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- 離婚の慰謝料の相場は50~300万円程度で、精神的苦痛の度合いによって前後する
- 慰謝料を請求するためには、不法行為の証拠を集め弁護士に相談を
- ざっくりポイントざっくりポイント
【Cross Talk 】精神的苦痛で離婚、慰謝料請求はできる?
配偶者との生活が精神的苦痛で・・・離婚時に慰謝料請求はできますか?
相手が不倫をした、暴力を振るったなど不法行為をした際には慰謝料請求が可能です。しかし「性格・価値観が合わない」といった理由では請求できません。
詳しく教えてください。
離婚の際には、DV・不貞行為・悪意の遺棄(わざと同居・協力・扶助の義務を怠ること)などの「不法行為により精神的苦痛を受けた」とみなされると慰謝料請求が認められます。
一方で、性格や価値観の不一致といった理由では、慰謝料の請求はできません。本記事では、慰謝料を請求できる要件や請求の流れについて解説していきます。
精神的苦痛で離婚する場合の慰謝料相場は50~300万円程度

- 配偶者の「不法行為」によって離婚する場合は慰謝料請求が可能
- 不法行為とは、DV・不貞行為・悪意の遺棄などを指す
配偶者が働いているのですが、家にお金を入れてくれません。理由は教えてくれず、外で働こうとしたら却下されました。離婚して慰謝料を請求できますか?
理由もなくお金を渡さない、働こうとしたら拒否するなど経済的DVに該当する可能性があり慰謝料請求の対象となるでしょう。今のうちに、会話を録音するなどの方法で証拠を集めておきましょう。
配偶者の言動が「不法行為」に該当すると慰謝料請求が可能
配偶者の言動が民法709条の「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した」場合、「不法行為」とみなされ慰謝料(損害賠償)を請求できます。
慰謝料の額は精神的苦痛の度合いによって異なり、50~300万円程度です。
離婚する場合は「不法行為によって夫婦関係が破綻し離婚に至った」ことを証明できると、慰謝料請求が認められやすくなります。
精神的苦痛とは?診断書などの証拠は必要?
夫婦間で慰謝料を請求できる事例として以下のものがあります。
- 不貞行為
- DV(精神的・身体的・経済的なもの全て)
- 相手が困ると分かっていながら夫婦の同居・協力・扶助の義務を怠る
例:理由もなく家を出る、特別な理由がないのに働かないなど
不貞行為は、配偶者以外の者と自由な意思に基づいて性的関係を持つことです。不特定の相手との買春・売春や風俗店へ通うことも、事案によっては不貞行為とみなされるでしょう。一方で、キスやハグはしているものの関係を持っていない場合、自分の意思ではない性行為(レイプなど)は不貞行為に該当しないといわれていますが、婚姻生活の平穏を害する行為として不法行為責任が認められる場合があります。
不貞行為についての詳しい内容は、「不貞行為ってどういう意味?された場合の慰謝料請求などについて解説」でご説明しておりますので気になる方はご覧ください。
DV(ドメスティックバイオレンス:家庭内暴力)には殴る蹴るなどの身体的なもの、精神的に相手を傷つける精神的DV、経済的な自由を奪う経済的DVがあります。
精神的DVとは、相手の人格や価値観を否定し自身や自尊心を奪う行為※1で「モラルハラスメント」とも呼ばれています。
経済的DV※2には、生活費を渡さない・仕事を制限するといった行為が挙げられます。
経済的DVについての詳しい内容は、「経済的DVとは?離婚は可能?慰謝料請求の可否についても弁護士が解説」でご説明しておりますので気になる方はご覧ください。
また、夫婦には同居・協力・扶助の義務がありますが故意に義務を怠ると「悪意の遺棄」として法的な離婚の事由や慰謝料請求の対象となります。
「精神的苦痛」は客観的に度合いを判断するのが難しいですが、不法行為が長期間に渡っている、不法行為によって病気になったなど被害が大きいとみなされる際には慰謝料が高くなる可能性があります。
慰謝料請求にあたっては、不貞行為やモラハラなどの証拠を集めておくことが重要となります。
身体的に暴力を受けている方、精神的なDVに遭い通院している方は医師の診断書をもらっておきましょう。
不貞行為・DVなどがあったことが分かる音声や動画・写真などが証拠になります。可能な限り証拠を集めておきましょう。
不貞行為なしでもモラハラ・悪意の遺棄などで慰謝料が請求できることも
慰謝料といえば不貞行為を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、上記の通りモラハラやDV・悪意の遺棄でも慰謝料の請求は可能です。
ただし、証拠がないと相手がモラハラなどの行為を否定したときに対処できません。相手に慰謝料を請求することを伝える前に、必ず証拠を集めておきましょう。
精神的苦痛による離婚の慰謝料請求の流れ

- まずはDV・不貞行為などの証拠を集めておく
- 弁護士に相談することで、配偶者と直接話さなくても交渉ができる
慰謝料請求をしたいのですが、弁護士に相談すべきですか?
必ず相談しなければいけないという訳ではありませんが、当事者同士で話し合うと感情的になってしまう、書類作成や交渉が難航するといったおそれがあります。スムーズな解決を目指したい場合は弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
不法行為の証拠を集める
まずは、不法行為の証拠を集めます。
不貞行為の場合は、2人でホテルに入る写真やホテルの領収書・メールやメッセージアプリで不貞行為をしていることが分かるやり取りなどが証拠となることがあります。帰宅時間や不在の時間をメモしておきましょう。
DVは、医師の診断書や現場の動画・録音などを残しておきましょう。
自分で証拠を集めることが難しい場合は、業者に依頼するという方法もあります。
弁護士に相談する
集めた証拠で慰謝料を請求できるか、弁護士に相談することをおすすめします。
慰謝料は2人の話し合いでも請求できますが、当事者間では感情的になってしまう事例が多いです。暴力を振るわれた場合、恐怖で話し合いができないという方もいらっしゃるでしょう。
弁護士は第三者であり紛争解決のプロといわれています。代理人として依頼することで、スムーズな交渉が期待できます。
協議により慰謝料を請求する
まずは任意の話し合いで慰謝料を請求します。
裁判外での話し合いでは、双方が合意すれば慰謝料請求が認められます。調停や裁判と比べて、時間や費用の負担をおさえられますので、まずは協議の成立を目指しましょう。
弁護士に依頼した場合は代わりに話し合ってもらうこともできますし、相手の合意があれば3人での話し合いも可能です。
話がまとまらない場合は調停・訴訟へ
話し合いがまとまらない場合は、調停もしくは訴訟を申立てます。
離婚と慰謝料請求で訴訟を起こす場合は、以下の「法定離婚事由」が必要となります。
1 配偶者に不貞な行為があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
5の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」には、暴力・虐待や長期間の別居、借金・ギャンブル・浪費などがあります。
いずれも「夫婦の関係破綻の原因となっている」点がポイントです。
まとめ
離婚の慰謝料請求では、相手の言動が不法行為とみなされるかどうかがポイントとなり精神的苦痛の度合いによって慰謝料の額が異なります。
相手と直接話し合いたくない、スムーズな解決を図りたいという方は弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。






 
					 
		

