ビットコインに代表される仮想通貨で借金地獄に?債務整理・自己破産はできるのか
ざっくりポイント
  • 仮想通貨によって大きな損失を出す人が急増中
  • 仮想通貨によって借金を負った場合にも債務整理・自己破産はできる
  • 免責不許可事由に該当するが、裁量免責によって自己破産はできる

目次

【Cross Talk】今話題の仮想通貨!これで大損失に陥る人も

実は、前から気になっていた仮想通貨への投資をして、最初は爆発的に資産が増えたので、ついついのめり込んでしまっているうちに、価格が大暴落してしまい大きな損失を抱えて借金だけが残っています。
このような場合に債務整理・自己破産はできるのでしょうか。

債務整理のいずれの手続きも利用できます。
自己破産する場合には少し注意が必要ですので弁護士に相談をしてみてください。

仮想通貨で作った借金も債務整理は可能

ブロックチェーン技術とともに発展してきた仮想通貨は、取引所での取引を通じてFXや株式のように多額の投資ができるようになっています。
これによって大きな利益を得る人もいる中、当然投資ですので損失を抱える人もいます。

その結果借金の返済ができなくなった場合には債務整理を考える事になります。
債務整理の利用を制限するものではないのですが、自己破産の免責不許可事由に該当するため自己破産手続きの利用にあたっては注意が必要です。

仮想通貨で陥りがちな借金地獄

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 仮想通貨で借金地獄に陥る人が急増中

そもそも仮想通貨で返済ができなくなるような借金をする人なんかほぼいないですよね。

借金の理由としては少数派ではあるものの、昨今非常に増えています。
同じ悩みを抱えているのはあなただけではない、という事を知ってください。

ブロックチェーンと呼ばれる技術の発達によって、ビットコインに代表される仮想通貨(暗号通貨)の利用が拡大しています。
この仮想通貨ですが本来は決済手段として、各国が発行する通貨としての役割を果たすものではあるのですが、FXに代表されるような投資の対象として用いられるようになってきました。

仮想通貨については、ブームの時期にその資産が何倍にもなった方が多発したこともあって、報道などでも大々的に取り上げられた結果、投資に参入する人が増えました。

とはいってもFXのような流通をしているわけではなく、取引の参加者は限られています。
そのため、例えばハッキング被害によってある会社が保有している仮想通貨がすべて消失した、というようなニュースが流れたときには、一斉に保有している仮想通貨を売る動きが形成され、大きな価格変動が生じることがあります。

そのため、想定できないような多額の利益を得ることができる反面・損失を負うようなことも考えられます。
その結果、追証(おいしょう)と呼ばれる負債を抱える可能性があり、その支払いができなくなったり、その支払いのために借金をして、これが返済不能となるような事が多発しています。

仮想通貨で借金地獄に陥った場合は債務整理を!

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 仮想通貨で借金地獄になった場合には債務整理で生活を立て直そう

では実際に仮想通貨で借金地獄になったような場合には債務整理は利用できるのでしょうか。

はい、利用できます。

では、仮想通貨への投資の失敗によって多額の借金を作ったような場合でも債務整理を利用することはできるのでしょうか。
債務整理には、任意整理・自己破産・個人再生といった個別の手続きがありますが、結論としてはどの手続きも利用をすることができます。

どの債務整理手続きを利用すべきかについては、負債の金額・収支の状況・職業・不動産の有無、といった事項を総合的に考慮して決定します。
それぞれの手続きの詳細については、「借金が返済できない!どうにかしたい!借金(債務)整理の手続4種類の特徴を教えて!」のページをご参考にしてください。

仮想通貨での借金は自己破産できない?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 投資の失敗による借金は免責不許可事由に該当する可能性がある。
  • 免責不許可事由がある場合でも裁量免責によって免責されることがある。
  • 現実には免責不許可事由がある場合でも手続きへの協力・真摯な反省により免責の可能性あり。

自己破産をする場合には免責をもらえない場合があると聞いたのですが

投資の失敗は確かに免責不許可事由になりますね。
しかし、裁判所の裁量で免責できる裁量免責という制度があり、実務的には免責不許可事由がある場合でも免責がされる可能性がある。

自己破産は本来支払うべき債務を、裁判所の決定によって一方的に免責してもらえるものです。
そのような効果を得られるものですが、病気によって働けなくなった収入を補うための借金と、投資の失敗・ギャンブル・キャバクラや風俗にハマった…といったものを同じように扱うのは、債権者の立場になった場合には納得がいかないといえますね。

そのため、このような自業自得といえるような場合を含めて、自己破産手続きを規定している破産法において「免責不許可事由」というものを置いており、仮想通貨への投資の失敗による借金は、株式・FXなどと同じく免責不許可事由にあたります。

ただし、免責不許可事由にあたると全く免責されないというのは過酷すぎます。
ですので、裁判所が免責をしても良いのではないか?と考えられる事例については、裁判所の裁量で免責を認める裁量免責という制度があります。
そして、現実には免責不許可事由にあたるようなケースでも、自己破産手続きの進行に協力をして、真摯にこのような事態を招いたことを反省している場合、裁量免責が認めらる可能性があうのが現在の自己破産についての実務上の処理になります。

ここで注意が必要なのが、自己破産手続きには簡易に手続きを終わらせることができる同時廃止という手続きと、裁判所から管財人が選任される正式な手続きである管財手続きの2種類があるのですが、免責不許可事由がある場合には、真摯な反省や更生の余地を検討するために管財人が選任される管財の手続きが選択されます。

そのため、弁護士費用が同時廃止の場合に比べてやや高く、また申立をするときに管財人の報酬に相当する引き継ぎ予納金という金銭の支払い(東京地方裁判所に申し立てをする場合には20万円)が必要になります。
当然ですが、今すぐこのような金額を用意できることは稀なので、自己破産を弁護士に依頼している間に貯めていくことになります。

まとめ

このページでは仮想通貨で損失を出した場合の債務整理についてお伝えしてきました。
仮想通貨への投資は昨今非常に増えているのですが、株やFXに比べて価格の変動が非常に激しいという特徴があり、あっというまに大きな損失になっていることが珍しくありません。
ある種自業自得的な要素のある仮想通貨への投資失敗による借金ですが、債務整理を利用すること自体は禁止されていません。
ただし自己破産の場合には管財手続きで裁量免責をもらうことが必要なので、弁護士に相談するようにしてください。