
- 個人再生で家計簿が必要な理由とは?
- 個人再生の家計簿の作成方法とは?
- 個人再生の家計簿で重視されるポイント・注意点とは?
【Cross Talk 】個人再生の家計簿(家計収支表)の作成方法とは?
個人再生で家計簿が必要なのはなぜでしょうか?
裁判所が再生計画の実現可能性などをチェックするためです。
個人再生の家計簿のポイントについて、詳しく教えてください。
個人再生手続きにおいては、家計簿(家計収支表)の作成が義務付けられています。なぜプライベートな支出を細かく裁判所に報告しなければならないのでしょうか。家計簿(家計収支表)が適切に作成されていないと、再生計画が認可されない可能性もあります。
この記事では、個人再生で家計簿が必要な理由から、裁判所が重視するチェックポイント、ミスを防ぐための注意点などについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。
個人再生で家計簿(家計収支表)が必要な理由

- 個人再生で家計簿(家計収支表)が必要な理由とは?
- 再生計画の実現可能性などがチェックされる
なぜ個人再生では家計簿の作成が必要なのでしょうか?
ここでは、個人再生で家計簿(家計収支表)が必要となる理由について解説していきます。
個人再生の手続きを申立てる際、裁判所に必ず提出しなければならない書類の1つに、「家計収支表(一般的に家計簿と呼ばれます)」があります。裁判所が債務者の日常的な家計状況を細かくチェックする理由として、以下の点が挙げられます。
まず、個人再生は、借金の全額を支払うことが困難な状況にある方を救済する制度であるため、裁判所は「本当に借金を減額しなければならない状態なのか」を審査します。家計簿を通じて収入と支出のリアルな数字を確認し、無駄を削ってもなお返済が立ち行かない状況、つまり「支払不能のおそれ」があることを客観的に証明するために必要となります。
次に、個人再生は自己破産とは異なり、減額された借金を原則3年間(最長5年間)かけて完済していく手続きです。この返済計画を「再生計画」と呼びます。
そして、裁判所は、家計簿を見て「この収支状況で、今後3年以上にわたり毎月一定額を確実に支払っていけるか?」という再生計画の実現可能性をチェックします。家計に余裕がなさすぎても、逆に浪費が多すぎても、計画が遂行できないと判断され、認可決定が出ない可能性があります。
さらに、公平な債務整理を行うために、裁判所は財産隠しや偏頗弁済(へんぱべんさい)などがないことを確認します。家計収支表を確認することで、本来あるべき資産を隠して家計を苦しく見せていないか、親族や特定の知人、あるいは一部の業者に優先して返済(偏頗弁済)を行っていないかをチェックできます。
家計収支表なしでは、民事再生の申立てそのものが受理されません。したがって、弁護士に依頼した後は、まず正確な家計の把握からスタートすることになります。
関連記事:自己破産はしたくない!個人再生手続ってどんなもの?メリット・デメリットを教えて!
個人再生における家計簿(家計収支表)の作成方法

