

- 離婚調停とは?
- 離婚調停にかかる費用とは?
- 申立人・相手方が支払わなければならない費用とは?
【Cross Talk 】離婚調停をすると、どれくらいの費用がかかりますか?
夫と離婚をしようと思っていますが、離婚調停をするとどのような費用がかかるのでしょうか?
離婚調停を自力で行うのか、弁護士に依頼するのかでかかる費用は異なってきます。
離婚調停の費用について、詳しく教えてください。
夫婦が離婚をする場合には、話し合いで離婚条件を調整することが一般的です。しかし、話し合いがまとまらない場合に離婚をしようとする場合には、家庭裁判所の離婚調停という手続きを利用する必要があります。離婚調停とは、夫婦の間に調停委員が入ってくれる手続きです。それでは、離婚調停にはどのような費用がかかるのでしょうか。弁護士に離婚調停を依頼した場合としない場合とではどのくらい費用が異なるのでしょうか。そして、離婚調停の費用は誰が負担することになるのでしょうか。この記事では、このような疑問について、弁護士が解説していきます。
離婚調停とは?

- そもそも離婚調停とは?
- 離婚調停とは、夫婦の間に家庭裁判所の調停委員が入り話し合いを進める手続き
そもそも離婚調停とはどのような手続きなのでしょうか?
ここでは、離婚調停の概要や手続きの内容について解説していきます。
そもそも「離婚調停」とはどのような手続きなのでしょうか。離婚をする方法として、大別して「協議離婚」、「離婚調停」、「離婚裁判」の3つに分けることができます。このうち、離婚調停とは、離婚協議ができない場合に、家庭裁判所において夫婦間の問題を話し合いで解決するための法的手続きです。正式名称を「夫婦関係調整調停」といい、裁判所の調停委員が仲介役となり進行します。
この制度は、当事者が直接顔を合わせる必要がないため、離婚問題のように感情的対立が起こりやすい場面でも冷静な話し合いが可能となることが特徴です。
ただし、調停は話し合いを重視した手続きであるため、調停委員から具体的な結論を強制されることはありません。もし両者の合意が得られなければ、調停は不成立に終わり、その場合は離婚裁判をしなければ離婚が成立しません。
離婚調停が成立するためには、夫婦双方が離婚について合意する必要があります。
この点は協議離婚と同じで、法律上の離婚原因がない場合でも、話し合いで合意すれば離婚が可能です。また、財産分与や慰謝料などの金銭的条件についても、調停の場では裁判所が一方的に金額を決定するのではなく、当事者間で自由に条件を決めることができるという点では離婚裁判と異なります。
支払額を一般的な相場より高額または低額に設定したり、支払い方法を一括払いだけでなく分割払いにしたりするなど柔軟な対応が可能となります。
このように、離婚調停は家庭裁判所での手続きでありながら、当事者の希望に応じて柔軟に条件を調整できるという特徴があります。
離婚調停の手続き
離婚調停の手続きについては、大きく4つの段階に分けられます。
・離婚調停の申立て:
まず、調停の申立てを行うと、裁判所から第一回調停の期日通知が自宅に送付されます。同時に相手方にも同様の通知が届きます。
・離婚調停の期日への出席:
第一回の調停では、双方が裁判所に出向きますが、互いに直接会わないよう別々の待合室で待機します。調停委員がそれぞれの意見を聞き、伝言形式で交渉が進められます。一回の調停は通常2~3時間程度で、即日合意に至らなければ次回の期日が設定されます。
調停は月に1回程度の頻度で行われ、一般的に3~6回の期日で終了することが多いでしょう。
・離婚調停の終了:
調停が成立すると、調停調書が作成されます。この調書は法的な効力を持つため、役所に提出することで離婚手続きが完了します。また、調停で金銭支払いが合意された場合、調書の内容に従って支払いや受領が行われます。
このように、離婚調停は話し合いによる合意を重視した仕組みであり、裁判よりも円滑で柔軟な解決方法を提供する制度です。
関連記事:離婚調停とはどのようなものか・費用・期間・有利にすすめるコツなどを紹介
離婚調停にかかる費用とは?

