
- 滞納している税金は法人破産で原則消滅する
- 法人破産をしても法人の税金を支払うべき場合
- 法人の税金を滞納した場合の対応方法
【Cross Talk】法人破産をすると会社が滞納している税金・社会保険料はどうなりますか?
小さな会社の経営をしています。経営状態は思わしくなく、税金や社会保険料の滞納が始まっています。会社を畳もうと思っているのですが、会社を畳むと会社の税金はどうなるのでしょうか?
会社が滞納している税金・社会保険料については、原則法人破産によって消滅しますが例外もあります。
そうなんですね!例外はどのような場合でしょうか?
会社が税金を滞納した場合に法人破産をするとどうなるのでしょうか。法人破産をするとその法人は消滅するので同時に債務も消滅することになります。
そのため原則としては、法人が負担している税金は法人の消滅によって債務も消滅することになります。しかしながら、例外として法人が消滅している場合でも代表者等が税金の支払い義務を負う場合もあります。
ここでは、税金を滞納した場合の対応方法とともに詳しく確認していきましょう。
法人破産をした場合の滞納している税金・社会保険料の支払い義務

- 法人破産とは
- 法人破産をした場合の滞納している税金・社会保険料の支払い義務
法人破産をすると法人が滞納している税金・社会保険料はどのような扱いになるのでしょうか。
法人が消滅するので、税金を納める義務も消滅することになります。
法人破産をした場合の滞納している税金・社会保険料の支払い義務はどうなるのでしょうか。
法人破産とは
法人破産とは、会社などの法人について、破産法に基づいて行う精算手続のことをいいます。
会社が債務超過に陥っている・支払不能となっている場合に、会社財産を債権者に配当し、会社の法人格を消滅させます。
滞納した税金・社会保険料は法人破産で原則的には消滅する
法人が納めるべき税金・社会保険料を滞納したまま法人破産をした場合、会社の債務である税金については、法人が消滅するため、滞納税金・社会保険料も原則として消滅します。
そのため、滞納している税金・社会保険料の支払いの問題は生じなくなります。
法人破産の手続きでは滞納している税金・社会保険料はどのように扱われるか
滞納している税金・社会保険料は、破産手続ではどのように扱われるのでしょうか。
破産手続では、法人の財産を債権者に対して配当を行います。
配当の優先順位別に、次のような種類があります。
- 財団債権:最も優先される債権
- 優先的破産債権:次に優先される債権
- 一般の破産債権:通常の債権
- 劣後的破産債権:一般の破産債権に配当されてまだ余剰があれば配当される債権
- 約定劣後破産債権:債権者との間で劣後破産債権となる約定がある破産債権
税金・社会保険料については、破産手続開始前の原因に基づいて発生した税金・社会保険料で、納期限が到来していないもの・納期限から1年を経過していないものについては財団債権として取り扱われます。
その他についても劣後的破産債権と取り扱われるもの以外は、優先的破産債権とされ、基本的には一般の買掛金や借入金よりも優先して回収されることになります。
法人破産をして滞納税金を支払わなければならない場合

- 例外的に法人が滞納している税金を代表者が支払うべき義務がある場合
例外的に代表者等が滞納税金を支払うべき場合にはどのようなものがありますか?
法人が合名会社・合資会社である場合、第二次納税義務を負う場合、納税保証をしている場合が挙げられます。
原則法人の消滅によって滞納している税金の支払い義務がなくなります。
しかし、次のような場合には、例外的に税金の支払い義務を代表者が負うことになります。
法人が合名会社・合資会社である
法人のうち合名会社・合資会社である場合の無限責任社員である場合には、代表者も会社の滞納税金の支払い義務を負います。
法人が合名会社・合資会社である場合、合名会社の社員・合資会社の場合の無限責任社員は、会社の債務について無限責任を負うことになります。
つまり、会社の債務について代表者が支払い義務を負うことになるので、滞納している法人の税金・社会保険料の支払い義務があります。
財産や事業を無償・廉価で譲り渡したなど第二次納税義務を負う場合
破産する法人が所有している財産や、事業そのものを、無償・廉価で第三者に譲渡するなどして、会社の財産を散逸したような場合には、代表者は第二次納税義務者として滞納している税金を支払わなければならない場合があります。
この場合には会社が滞納している税金を支払う義務があります。
納税保証をしている場合
過去に脱税や悪質な申告漏れがあった場合に、代表者が納税保証をすることがあります。
この場合滞納している税金について、代表者が支払う義務があります。
代表者個人の滞納している税金・社会保険料について

