
- 自己破産の申立て前は自由に引っ越しができる
- 自己破産の申立て後も同時廃止であれば自由に引っ越しができるが、管財事件の場合は裁判所の許可が必要になる
- 自己破産をしたことで賃貸の審査に影響が出る可能性がある
【Cross Talk】自己破産は引越しにも影響するのでしょうか?
収入が減って借金の返済ができなくなったので、自己破産を考えています。家賃の安いところへの引っ越しを考えているのですが、自己破産をすると引越しができなくなるのでしょうか?
裁判所に自己破産の申立てをする前や自己破産の手続きが終わった後であれば問題なく引っ越し可能です。ただ、自己破産の手続き中に引っ越しする場合は裁判所の許可が必要になる場合があります。
引っ越しはできるんですね!
自己破産をする際に、持ち家の処分やより賃料の安い賃貸住宅への借り換え等を検討される方は少なくありません。
しかし、「破産手続き中に引っ越しができるのか?」「自己破産すると審査に影響が出るのか?」等といった疑問をお持ちになるかもしれません。本記事では、破産手続きと引っ越しとの関係や、審査への影響などについて解説します。
自己破産をした場合でも、前後であれば引越しできる

- 自己破産の申立て前は自由に引っ越しができる
- 自己破産を申立てた後でも破産手続き終了後は自由に引っ越しをすることができる
自己破産をした場合でも、引っ越しはできるのでしょうか?
自己破産を裁判所に申立てる前や、自己破産を申立てて手続きが終わった後であれば、法律上の制限はありませんので、自由に引っ越しをすることができます。
自己破産を裁判所に申立てる前であれば、引っ越しに関する法理上の制限はないため、基本的に自由に引っ越しできます。ただし、破産手続き直前のお金の流れについては裁判所や破産管財人が厳しくチェックします。
そのため、元の賃貸住宅を解約して戻ってきた敷金の額やその使途、新居の契約にかかった初期費用、引っ越し業者にかかった費用、家具や家電の購入にかかった費用など、引っ越しに関するお金の流れについては、必ず領収書等の資料を保管しておき、裁判所や管財人に説明ができるように準備しておきましょう。
また、裁判所の手続きが終わった場合にも、引っ越しに関する法律上の制限はないので、基本的に自由に引っ越しできます。ただし、破産手続きを行った場合には信用情報に事故情報として一定期間登録されますので、賃貸住宅を契約する際に審査が通りにくくなる等事実上の制限をうける可能性があるので注意しておきましょう。
関連記事:自己破産ってどんなもの?メリット・デメリットとは?
自己破産手続き中は許可が必要になることも

- 同時廃止の場合は免責手続きが終わるまでの間でも自由に引っ越しをすることができる
- 管財事件の手続き中に引っ越しをするには事前に裁判所の許可が必要
自己破産を申立てた後は、手続きが全て終わるまで引っ越しはできないのですか?
自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類があります。同時廃止事件の場合は手続きが全て終わる前でも自由に引っ越しをすることができます。管財事件の場合、引っ越しをするには事前に裁判所の許可を得る必要があります。
自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類があり、どちらの事件に該当するかによって手続き中の引っ越しの制限の有無が異なります。
一般的に、自己破産とは、債務者の財産を換価して債権者に弁済・配当をする破産手続きと、破産手続きを経て残った債務について債務者の責任を免除する免責手続きをあわせたものをいいます。
同時廃止は、破産者に、債権者に対して弁済・配当できるだけの財産がない場合に、破産手続きの開始と同時に破産手続きを廃止する(終結させるというものです。
同時廃止の場合、破産者には居住制限が課されないため、基本的に自由に引っ越しをすることができます。ただし、破産手続きが廃止しても免責手続きは終わりませんので、引っ越しをした場合は裁判所に対して住居変更の届出をする必要があります。
これに対して管財事件の場合、「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない」(破産法37条1項)とされているため、破産手続き中に引っ越しをするには、事前に裁判所の許可を得る必要があります。
仮に裁判所の許可を得ずに無断で引っ越しをした場合、免責不許可事由に該当するとして免責が許可されない可能性があるので、必ず裁判所の許可を得る必要があります。
自己破産による入居審査への影響

