自己破産をすると退去費用を支払わなくても良い?

ざっくりポイント
  • 自己破産の前に発生した退去費用は免除される
  • 自己破産をした後の退去費用が支払えない場合はどうなる?
  • 自己破産をした後の退去費用が払えない際の対処法は?

目次

【Cross Talk】自己破産をすると退去費用は免除されるのでしょうか?

知っておきたい借金問題解決のポイント

自己破産をすると住んでいる賃貸アパートの退去費用を支払わなくても良いのでしょうか?

退去費用が免責されるかどうかは、自己破産のタイミングによって異なります。

自己破産と退去費用について、詳しく教えてください。


自己破産のタイミングによって退去費用が免責されるか否かは異なる

自己破産をすると、現在住んでいる賃貸物件の退去費用を支払わなくても良いのでしょうか。自己破産をすれば、全ての借金がなくなるというイメージがあるかもしれませんが、実は退去費用に関しては、その費用が発生したタイミングによって免責されるかどうかが決まります。
この記事では、自己破産と退去費用の関係、支払えない場合の対処法などについて、弁護士が解説していきます。

自己破産のタイミングに応じて退去費用の免責可否が決まる

知っておきたい借金問題解決のポイント
  • 自己破産をする前に発生した退去費用は免除される
  • 自己破産をした後に発生した退去費用は免除されない

自己破産をすると賃貸アパートの退去費用は支払わなくてもいいのでしょうか?

退去費用が免責されるかどうかは、自己破産のタイミングによって異なります。

自己破産をする前に退去費用が発生している場合は免責される

退去費用が自己破産で免責されるかどうかは、その費用が発生したタイミングによって決まります。具体的には、裁判所が「自己破産の手続開始決定」をする前か後かで扱いが大きく変わります。
この「自己破産手続開始決定」とは、裁判所が自己破産の申立てを受理し、破産手続を開始すると正式に決定することです。弁護士に自己破産を依頼しただけではこの決定は下されていませんので注意が必要です。
裁判所が「破産手続開始決定をする前」に発生した退去費用は、原則として免責の対象となります。自己破産では、この決定が下された時点で存在していた借金や債務の支払いが免除されるためです。
例えば、以下のような場合は免責される可能性が高いでしょう。

  • 未払いの家賃
  • 退去時に請求された原状回復費用や清掃費用
  • 賃貸借契約の違反による違約金

ただし、退去費用が免責されるためには、手続き開始決定前に費用が明確な金額として請求されている必要があります。金額がまだ確定していなかったり、まだ発生していない将来的な費用だったりする場合は、免責の対象にならないことがあります。

自己破産をした後に退去費用が発生した場合は免責されない

裁判所が「破産手続開始決定をした後」に発生した退去費用は、自己破産をしても支払い義務が残ります。自己破産制度は、あくまで手続き開始時点までの借金を精算するためのものであり、それ以降に発生した債務は自分で責任を負うべきものとされているからです。
そのため、手続開始決定後に賃貸借契約を解除して引っ越し、そこで発生した退去費用は免責されません。
破産手続開始決定前に退去費用が発生したか、それとも後に発生したか、このタイミングが免責の可否を分ける重要なポイントとなります。弁護士に自己破産を依頼する際は、退去費用がいつ発生したかを正確に伝えることが不可欠です。

発生した退去費用を払えないとどうなる?

知っておきたい借金問題解決のポイント
  • 自己破産をした後の退去費用を支払えないとどうなる?
  • 賃貸人から請求を受け、裁判手続に発展するおそれ

自己破産をした後に発生する退去費用が支払えない場合はどうなるのでしょうか?

ここでは、免責されない退去費用を支払えない場合のリスクについて解説していきます。

賃貸人や保証会社から請求される

自己破産をしても、手続後に発生した退去費用は支払義務が残ります。経済的に苦しい状況での支払いは非常に困難な場合も多いでしょう。しかし、支払いを放置すると、状況はさらに悪化してしまいます。
退去費用の支払いが滞ると、まずは賃貸物件のオーナーや管理会社、または保証会社から督促の連絡が入ります。この段階で重要なのは、連絡を無視しないことです。支払いが難しいからと放置してしまうと、相手との信頼関係が崩れ、事態は悪化する一方です。
正直に現在の経済状況を伝え、支払い期日の延長や分割払いの相談をすることで、柔軟な対応をしてもらえる可能性があります。