- 代表者個人が滞納している税金・社会保険料
代表者個人の滞納している税金・社会保険料についてはどうなりますか?
代表者個人が滞納している税金については代表者が破産しても非免責債権としてそのまま支払い義務が残ることになります。
代表者個人の滞納している税金・社会保険料についてはどうなるでしょうか。
法人が滞納している税金・社会保険料の支払い義務は原則ない
まず、繰り返しにはなるのですが、法人が滞納している税金・社会保険料について個人は支払う義務は原則ありません。
そのため、代表者個人が滞納している税金・社会保険料とは別に考えます。
例外にあたる場合には納税義務がある
ただし、上述した例外にあたる場合には、代表者個人に納税義務があります。
そのため、この場合には代表者個人の税金として同様に考えます。
代表者個人が滞納している所得税・社会保険料は非免責債権となる
代表者個人が滞納している所得税・社会保険料、および例外的な納税義務については、非免責債権として免責の対象になりません(破産法253条1項1号)。
そのため、破産手続後も個人が支払う必要があります。
法人破産をする場合には代表者個人も自己破産をすることになりますが、税金については免責されずに自己破産後に支払う必要があります。
法人が税金を滞納している場合の対策

- 法人が税金を滞納している場合の対応方法
- 滞納処分で突然財産を差し押さえられることもあるので税務署と相談する・事業継続が難しい場合には早めに法人破産の手続きに着手する
法人が税金を滞納している場合にはどのような対策がありますか?
税金を滞納していると、滞納処分として突然会社財産を差し押さえられ、事業が立ち行かなくなることがあります。税務署ときちんと相談し、事業継続が難しい場合には法人破産の手続きを行いましょう。
法人が税金を滞納している場合の対策を確認しましょう。
滞納処分によって突然財産の差し押さえをされる場合がある
法人が税金を滞納している場合には、滞納処分によって突然会社財産の差し押さえがされる可能性があることを知っておきましょう。
借り入れをしている金銭や、買掛金の支払いができなくなっている場合には、公正証書を作成している場合でない限り、裁判を起こして強制進行をする必要があります。
しかし、税金の滞納については、滞納処分という形で裁判等をせずに差し押さえをすることができます。
事業継続のための重要な財産を差し押さえられ、事業継続が困難となる可能性があるので、早めに対応をする必要があることを知っておきましょう。
再建型の倒産処理手続でも滞納している税金・社会保険料は免除されない
会社の債務の支払いが難しくなった場合、民事再生や会社更生・私的整理といった再建型の倒産処理手続を行い、債務を免除してもらうことを検討することになります。
この場合でも滞納している税金・社会保険料に関しては免除の対象にはならず、支払う必要があります。
他の債務の免除によって早期に税金の対象を解消できるような場合であれば効果はありますが、税金の滞納の解消の見通しが立たないような場合には、再建型倒産処理手続による事業再生は難しいこともあるので注意が必要です。
対応策1:税務署と相談をする
対応策の1つ目が、税務署と相談をすることです。
税金の滞納をしている場合には税務署と相談をして、納税についての見通しや、分割しての支払いの計画について相談をしておくようにします。
これによって、滞納処分で会社の重要財産を差し押さえられるということは回避可能です。
対応策2:法人破産の手続きをする
納税についての見通しが立たないような場合には、早めに法人破産の手続きに着手しましょう。
法人破産をする場合にも費用がかかりますし、会社財産を差し押さえられてしまうと、精算手続にも支障をきたす事態になりかねないことがあります。
早めに法人破産をして、生活を立て直すことも検討しましょう。
まとめ
このページでは、法人が税金の滞納をした状態で法人破産をした場合、税金や社会保険料の支払い義務はどうなるのかについてお伝えしました。
法人破産をすることによって法人が消滅するので、滞納している税金については消滅しますが、例外的に代表者が納税義務を負うことになり、代表者が自己破産をして免責されません。
税金を滞納している場合には早めに税務署に相談して納税の計画を立てるか、事業再生の見通しが立たないような場合には、早めに法人破産に着手するようにしましょう。