- 個人再生における家計簿(家計収支表)の作成方法とは?
- 家計収支表の作成で重要となるポイントとは?
個人再生における家計簿はどのように作成すればいいのでしょうか?
ここでは、個人再生における家計収支表の作成方法について解説していきます。
家計簿(家計収支表)の期間
裁判所への申立て時には、通常「直近2~3ヶ月分」の家計状況を提出します。
ただし、申立て後も手続きが終わるまでは継続して記録を求められることが多く、最終的には半年から8ヶ月程度の期間、継続して作成し続ける必要があるのが一般的です。
そのため、申立ての準備期間中から継続的に家計収支表を作成することで、スムーズに個人再生手続きを進めることができます。
家計簿(家計収支表)に記載する項目
家計簿には、配偶者や子どもなど家計を同一にしている家族全員の収入および支出を記載する必要があります。
「収入」には、給与(手取り額)、賞与、自営収入のほか、年金、児童手当、親族からの援助、前月からの繰越金などを合算して記載する必要があります。また、「支出」については、住居費(家賃・ローン)、食費、光熱費、通信費、医療費、保険料、日用品費などに加え、交際費や娯楽費も正直に記載しなければなりません。また、個人再生では「積立トレーニング」として、返済予定額を積み立てている場合はその額も反映させます。
家計簿(家計収支表)で重視されるポイント
支出の妥当性
家計収支表の各項目が、生活に必要不可欠な範囲内に収まっているかどうかが厳しくチェックされます。
例えば、食費が世帯人数に対して極端に高かったり、娯楽費や嗜好品(酒・タバコ)への支出が多かったりすると、「まずは生活を改めて、返済に充てるべきではないか」と指摘を受ける可能性があります。
収支のバランス
また、毎月の収支が赤字になっていないかも確認されます。
恒常的に赤字の状態では、減額後の借金であっても完済は不可能だと判断されてしまうため、収入の範囲内で生活が成り立っていることを示す必要があります。
余剰金の有無
個人再生を行ううえで重要となるのが、「減額後の返済予定額」を毎月安定して捻出できているか、という点です。収支計算の結果、手元に残る余剰金が毎月の返済額を上回っていれば、再生計画の実現可能性があるとみなされます。逆に、手元に残る余剰金が返済額を下回ってしまうと、再生計画の実現可能性がないとして認可が受けられなくなります。
個人再生における家計簿(家計収支表)作成時の注意点

- 個人再生における家計収支表作成時の注意点とは?
- 家計収支表には正確な記入が求められる
個人再生で家計簿を作成する際にはどのような点に注意する必要がありますか?
ここでは、個人再生における家計収支表の作成時の注意点について、解説していきます。
嘘や適当なことを書かない
家計簿に虚偽の内容を記載することは絶対に避けてください。
裁判所は家計簿単体を見るのではなく、同時に提出する「通帳のコピー」や「給与明細」、「課税証明書」といった公的書類と照らし合わせて内容を精査します。そのため、金額が合わなかったり、不自然な隠し資産が疑われたりすると、誠実さが欠如しているとみなされます。
特に借入金の返済や大きな支出については、正確な数字を記載しましょう。なお。虚偽の申告をした場合には、刑事罰を科されるリスクがあるので注意が必要です。
世帯家計で作成する
個人再生の審査では、申立人本人だけでなく「家計全体としていくら手元に残るか」が重要視されます。
そのため、配偶者や同居親族に収入がある場合は、その金額も含めた世帯全体の収支を記載しなければなりません。
共働きの場合などは、パートナーの給与明細や通帳のコピーも必要になるため、あらかじめ家族の理解と協力を得ておくことが、手続きをスムーズに進める鍵となります。
レシートや領収書を保管しておく
日々の食費や日用品費のレシートが全て提出必須ではないものの、水道光熱費、家賃、通信費といった固定費の領収書は、その金額の根拠として提出を求められることが多々あります。 また、裁判所から特定の支出について説明を求められた際、レシートがあれば正確に回答できます。
したがって、月ごとに封筒に分けるなど、整理して保管する習慣をつけましょう。
繰越額の記載に注意する
家計簿の冒頭や月末に記載する「繰越額(繰越金)」は、ミスが起こりやすい項目です。
これは単なる「計算上の余り」ではなく、「銀行口座の預貯金残高」と「手持ちの現金」を合算した総額を記入してください。最初の月の開始時点での残高と、翌月への繰越額が一致していないと、どこかに不明な入出金がある(使途不明金)と判断されるおそれがあります。1円単位で完璧に合わせるのは難しい場合もありますが、可能な限り現金の実数とリンクさせる意識が必要です。
まとめ
個人再生における家計簿は、単なる収支の記録ではなく、申立人の返済能力を証明するための重要書類となります。直近2〜3ヶ月分から始まるこの記録は、世帯全体の収支を正確に反映させる必要があります。
慣れない作業に負担を感じるかもしれませんが、家計簿を通じて無駄な支出を見直すことは、認可後の生活をイメージするための重要な作業にもなります。
作成方法に不安がある、あるいは収支のバランスが改善せず悩んでいるという方は、早めに弁護士へご相談ください。個人再生を弁護士に依頼することで、無理のない再生計画の策定と、スムーズな申立てが可能になります。









