ショッピングのためのクレジットカード利用の返済が難しい場合でも任意整理は有効
ざっくりポイント
  • ショッピングのためのクレジットカード利用でも任意整理はできる
  • カードは使えなくなるので、公共料金や携帯電話料金の支払方法を変更する必要がある
  • 高額な商品購入の場合、商品が引きあげられる可能性もある
  • 自動引き落としとなっている場合、引き落としが止まらない場合もある

目次

【Cross Talk】クレジットカードの利用も任意整理ができるの?

借金をした場合に任意整理ができるのはわかるのですが、借金ではなくクレジット利用が多くなりすぎた場合にも任意整理はできるのでしょうか。

クレジットカード利用の場合にも任意整理は可能です

クレジットカードでショッピングをしすぎた場合でも任意整理は可能

任意整理とは、債務整理の一つですが、「キャッシング」や「ローン」だけではなく、クレジットカードの「ショッピング」利用で発生した立替金の場合にも利用できます。
もっとも、いくつかの注意点があります。

任意整理とは

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 任意整理は、各債権者と個別に支払方法を交渉する手続

まず、任意整理について教えてください。

任意整理とは、約定どおりの支払いが厳しくなってきた場合、弁護士等が介入し、改めて、各債権者と個別に支払方法を交渉する手続です。

任意整理とは、借金などの返済に困った場合に利用する債務整理の一つで、弁護士などに、各債権者と個別に支払方法や条件などを交渉してもらう手続です。
債務整理の中で、自己破産や個人再生は、すべての債務を対象とした、裁判所を通じて行う手続きであるのに対し、任意整理は、基本的には裁判所を経ず(各債権者から民事訴訟を提起されることもあります。)、各債権者と個別に交渉していくという点に特徴があります。

また、任意整理は、多くの場合、各債権者との和解日以降の利息をカットしてもらうことから、返済総額を大幅に減少させることが可能となります。
もっとも、分割回数には限界もあり、多くの場合、36回から60回以内での完済が必要となります。

クレジットカードのショッピング利用分についても任意整理できる

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • ショッピングの利用も任意整理は可能

では、キャッシングやローンではなく、ショッピング利用が多くなってしまった場合にも、任意整理手続は利用できるのでしょうか?

はい、ショッピング利用で返済が苦しくなった場合でも、任意整理は可能です。

クレジットカードでのショッピング利用は、クレジットカード会社が購入元に代金を支払ってくれたもの(立替金)を、利用者がクレジットカード会社に支払う利用方法で、キャッシュレス決済が盛んになってきた現在、一般的に広く利用されている買い物方法です。

この立替金も、キャッシングやローンと同じくクレジットカード会社に負っている債務の一つですので、債務整理の対象として任意整理をとっていくことが可能です。
もちろん、ショッピング利用と併用してキャッシングを利用している場合においても同様です。

クレジットカード会社における任意整理の注意点

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • カードが使えなくなる
  • 他の決済に利用している場合、支払方法を変更する必要がある
  • 高額商品を購入した際には、商品を引きあげられる可能性がある
  • しばらくの間、自動引き落としが止まらない可能性がある

クレジットカード会社に対しても、任意整理手続ができることはわかりましたが、何か注意すべき点はあるのでしょうか。

クレジットカード特有の問題点があります。

クレジットカード会社における任意整理の代表的な注意点をまとめました。

カードが使えなくなる

当然、任意整理手続をすることにより、お持ちのクレジットカードは利用できなくなります(オンラインも同様です)。そして、カードの利用停止に伴い、クレジットカード会社や当該ショッピング施設のポイントも失効してしまう可能性があります。

他の決済に利用している場合、支払方法を変更する必要がある

キャッシュレス時代において、公共料金、携帯電話料金、会員利用料(スポーツクラブやヤフー等)等を、クレジットカードで支払っている方も多くなってきました。
これらを利用している場合には、任意整理をすることによりカードが利用できなくなってしまいますので、それぞれの支払先に対し、支払方法の変更(例えば、銀行口座からの直接引き落としやコンビニ払い等)を申し出る必要があります。

この申し出を怠たり、かつ、不払いが継続してしまうと、それらも利用停止となってしまう可能性が高くなってしまうので、注意が必要です。

高額商品を購入した際には、商品を引きあげられる可能性がある

クレジットカード会社の多くは、約款にて、クレジットカードを利用して商品を購入した場合、利用者が当該商品の立替金を完済するまでは、クレジットカード会社が当該商品の所有権を持っている状態としています。
クレジットカード会社に所有権があるということは、クレジットカード会社が当該商品を引きあげることも可能であることを意味します。

もっとも、例えばコンビニやスーパーで購入した食料や日用品を引きあげるといっても、現物がすでに消耗されている場合もありますし、引きあげにもコストがかかるので、クレジットカード会社の利益とならない引きあげまでは行われないことが多いです。

他方、ブランド品や家電製品などについて、引きあげ後に売却等で換金することが可能なものは、クレジットカード会社が引きあげようとしてくることもあります。

しばらくの間、自動引き落としが止まらない場合がある

弁護士などに任意整理を依頼すると、弁護士等が依頼を受けた債務の各債権者に対し、本人に督促等の連絡はせず、以後は代理人に連絡する様にと、通知を発送します。これにより、基本的には、各債権者は、本人に対する督促や請求を止めます。

しかし、クレジットカードの支払いにつき、銀行の自動引き落としを利用している場合には、クレジットカード会社及び銀行のシステムの関係で、すぐに引き落としを止めることができず、2~3か月程度、自動引き落としが続いてしまう可能性があります。

そこで、クレジットカードの支払いと給与等の支給口座が同じ場合には、クレジットカードの自動引き落としがかかる前に、当該通帳から預金を引き出しておく等の対応が必要となります。

まとめ

このページでは、クレジットカードの任意整理についてお伝えしてきました。
クレジットカードのショッピング利用分についても、任意整理手続をすることは可能です。
もっとも、いくつかの注意点があるので、それらについて対策が必要です。