保証人に請求がいく

賃貸借契約では、連帯保証人を立てるか、保証会社を利用するため、借主が退去費用を支払えない場合、請求は連帯保証人や保証会社へと向かいます。
特に、ご家族やご親族に連帯保証人になってもらっている場合は注意が必要です。自己破産したことで退去費用を請求されたことが保証人に伝わり、金銭的な負担だけでなく、人間関係にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
また、保証人が退去費用を立て替えて支払った場合、後日その保証人から請求されることになるため、問題が根本的に解決したわけではありません。

裁判手続に移行する

再三の督促や保証人への請求にも応じず、支払いを放置し続けると、最終的には訴訟に発展する可能性があります。賃貸人や保証会社から、未払いの退去費用を回収するために民事訴訟を起こされることになります。
原告(賃貸人)の請求を認める判決が確定すると、財産に対する差押えが行われる可能性が高まります。給料や預金口座が差し押さえられてしまうと、日常生活に大きな支障をきたします。一度差し押さえられてしまうと、その口座からお金を引き出したり、自由に使ったりすることができなくなります。
このような事態に陥らないよう、支払いが難しい場合は、できるだけ早く賃貸人や保証会社と連絡を取り、支払方法について相談することが重要です。自己破産を弁護士に依頼している場合には、この件についても相談されることをおすすめします。

退去費用の支払いが難しい場合の対処法

知っておきたい借金問題解決のポイント
  • 自己破産をした後の退去費用を支払えない場合の対処法とは?
  • 借金問題に詳しい弁護士に相談する

自己破産をした後に発生する退去費用が支払えない場合、どうすればいいのでしょうか?

ここでは、自己破産をした後に発生する退去費用が支払えない場合の対処法について解説していきます。

分割払いを検討する

自己破産手続後に退去費用が発生した場合、それを支払うのは経済的に大きな負担となります。しかし、支払いを放置すると、賃貸人や保証会社からの督促、さらには訴訟や財産の差押えといった事態に発展する可能性があります。
退去費用の一括支払いが難しい場合、まずは賃貸人や管理会社に分割払いを打診してみましょう。
正直に現在の経済状況を説明し、支払いに対する誠実な意思を示すことで、柔軟な対応をしてもらえる可能性があります。
ただし、漠然と「分割払いにしてください」と伝えるだけでは、交渉は難航しがちです。具体的な返済計画を立て、「6カ月で分割して支払わせていただけないでしょうか」といったように、現実的かつ具体的な提案をすることが大切です。相手に納得してもらえるような、無理のない支払い計画を提示することで、交渉がスムーズに進みやすくなります。

自己破産を依頼した弁護士に相談する

賃貸人や管理会社との交渉がうまくいかない場合、一人で悩まず、自己破産手続を依頼した弁護士に相談することがもっとも有効な解決策です。弁護士は法律の専門家として、状況を正確に把握し、適切なアドバイスや交渉のサポートをしてくれます。
弁護士に依頼することで、不当な退去費用の請求がないかを精査してもらうことも可能です。賃貸借契約の慣例や国土交通省のガイドラインに基づき、経年劣化や通常損耗による費用が請求に含まれていないか確認してもらえます。不当な請求に対しては毅然とした対応を取ることで、支払うべき金額を適正化できる場合もあります。まずは弁護士に相談し、今後の対応を一緒に検討していきましょう。
ただし、注意すべき点があります。通常、退去費用に関する交渉は自己破産手続の業務範囲には含まれていません。そのため、改めて弁護士との間で交渉の委任契約を結び、追加の弁護士費用が発生する可能性があります。

まとめ

自己破産を検討する際、退去費用が免責されるか否かは、その費用が自己破産手続開始決定の前か後かで決まります。手続前に発生した退去費用は原則として免責されますが、後に発生した費用は支払い義務が残ります。
もし自己破産をした後に退去費用が払えない場合、放置すると賃貸人や保証会社からの督促、さらには保証人への請求、最終的には訴訟や財産の差押えに発展する可能性があります。支払いが難しい場合は、分割払いの交渉や、自己破産を依頼した弁護士に相談することが重要です。
当事務所には自己破産に詳しい弁護士が在籍しておりますので、お困りの際にはお気軽にお問い合わせください。