- 離婚調停を自力で行う場合の費用とは?
- 離婚調停を弁護士に依頼する場合の費用とは?
離婚調停を行う場合にかかる費用にはどのようなものがありますか?
離婚調停の費用は、自力で行う場合と、弁護士に依頼する場合とで異なるため、ここで解説します。
離婚調停を自力で行う場合の費用
離婚調停を自力で進める場合、主に以下の費用が必要になります。
- 申立費用
- 郵便切手代
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)の取得費用
- その他実費
まず、申立費用として収入印紙代が1200円かかります。これは家庭裁判所に提出する離婚調停申立書に貼り付けるための手数料で、全国どこの家庭裁判所でも同額です。
また、裁判所から通知書などを送るための郵便切手代が必要で、通常は1000~1500円程度です。この金額は家庭裁判所によって異なるため、事前に確認しておくことが推奨されます。
さらに、離婚調停の申立てには夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)を添付する必要があります。
戸籍謄本の取得費用は1通450円で、夫婦の本籍地がある市区町村役場やコンビニエンスストア、郵送などで取得可能です。
調停中に裁判所から追加の証拠書類を求められる場合もあります。このような場合、住民票や課税証明書、不動産の登記事項証明書などの取得費用が別途発生し、1通あたり数百円から数千円の範囲となります。また、DVやモラハラを理由とする場合には医師の診断書代が必要になることもあります。
調停のために家庭裁判所へ出向く際の交通費も考慮が必要です。裁判所の所在地が遠方の場合、交通費が高額になる可能性もあります。
このように自力で離婚調停を行う場合にかかる費用は数千円から1万円程度が一般的ですが、提出する書類や証拠の内容次第で追加費用が発生する可能性があります。
離婚調停を弁護士に依頼する場合の費用
離婚調停を弁護士に依頼する場合には、上記の費用のほかに弁護士費用がかかります。
弁護士費用については、各法律事務所によって異なりますが、離婚調停のみを弁護士に依頼した場合の弁護士費用の相場はトータルで60万円~125万円程度になります。
それでは、離婚調停を弁護士に依頼した場合に発生する費用の内訳はどのようになっているのでしょうか。
弁護士費用の内訳とは?
弁護士費用の内訳は、以下のように分類することができます。
- 相談料
- 着手金
- 成功報酬
- 実費
相談料は、弁護士に初めて相談する際に発生する費用で、1時間あたり5000円~1万円程度が一般的です。多くの法律事務所では初回相談を無料としている場合もあります。
また、弁護士が調停に参加するための交通費や、証拠書類の取得費用などの実費も別途請求されることがあります。
弁護士に依頼することで、法律的に適切な主張や書類の作成が可能になるだけでなく、相手方との直接的なやり取りを弁護士に任せられるため、精神的な負担が大幅に軽減されるメリットがあります。
しかしながら、自力で行う場合に比べて費用は大幅に増加するため、予算や事案の内容を十分に考慮して依頼を検討する必要があります。
離婚調停の費用はどちらが払う?

- 申立人が支払う離婚調停の費用とは?
- 弁護士に依頼した側が支払う離婚調停の費用とは?
離婚調停の費用は誰が負担することになるのでしょうか?
ここでは、離婚調停の費用を負担する方について解説していきます。
離婚調停の費用は申立てた側が払う
婚調停を行う際、申立てにかかる費用は原則として申立人が負担します。
申立てに必要な費用とは、収入印紙代や郵便切手代、戸籍謄本の取得費用などです。これらは離婚調停の申立書に添付して家庭裁判所に提出する際に必要な最低限の費用です。さらに、調停が進む過程で裁判所から追加書類の提出を求められる場合もあり、住民票や課税証明書、不動産登記事項証明書などの取得費用が発生することがあります。
調停に出席するための交通費も必要ですが、これは申立人だけでなく相手方も各自で負担するのが一般的です。特に裁判所が遠方にある場合やオンライン調停が利用できない場合は、交通費が高額になることも考慮しなければなりません。これらの費用は調停を円滑に進めるための必要経費と考え、申立てを行う前に準備しておくことが重要です。
離婚調停の弁護士費用は依頼した側が払う
離婚調停に弁護士を依頼する場合、その費用は依頼した側が負担します。
たとえ相手が調停を申立てた場合でも、自分が弁護士を雇えばその費用は自分で支払う必要があります。弁護士費用には、相談料、着手金、成功報酬が含まれるのが一般的です。
さらに、調停のために必要な実費(交通費や書類取得費用など)も依頼者が支払うことになります。
相手方が原因となる離婚事由(不倫やDVなど)を抱えている場合、弁護士費用を相手に負担してもらいたいと考えるかもしれませんが、原則として弁護士費用は依頼者が支払うものであり、相手に請求することは困難です。ただし、相手が有責配偶者に該当する場合には、賠償金額として弁護士費用の一部を請求できる可能性がありますので、弁護士に確認するようにしてください。また、相手が早期に調停を成立させたい場合や、相手方の過失が重大で交渉材料として使える場合には、費用の一部を負担してもらえる可能性もあります。
費用が支払えない場合はどうすべき?
離婚調停にかかる費用や弁護士費用が支払えない場合は、国が提供する法的支援機関「法テラス」の利用を検討するべきです。
法テラスは、経済的に余裕がない方に対し、無料法律相談や弁護士費用の立替えを行う「民事法律扶助制度」を提供しています。この制度を利用することで、収入や資産が一定基準以下であれば弁護士費用を分割で支払うことが可能になります。立替えを受けた費用は後に少額ずつ返済していく仕組みです。
法テラスを利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 収入や資産が一定以下であること
- 勝訴または調停・和解の見込みがあること
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
法テラスを利用できる弁護士は限られているため、法テラスに直接相談するか、インターネット等で対応弁護士を探す必要があります。また、収入基準を超える場合でも支払いが困難な場合は、分割払いに応じる弁護士事務所を探すなどの方法も検討できます。
まとめ
離婚調停を行う場合には、申立て費用として、収入印紙や郵便切手代、戸籍謄本の取得費用などが必要となります。また、弁護士に依頼する場合には、相談料や着手金、成功報酬などの弁護士費用が掛かることになります。
弁護士に依頼する場合には、自力で行う場合よりもコストがかかることになりますが、弁護士に依頼することで、法律的に適切な主張や書類の作成が可能になるだけでなく、相手方との直接的なやり取りを弁護士に任せられるため、精神的な負担が大幅に軽減されるというメリットがあります。
当事務所には、夫婦の離婚問題に詳しい弁護士が在籍しておりますので、離婚でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。