債権者が任意整理に応じない場合の理由とその際の対処法を解説いたします!
ざっくりポイント
  • 任意整理とは裁判所を通さずに債権者と個別の交渉をすることをいう
  • 任意整理に応じるかは債権者次第なので応じない業者もある
  • 一度も返済していないなど債務者側の事情で応じてもらえないこともある

目次

【Cross Talk 】★冒頭クロストークタイトル

借金の返済が遅れがちで、業者からの督促が厳しくなってきました。任意整理をして少しでも返済額を減らせないかと考えているのですが、取立の厳しい業者も任意整理に応じてくれるのでしょうか?

任意整理は個別の交渉ですので、応じるかどうかは債権者の自由ということになります。債権者が貸金業者等である場合、任意整理に応じてくれることが多いですが、中には任意整理には応じない業者もあります。また、一度も返済していないなど、状況が悪い場合も交渉に応じてもらえない可能性があります。

応じてもらないこともあるんですね…どうしたらいいでしょうか。

債権者には任意整理に応じる義務がある?

任意整理は自己破産や個人再生などと比べると簡易な手続で心理的な抵抗も少ないため、債務整理を検討する場合、まずは任意整理できないかと考える方が多いようです。
しかし、任意整理はあくまで話し合いですから、任意整理を検討する際は、債権者が任意整理に応じてくれるかどうかを考慮する必要があります。
今回は、債権者が任意整理に応じない場合があるのか、あるとすればどのように対応すればいいのかについて解説いたします。

任意整理とは

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 任意整理は裁判所を介さない債権者との個別の交渉
  • 任意整理には財産を手放す必要がない、官報に載らない等のメリットがあるが債権者が応じてくれないおそれも

任意整理は自己破産とどう違うのですか?

任意整理は自己破産のような裁判所の手続ではなく、各債権者と個別に交渉して金利や債務額、毎月の返済額等を見直す手続です。裁判所を介さないので柔軟な解決ができますが、あくまで交渉ですので、債権者が交渉に応じるとは限らないというデメリットがあります。

任意整理とは

任意整理とは、債務者が債権者と個別に交渉して、利息のカットや毎月の返済額の減額など、返済条件を改める手続をいいます。

他の債務整理方法との違い

債務整理の方法には、任意整理以外に自己破産や個人再生という手続があります。
自己破産や個人再生手続は、裁判所の手続きであるため、要件や方式が法律によって厳格に定められています。
これに対し、任意整理には特別な法律上の制限等はありませんので、柔軟な解決が可能になります。
不動産や自動車など価値のある財産を残すことができますし、どの債務を任意整理の対象にするか選ぶことも可能です。
また、任意整理をしても官報に載ることはないので、債権者以外に任意整理をしたことを知られるおそれはありません。
このように、任意整理には他の債務整理にはないメリットがいろいろあります。

ただし、任意整理には他の債務整理にはないデメリットもあります。
自己破産や個人再生では債務の免除や大幅な減額を得ることができますが、任意整理の場合、自己破産や個人再生ほど大きな効果は期待できません。
また、自己破産や個人再生は裁判所の決定であり最終的には債権者も従うしかないのですが、任意整理はあくまで交渉にすぎないため、債権者が交渉に応じるとは限りません(債権者には任意整理に応じる義務はありません)。
ですから、任意整理は必ずうまくいくとまではいえないのです。

債権者が任意整理に応じない場合と対応方法

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 貸金業者ではない債権者は応じてくれない可能性がある
  • 貸金業者でも任意整理には応じない会社もある

任意整理に応じてくれないのはどんな場合が考えられますか?

まず、債権者が貸金業者ではない場合が考えられます。貸金業者の多くは任意整理に応じてくれますが、中には任意整理に応じない会社もあるので注意が必要です。また、通常は任意整理に応じてくれる業者であっても、一度も返済していないなど状況が悪いと任意整理に応じてくれない可能性があります。

相手が貸金業者ではない

債権者が貸金業者である場合、任意整理に応じてくれるのが一般的です。
貸金業者は、大勢の債務者に貸付けをしており、一部の債務者が返済をできなくなるリスクは当然想定したうえで事業を継続しています。
債権者が任意整理を拒んだ場合、債務者が自己破産や個人再生をする可能性があり、そうなると債務が免除または大幅に減額されてしまいます。
「自己破産や個人再生をされるぐらいなら、任意整理で多少譲歩してでも返済を続けてもらう方がまし」ということで、多くの貸金業者が任意整理に応じてくれるのです。

