個人再生をするときに賃貸アパートやマンションの家賃はどうやって支払うのかでしょうか。
ざっくりポイント
  • 個人再生においては基本的に特定の債権だけ支払うことはできない
  • アパート・マンションの家賃も同様
  • 基本的には親類などに支払いを行ってもらう

目次

【Cross Talk】個人再生をするときには滞納した家賃は支払ってはいけない!

私は宅建業者なので債務整理にあたって個人再生を利用しようと思うのですが、家賃を少し滞納しています。まずはこちらを払ってしまってもよいですか?

家賃の滞納も再生手続きの中で取り扱いをしますので独自の判断で支払いをしないでくださいね。

滞納している家賃も個人再生手続きで取り扱う債務なので、支払ってしまうと偏波弁済になります。

債権者は平等に取り扱われなければならないとする債権者平等原則というものがあり、個人再生手続きをする場合の民事再生法にもこの原則に基づく規定がされています。滞納家賃についても実は借金と同じように取り扱う必要があるため、独断で支払いをすると問題が発生します。方法はあるのですが、きちんと説明ができるように弁護士と相談をしながら行うようにしましょう。

個人再生手続きにおいて債権者は平等に扱わなければならない

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 法的整理では、債権者は平等に扱われることになっている
  • 民事再生法において債権者を平等に取り扱うべき旨を規定している。

残った財産の中から誰に支払いを行うかは自由に決められないのですか?

債務整理の方法について任意整理を利用する場合には、どの債権者と何をするかを自由に決められますが、自己破産と個人再生は債権者を平等に扱わなければなりません。これは法律が規定しています。

借金の返済ができなくなっている場合の多くが、たくさんの会社から借入をしている事がほとんどです。
そして、たくさんの会社のから借入をしている中に、親族や友人などの個人からの借入をしているような人もいらっしゃいます。

債務整理・借金整理というと、銀行・消費者金融・信販会社などの貸金業者からの借入のみを思い浮かべる方も多いと思いますが、これらの人も債権者という立場にあることは変わりません。

このように、複数の債権者がいるような場合には、法律が特別な扱いを認めている時以外は、債権者は平等に扱わなければならないとするのが、債権者平等原則といいます。
個人再生手続きの規定をしている民事再生法では85条で、手続きの中で支払いをするように規定されており、担保を持っているなどで優先して弁済を受けられる債権者以外のだれか一人に任意に支払いをするようなことはできなくなっています。

個人再生をするときに滞った家賃は払ってはいけないの?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 住宅ローンの支払いができるのは特別な条項の適用があるから
  • 水道光熱費の支払いができるのは先取特権という担保がついているから
  • アパート・マンションの家賃は個人再生手続きの中で支払いをすることになる

たしか滞納している電気・ガスなどの料金は支払ってよい、住宅ローンもそのまま支払ってよいということだったと思うんですけど、そう考えると家賃も支払ってもよいのではないですか?

水道光熱費や住宅ローンは特別な仕組みがあるから支払えることになっているのですが、アパート・マンションの滞納分については特別な規定がなく原則として支払いができません。

個人再生について情報を集めている方の中には、

  • 個人再生であれば住宅ローンはそのまま支払っていくことができ、家を維持できる。
  • 水道光熱費は支払いができる。

という情報を目にされたかもしれません。
そうすると、家賃を滞納していても特に支払いをしてもいいのではないか?と思いますね。
しかし、上記の2つの支払いをして良い理由は以下の特別な理由によります。

住宅ローンの支払いをしてよいのは、住宅資金特別条項があるから

まず住宅ローンの支払いをしてもよいのは、個人再生手続きを規定する民事再生法第十章第196条以下に、いわゆる住宅資金特別条項という規定が設けられており、その適用を受ける住宅ローンの支払いが認められているためです。

住宅資金特別条項については、「家の住宅ローンが残ってる!個人再生をしたら、家はなくなっちゃうの?]をご覧ください。

水道光熱費については先取特権という担保権がついているため

水道光熱費の滞納を支払ってよい、とするのは、水道光熱費などの日用品の供給に対する対価としての債権に関しては6ヶ月分のものについては、民法310条、306条4号で一般の先取特権という担保権が与えられています。
一般の先取特権が与えられている権利については、民事再生法122条で、再生手続きによらないで弁済することができる、とされています。
通常電気・水道などは6ヶ月もためる前にストップすることがほとんどなので、現実的には水道光熱費に関しては基本支払いをしてよいと考えてよいです。

滞納家賃についての個人再生手続き上の扱い

滞納した家賃も「住む」ために必要であるといえるので、何かしら支払うことを認める条文があるように思えますが、実は滞納家賃に関しては保護をしている条文がありません。
そのため、滞納家賃については一般債権として取り扱われることになっていますので再生手続きの中で支払いをすることになります。
つまりは、他の消費者金融・銀行・信販会社からの借金と同様に、圧縮された額の分割支払いに従うことになります。

家賃滞納の実務的な解消方法は親族等による第三者弁済

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 解約される可能性があるのはやむを得ない
  • 回避するためには第三者弁済による

法律上支払うことができないのはわかりましたが、それだと解約されてしまいませんか?

はい、ただ親族などの第三者に支払いをしてもらうことで滞納を解消できれば、解約はされないで済みます。

滞納家賃は一般の債権として取り扱います、ということなので、再生手続きの中で支払うことになり、当初の契約通りの支払いができなくなってしまいます。
当然ですが大家としては、家賃を支払わない以上は出て行ってください、という流れになります。
ここで「こっそり支払ってしまっても、わかるわけがない」と思ってしまい、支払ってしまう人がまれにいらっしゃいます。

しかし、振込をすればその記録は通帳で確認できます。
個人再生手続きの利用にあたっては、資料として、通帳や履歴を提出することになっています。
そのため、家賃の滞納の支払いをこっそり行うようなことがあっても必ずどこかで露見すると考えておくべきです。
もし滞納家賃の偏頗弁済がわかったときには、支払った金額分だけ、個人再生手続きで返済する金額が増える可能性があります。

個人再生手続の取る場合の滞納家賃についての実務的に有効な対応としては「第三者弁済」という方法が考えられます。
第三者弁済とは、債務者以外の第三者が債務の支払いを行うことで、親族や友人にこの支払をしてもらうことになります。
当然ですが、一時的に支払ってもらったからと言って、第三者弁済を行った人にお金を渡すことがあれば、それは借入と同視できることになってしまいますので絶対にしないようにしましょう。

まとめ

このページでは、個人再生手続きを利用する際の滞納家賃の処分についてお伝えしました。
住宅ローンの支払いができたり、水道光熱費の支払いができたりすることから、同じように考えてしまいがちの滞納家賃ですが、こちらは上記のような特別な規定がないため、支払いは個人再生手続きの中で行う必要があります。
第三者弁済という方法で対応はできますが、裁判所や再生委員から説明を求められることもあり得ますので、弁護士と相談しながら行うようにしましょう。