借金の返済に困っていよいよ支払期日を過ぎてしまった!こんな場合にも任意整理ができるのでしょうか?
ざっくりポイント
  • 借金の返済が遅れていても任意整理できる
  • ただ、長期延滞が続いてしまうと、リスクやデメリットが発生する
  • 5年を超すような長期延滞の場合には、時効を使える可能性がある

目次

【Cross Talk】借金の返済が遅れてしまった!任意整理できますか!?

借金の返済が遅れてしまいました…。ただ、現状の返済額を継続的に支払っていくことは難しく…でも自己破産もしたくないのです。何か方法はありませんか?

借金の整理の中に、弁護士等が債権者と交渉し毎月の返済を無理のないものにする任意整理という手続があります。

返済が遅れてしまったのですが、それでもできますか?

返済が遅れていても任意整理できないというわけではありません。

借金の返済が遅れていても任意整理はできる?

借金の返済が遅れていても任意整理できないというわけではありません。もっとも、長期延滞が続いている場合、注意しなければならない点が増えます。

借金の返済が遅れていても任意整理できる

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金の返済が遅れていても任意整理できる
  • 任意整理とは、債権者と債務者双方が納得のいく形で合意し直すことが目的

借金の返済が遅れていたら任意整理できないのでしょうか?

借金の返済が遅れていても任意整理できないというわけではありません。任意整理とは、弁護士等が債権者と交渉し毎月の返済を無理のないものにする手続を指し、具体的なゴールは、債権者と債務者双方が納得のいく形で支払額や支払方法を改めて合意し直すことです。

任意整理というのは、弁護士等が債権者と交渉し毎月の返済を無理のないものにする手続です。この手続の特徴は、借金の整理の中で、裁判所の手続を経ず、弁護士等が直接債権者と交渉していくことです。
そして任意整理のゴールは、債権者と債務者双方が納得のいく形で支払額や支払方法を改めて合意し直すことなので、返済が遅れているという事実をもって任意整理自体ができなくなるわけではありません。

ただ、次の項目で説明する様に、返済が遅れている場合には、リスクやデメリットが発生しますので、注意が必要です。
任意整理で、債権者が許容してくれる支払計画の目安は、和解時債務総額を36か月で支払っていく計画といわれています。債権者によっては、和解時債務総額について、すでに発生している利息や遅延損害金を含めない債権者もいれば、含める債権者もいますし、将来発生する利息をも含める債権者もいます。
また、支払回数について、厳密に36回でないと許容しない債権者もいれば、48か月や60か月まで許容してくれる債権者もいます。つまり、債権者によって、任意整理で大きなメリットが発生する場合もあれば、そうでない場合もあります。

たとえば

任意整理前 借入総額 月の返済額
A社 120万円 6万円
B社 60万円 2万円
C社 30万円 1万円
債務総額 190万円 9万円

3社合計190万円の借り入れをしている場合には、3社で合計9万、円を支払っていた方が、任意整理をすることによって

任意整理後 借入総額 月の返済額
A社 120万円 2万円
(60か月払い)
B社 60万円 1万3000円
(48か月払い)
C社 30万円 9000円
(36か月払い)
債務総額 190万円 4万2000円

3社合計で毎月4万2000円の支払いとなり、毎月の返済額を軽くさせられる可能性もあります。

他方、債権者によっては、たとえば

任意整理前 借入総額 月の返済額
D社 120万円 3万円
E社 60万円 2万円
F社 30万円 1万円
債務総額 190万円 6万円

3社合計190万円の借り入れをしている場合には、3社で合計6万円を支払っていた方が、任意整理をすることによって

任意整理後 借入総額 月の返済額
D社 120万円 3万4000円
(36か月払い)
E社 60万円 1万7000円
(36か月払い)
F社 30万円 9000円
(36か月払い)
債務総額 190万円 6万円

3社合計で毎月6万円の支払いが必要となり、毎月の返済額が変わらない可能性もあります。もっとも、業者によっては将来発生する利息をカットしてくれることがあります。この場合で、毎月の返済額が変わらなくても、返済総額としては大きく減る可能性がありますので、任意整理手続きをするメリットは大きいでしょう。

借金の返済が遅れることによる影響は?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金の返済が遅れた場合、リスクやデメリットが発生する。

では借金の返済が遅れると任意整理にどのような影響が出るのでしょうか。

借金の返済が遅れると、以下のようなリスクやデメリットが発生します。

遅延損害金が発生する

遅延損害金とは、返済が遅れた場合に発生するペナルティで、当初の契約に定められています。債務総額や遅延損害金の割合が高い場合、遅延損害金も相当の金額になってしまいます。そして、前記のとおり、債権者によっては、和解時債務総額に遅延損害金を含めなければ和解してくれない債権者もいるので、その場合、債務総額が増え、結果的に月の支払額または支払回数を増やさなければならなくなります。

提訴される可能性が高くなる

当初の契約で定められた返済(猶予)を怠った場合、債務者は期限の利益(分割で支払う利益)を失い、債権者としては、一括で支払えという請求ができます。訴訟をしないで請求することもありますが、債権者は裁判所に訴えを提起(提訴)することもできます。そして、延滞が続けば続くほど、債権者はしびれを切らしてしまうので、提訴される可能性が高くなります。提訴されることによって、当然裁判所に出向かなければならない等のデメリットは発生しますが、それだけではなく、1.債権者が通常の任意整理より悪い条件でしか和解に応じなくなるなど、2.和解できず判決をとられそれが確定した場合、給与を差し押さえられることもあります。

信用の低下

延滞が頻発や、、継続した場合、債権者の当該債務者に対する信用は低下します。それによって、仮に弁護士が入ったとしても、任意整理できない場合があります。

長期延滞と時効との関係

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 5年以上返済していない場合、時効を使えるか検討すべき
  • もっとも、時効が使えない場合もある

実は、最後の返済から5年以上返済をせずにいるのです。その場合でも、任意整理などで借金を返済していかなければならないですよね?

最後の返済から5年を超えて返済していないのであれば、時効が使えるかの検討もすべきでしょう。

通常の貸金業者や銀行等から借入をした場合、5年以上もの間、債務者がその返済をせず、かつ、債権者がその請求などをしなかった場合には、消滅時効を使える可能性があります。
もっとも、債務者が気付かないだけで、債権者が実は提訴した上で判決をとっている(かつ、判決確定から10年経過していない)場合には、消滅時効は使えません。また、債務者が債権者に対し、返済を待ってくれ、必ず払うから等言っている場合には、消滅時効が使えなくなる可能性が高くなります。
仮に消滅時効が使えた場合には、借金の返済をしなくてもよくなります。他方、消滅時効が使えなかった場合には、任意整理等、借金を整理していく必要があります。

まとめ

借金の返済が遅れたからといって、直ちに任意整理ができなくなるわけではありません。ただ、借金の返済が遅れた場合に、いくつかリスクやデメリットが発生するので注意が必要です。また、最後の返済から5年を超えて返済していない場合には、消滅時効が使えるかの検討もすべきでしょう。
とは言っても、まずは、法律の専門家である弁護士に、任意整理できるのか、延滞がどの程度影響するのか、時効が使えるのか等、どのような手続が最も適切なのか相談してみることをお勧めします。