- 家賃保証会社を利用する場合には審査に影響が出る可能性がある
- 不動産会社や大家の審査には影響しない
自己破産をした後に賃貸をする場合、入居審査に何か影響が出ますか?
自己破産の後に新たに賃貸借をしようとする場合、家賃保証会社を利用するときはその審査に影響が出る可能性があります。他方、不動産会社や不動産のオーナー(大家)自身が審査する場合には、自己破産したことの影響が出ない可能性が高いでしょう。
家賃保証会社の審査に影響が出ることも
近年では、賃貸住宅を借りる際に、家賃保証会社の利用を義務付けられることが多くなっています。
理由としては、借主にとっては連帯保証人になってくれる方がいなくても賃貸住宅を借りることができる、貸主にとっては資力のある家賃保証会社の保証によって確実に賃料の支払いを受けることができるというメリットがあるからです。
家賃保証会社を利用する場合、過去に自己破産をしたことが審査に影響する可能性があります。
自己破産をするとそのことが官報に掲載されるとともに、債権者の加盟する信用情報機関に事故情報として登録されることになっています。
家賃保証会社を利用する場合、家賃保証会社が官報を調査したり加盟する信用情報機関に照会したりすることで自己破産の事実が発覚し、審査が通らないおそれがあるのです。
不動産会社や大家による入居審査には影響しない
家賃保証会社を利用せず、不動産会社や不動産の所有者(大家)が審査を行う場合、必ずしも自己破産をしたことが知られるとは限りません。
過去の自己破産は審査に影響せず、むしろ支払い能力があるかといった現在の事情が重視されるでしょう。
自己破産後に引越しする注意点

- クレジットカードが使えなくなるのでカード払いの物件を借りるのは難しくなる
- 連帯保証人がいる場合は審査が通りやすくなる
自己破産をした後に引っ越しをする場合に何か注意が必要なことはありますか?
自己破産をするとクレジットカードが使えなくなるので、クレジットカード払いの物件へ引っ越すことは難しくなることに注意が必要です。一方で、入居審査では将来の家賃の支払い能力が重視されますので、連帯保証人がいる場合は比較的審査が通りやすくなることも抑えておいてください。
クレジットカード払いの物件への引っ越しは難しい
自己破産をすると、破産時に所持していたクレジットカードは強制的に解約され、一定期間は新たにクレジットカードを作ることもできなくなります。
そのため、自己破産をすると家賃がクレジットカード払いと指定されている物件に引っ越しをすることは難しくなります。
関連記事:クレジットカードの使いすぎの方必見!信販会社相手の任意整理は果たして有効なのかを解説
連帯保証人が必要な場合は比較的審査が通過しやすい
連帯保証人は、本人に代わって賃貸借から発生する一切の債務を弁済する義務を負うことになります。
そのため、貸主は資力のある連帯保証人がいれば安心して物件を貸すことができます。
ですから、連帯保証人が要る場合には、比較的審査が通りやすいといえます。
関連記事:自己破産すると連帯保証人はどうなる?迷惑をかけない対処法を解説
引越しの審査で重視されるポイント

- もっとも重視されるのは家賃の支払い意能力があるかどうか
- 過去の滞納の有無などの信用力も重視される
引っ越しの審査で重視されるのはどのようなポイントでしょうか?
貸主が審査をする際には、借主が安定して家賃を支払うことが可能か、過去に滞納などをしたことがなく信用力があるかといったことが重視されます。
支払い能力
物件を貸す側の最大の関心事はきちんと継続的に家賃を支払ってもらえるか、という点にあるため、入居審査では家賃の支払い能力が重視されます。
収入と比較した家賃の割合が大きい場合、家賃を支払えるか不確実になりますし、安定して家賃を払い続けるには現在の収入が将来も見込まれることが必要になります。
そのため、支払い能力の審査に当たっては、現在の収入に加えて、勤務先や貯蓄なども考慮されることがあります。また、連帯保証人がいる場合には、連帯保証人の支払い能力も考慮されるので、連帯保証人の収入、職業、貯蓄なども審査に当たっての判断要素となります。
信用力
現在の支払い能力のほかに、信用力も入居審査の重要なポイントです。過去に家賃を滞納したり強制退去させられたりしたことがあると、マイナスの事情になります。
また、連帯保証人がいる場合には連帯保証人の信用力も考慮されます。信用力に不安がある借主は、支払い能力、信用力のある方に連帯保証人になってもらうよう依頼する等して、自身の信用力の不足を補うようにする必要があります。
まとめ
自己破産をしても引っ越し自体は可能ですが、引っ越しのタイミングによっては裁判所への住所変更の届出または引っ越しの許可の申請が必要になります。
また、破産手続きが終わった後に引っ越しをする場合には、自己破産をしたことが新たな物件に入居するための審査に事実上影響することがあります。
もし、自己破産を検討している場合には、引っ越しのタイミングも含めて弁護士に相談することをおすすめいたします。









