自己破産すると結婚に影響するの?
ざっくりポイント
  • 自己破産しても基本的に結婚に影響はない
  • ローンが組めない等のデメリットはある
  • 隠していても発覚するおそれもある

目次

【Cross Talk】自己破産をすると結婚にデメリットがあるの?

3年ほど付き合っている彼女から、そろそろ将来のことを考えてほしいと言われています。ただ、私は過去に自己破産をしたことがあるのですが、そのことを彼女に伝えていません。自己破産をすると、結婚に何か影響はあるのでしょうか?

自己破産をしても結婚が制限されるわけではありませんので、結婚すること自体には支障はありません。
ただし、自己破産には一定期間ローンを組めないなどのデメリットがあるので、隠していても自己破産をしたことが発覚してしまうリスクはあります。ですから、基本的には結婚前に事情を説明し、よく話し合ったうえで結婚したほうがいいでしょう。

そうですか…やっぱり正直に話した方がいいんですね。

自己破産しても結婚はできるがリスクもある

「過去に自己破産をしたが結婚に影響するのか」「交際相手が過去に自己破産をしたことがわかったが、このまま結婚していいのか」といった悩みを抱えている方は少なくないでしょう。

自己破産という制度自体は広く知られているとしても、自己破産にどのようなリスクやデメリットがあるかについて正確な知識を持っている方はそれほど多くありません。
そのため、自己破産が結婚生活にどのような影響を与えるのか不安で、結婚を躊躇しているという方もいるかもしれません。
今回は、自己破産者との結婚のリスクやデメリットについて解説します。

自己破産は結婚に影響はないとの考えが一般的

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 自己破産は権利の行使であり悪いことではない
  • 自己破産を隠して結婚するのは信頼関係上問題がある

自己破産をしても結婚に支障がないというのは本当ですか?

自己破産をしたことで法律上結婚が制限されるようなことはありませんので、結婚することに支障はないと言っていいでしょう。
ただし、自己破産したことを隠して結婚したが、後日発覚してしまった場合、信頼関係を損なうことになりかねないので、結婚前に伝える方がいいでしょう。

自己破産は決して犯罪等ではない

自己破産をすれば、破産者が開始決定時に持っている財産は処分されますが、借金を返済する義務から解放されます。
悪い言い方をすれば、「借金を踏み倒す」ということになりそうですから、自己破産=悪いというイメージを持たれている方も少なくないでしょう。
しかし、自己破産は犯罪ではなく、債務者が経済的に更生するための権利の行使ですから、決して悪いことをしたわけではありません。
結婚と自己破産は、基本的に関係ないと考えるのが一般的です。

信頼関係上で黙っているのは問題も

自己破産は悪いことではないので、自己破産したことを結婚前に伝える法律上の義務があるとまではいえないと考えられます。
しかし、自己破産には、2.で解説するような結婚生活に影響のあるリスクやデメリットがあります。
そのため、自己破産をしたことを隠して結婚し、後日、それが発覚した場合、夫婦の信頼関係に傷をつける可能性があります。
ですから、基本的には結婚相手に自己破産したことを隠さず、真摯に伝えるべきといえます。

自己破産者との結婚のリスクやデメリットはある?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • クレジットカードやローンが利用できず、保証人にもなれない
  • パートナーには影響しない

自己破産しても結婚に影響はないということですが、まったくデメリットがないのですか?

自己破産すると一定期間新たな借入等ができなくなります。そのため、クレジットカードを作ったり、住宅ローンを組んだりすることはできません。また、誰かの保証人になることもできません。ただし、これらのデメリットは破産した方だけのものですから、パートナーには影響ありません。

クレジットカードや住宅ローンが使用できない

クレジットカード会社や貸金業者は、クレジットカードの作成や借入の申込みを受けた際、申込者の経済的な信用を確認して申込みを承諾するか否かを決めます。
そのため、法令に基づいて指定された個人信用情報機関が、個人の信用に関する情報を収集・管理し、加盟するクレジットカード会社や貸金業者に提供しています。

自己破産をすると、その情報が5~10年程度、個人信用情報機関に登録されてしまいます。
そのため、自己破産をした後に新たにクレジットカードの作成や住宅ローンなどの借入の申込みをしても、申込みを受けた業者が信用情報を確認することで過去に申込者が自己破産したことがわかってしまうので、審査が通らない可能性が高いでしょう。

保証人になれない

また、「クレジットカードや住宅ローンが使用できない」と同様、個人信用情報機関に自己破産をした記録が5~10年程度残ることから、その間に家族が自動車を買う際や賃貸物件に入居する際に、破産者が保証人になろうとしても、審査も通りづらくなるということが考えられます。

パートナーの名義に影響はない

個人信用情報機関は、個人ごとに信用情報を収集・管理しています。
そのため、自分が自己破産し、その情報が登録されたとしても、パートナー(配偶者)の信用情報には影響がありません。
したがって、パートナーがパートナー名義でクレジットカードの作成や借入れの申込みをした場合、パートナー自身の信用情報について通常の審査をされることになります。

自己破産を黙っていて配偶者に発覚する状況

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 自己破産をすると官報に掲載される
  • 身辺調査で発覚するケースも

結婚前に伝えるべきと言われましたが、できれば話したくありません…自己破産を隠していてバレてしまうのはどういった理由が考えられますか?

自己破産をすると官報に掲載されますので、過去の官報を検索することで発覚する可能性があります。また、ローンの審査が通らないことを不審に思われ、身辺調査をされて発覚するというケースもあるでしょう。

官報の記載によって発覚

官報とは、国が発行する新聞のようなもので、新しい法律や政令、国家資格の合格者の情報などが掲載されることになっています。
自己破産や個人再生をした場合にも、官報に氏名、住所等が掲載されることになっています。

官報は、直近30日分はインターネットで無料で閲覧できるほか、国立印刷局の官報情報検索サービスの有料会員になれば、インターネットで過去の情報を調べることができます。また、大規模な図書館では官報を保管しているところもあるので、図書館で官報を閲覧することも可能です。

したがって、自己破産したことを隠していても、官報の情報からパートナーに知られてしまう可能性があります。とはいえ、官報を読んでいる人やサービスの利用者は決して多くありません。日常的に官報をチェックしているのは、貸金業者や破産物件を扱う不動産業者等、業務に関係のある方ぐらいでしょう。

身辺調査から発覚

過去に自己破産したことをパートナーに伝えていなかった場合、結婚後に住宅ローンや自動車ローンなどの審査に全く通らない、あるいは(審査が通らないことがわかっているので)かたくなにローンで購入しようとしないという状況が続けば、パートナーに不信感を抱かれてしまう可能性があります。
そうなると、パートナーから興信所(探偵事務所)などに身辺調査をされてしまい、過去に自己破産をしたことが発覚してしまうおそれがあります。

まとめ

自己破産によるデメリットや、自己破産したことを隠していても発覚してしまうおそれがあることを考えると、自己破産したことをパートナーに伝え、しっかりとパートナーと話し合い、お互いが納得したうえで結婚の手続きを進めるようにしましょう。