これに対し、債権者が個人や勤務先の会社等、貸金業者ではない場合、債権者は貸金業者のように厳格な審査のうえに事業として貸付けをするのではなく、債務者との人的関係に基づいて貸付けをする場合が多いでしょう。
そうなると、貸金業者のように冷静な損得勘定だけで任意整理への対応を決めるとは限りません。任意整理を申し出ると、債務者に裏切られた、だまされたと感じて立腹し、約定通りの返済を強硬に求められることも珍しくないのです。
また、債権者が貸金業者でない場合、貸金業法の規制が及ばないため、弁護士が任意整理等の依頼を受けた旨の通知(受任通知)を送付しても、債務者への直接の取立てを止めることができません。
このようにみると、貸金業者ではない債権者に対し任意整理を申し出るかどうかは、債権者と債務者との関係性や債権者の性格などを考慮して、個別に判断することになるでしょう。

それ以外にも、債権者が国や自治体である場合、つまり税金の場合は、任意整理には応じてもらえません。
税金は法律に基づいて公平に課されるべきもので、たとえ自己破産をしても免除されるものではありません。
そのため、任意整理で税金の減額等を申し入れても応じてもらうことはできないのです。

なお、債権者が貸金業者ではないと言っても、いわゆる闇金の場合は対応が異なります。
闇金は貸金業登録を受けていないので、形式的には貸金業者にはあたりません。
しかし、闇金は通常、法律で認められた上限をはるかに上回る高利で貸し付けをしているので、闇金との契約は不法原因給付に該当して無効になり(民法708条)、利息だけではなく元本も返済する必要はないとされています。

任意整理に非協力的な会社

多くの貸金業者は任意整理に応じてくれますが、例外的に任意整理に非協力的な会社もあります。
そういった貸金業者の場合、債務整理の通知をすると裁判を起こして債務全額の返済を請求し、分割返済に応じないことがあるのです。
そうなると、他の債権者が任意整理に応じてくれたとしても、結局は自己破産等をせざるをえなくなることもありえます。
そのような事態を防ぐには、任意整理に応じてくれる貸金業者かを事前に確認をし、応じてくれそうにない貸金業者に対しては、任意整理を持ち掛けず従前どおりの返済を続けていく必要があります。
このような貸金業者の見分けは専門的な知識、経験がないとできませんので、債務整理に注力している弁護士に依頼をすることが望ましいといえます。

状況が悪い

通常は任意整理に応じてくれる貸金業者が債権者である場合でも、債務者側の対応によって状況が悪化しているときは、任意整理に応じてもらえないことがあります。

例えば、借入をしてから一度も返済をしていない(数回しか返済していない)場合が考えられます。
一度も返済をしていない場合、債務者は最初から約束通りに返すつもりがなかったのではないかと疑われてしまいます。そのような債務者が任意整理を申し入れても本当に返済するつもりがあるのかと疑われてしまうでしょう。また、貸金業者は債務者から利息を払ってもらうことで利益が出るわけですから、一度も返済を受けないまま減額等に応じると、全く利益が出ないことになってしまいます。
そのため、一度も返済をしていない場合は任意整理に応じてもらえない可能性があるのです。

また、何年も放置して遅延損害金がたくさんたまっているという場合が考えられます。
このような場合も本当に返済するつもりがあるのか疑わしいと思われるでしょうし、仮に返済するつもりがあるとしても、債務総額が大きく膨らんでいるため分割返済では完済までの期間が長くなりすぎてしまいます。そのため、任意整理に応じてもらえない可能性があるのです。

また、債権者に裁判を起こされて判決を取られている、などという場合も任意整理に応じてもらえない可能性があります。
債権者はすでに裁判をするコストをかけており、判決を得て債務者の財産の差押が可能な状態になっているわけですから、債権者には任意整理に応じるメリットが乏しくなっているからです。

もっとも、これらの場合でも、遅延損害金の一部を認めたり、利息の一部を認めたりすることで、和解できる場合がないわけではありません。
状況が悪化している場合に個人で対応するのはほぼ不可能ですから、これらの場合は早急に弁護士に判断を依頼することをおすすめいたします。

まとめ

任意整理に応じてくれない場合とその際の対処法について解説しました。
任意整理に応じてくれない場合に該当するおそれのある方は、早急に債務整理に詳しい弁護士にご相談するといいでしょう。

この記事の監修者

弁護士 境野 秀昭
弁護士 境野 秀昭第二東京弁護士会
最適な法的サービスを目指し、ご依頼者様の声に真摯に耳を傾け、誠実に職務に取り組みます。