に妊娠した子の父親を確定させる
元夫の子どもという推定が及ばない場合に、法律上の父子関係を作り出すためには、現在のパートナーに認知してもらう必要があります。
これに対して、元夫の子どもとして推定される場合には、嫡出否認や親子関係不存在確認を行う必要があります。
嫡出否認調停は、離婚後に生まれた子どもが前夫の子どもでない場合に、元夫・子ども・子どもの親権者(母親)が家庭裁判所へ申立てることができる手続きです。子どもが生まれてから3年以内に行わなければなりません。調停が成立すると、親子関係の不存在が証明されます。
ただし、出生届の提出期限(14日以内)に間に合わない可能性が高いため、役所に相談して住民票を作成してもらうことが重要です。
一方、親子関係不存在確認調停は、離婚後300日以内に生まれた子どもでも、客観的に夫の子どもでない場合に行う手続きです。この調停は子どもの親や実父も申立て可能で、申立期限はありません。これにより、親子関係を解消できます。
まとめ
離婚後に妊娠が発覚した場合、既に再婚している場合には、父親は再婚相手の男性と推定されます。これに対して、離婚後300日以内に生まれて、まだ再婚をしていない場合には、元夫が子どもの父親と推定されます。
離婚後に妊娠した場合は、法律上の手続きが複雑になる可能性があるため、出生届の提出や父親認定の手続きなど、早期に対応する必要があります。また、認知の請求や、嫡出否認や氏の変更許可など、専門的な法律知識が必要となる場面では弁護士に相談するようにしてください。
当事務所には、離婚問題に詳しい弁護士が在籍しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。







