
- 任意整理にも費用がかかる
- その主なものは弁護士費用
- 弁護士費用をかけてもなお任意整理するメリットはある
【Cross Talk】お金がなくて任意整理をするのに、任意整理自体に費用がかかる!?
お金がなくて任意整理をするのですが弁護士費用がかかるなら依頼できないです…。
無理なく支払うことができるようなシステムができあがっていますので、どのような費用がかかっているかを知ったうえで、安心して依頼してください。
任意整理をする際には、弁護士に依頼するための費用がかかります。
お金がない状況で弁護士に依頼するので費用が気になるのですが、無理なく支払いができるようになっています。
安くするコツや無理なく支払いができるシステムなどについて確認しましょう。
そもそも任意整理とは

- 任意整理とは裁判所の手続きをとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法
- 弁護士に依頼して行う
まず、任意整理がどのようなものか正確に知っておきたいです。
任意整理は弁護士に依頼をして、裁判所を通した手続きをとらず、依頼をした弁護士が直接債権者と交渉して借金を減額させる方法です。
まず、任意整理とはどのようなものなのかを知っておきましょう。
任意整理とは裁判所を通した手続きをとらず、弁護士が直接債権者と交渉して借金を減額させる方法のことを言い、自己破産・個人再生と並んで債務整理方法の中の一つの手段です。
自己破産・個人再生は全ての債権者を対象に裁判所に申立てを行う手続きなのですが、任意整理は債権者と個別に話し合いをする手続きであるという特徴があります。
話し合いであれば弁護士を通さなくてもできるのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、法律上は確かに弁護士を利用しなくてもできるものですが、弁護士に依頼をすると一旦支払いを止めることができ、督促を受けることがなくなるというメリットがあります。
また、貸金業者も弁護士ではない一般人からの交渉にあたっては様々な条件をつけてくるので、有利な交渉結果を得られないことがあります。
そのため、弁護士に依頼するほうが良いでしょう。
関連記事:任意整理とは?~任意整理の手続やメリット・デメリットを解説!~
任意整理の内訳の相場について解説

- 任意整理の費用については弁護士会から上限を定められている
任意整理を弁護士に依頼するといくらと決まっているのですか?
法律などによりいくらで依頼をするという決まりはなく、弁護士費用は自由化されています。ただ債務整理については上限が決められています。
任意整理を弁護士に依頼する場合にはどのような費用がかかるのでしょうか。
一つ一つの名目について見てみましょう
相談料
債務整理の依頼についてはいきなり依頼をするようなことはなく、まずは弁護士などの国家資格を持っている人に相談しましょう。
相談の際には相談料がかかる場合が多いです。
通常は30分5,000円程度が相場となり、債務整理については個人では少なくとも1時間、長い人では2時間程度の相談が必要な場合があります。
つまり、10,000円~20,000円程度は1回の相談に必要であるといえるでしょう。
このように記載すると「そもそもその10,000円が支払えるのであれば相談なんかしない…」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、債務整理事件を多く処理している弁護士であれば当然にその状況を知っていますので、そのような弁護士は債務整理の相談料を無料としていることが多いです。
ですので、相談料を無料としている弁護士は、債務整理の相談に来られる方の事情をより理解しているとも考えられます。
着手金
弁護士は依頼者から依頼を受けて案件に着手した段階で依頼者から費用を受け取ることがあり、この費用のことを着手金と呼んでいます。
この着手金については弁護士会で上限を設けており、債権者1社につき5万円(税別)が上限となっております。
この5万円は1社あたりですので、任意整理をする対象が3社ある場合には15万円となります。
弁護士費用、特に着手金は、弁護士が業務を開始するための費用であり、基本的には一括で支払いをする必要がありますが、その場合必要な費用を支払うことができず、債務整理を依頼することができなくなってしまう債務者も多くいます。
そのため、着手金は基本的には一括払いが原則であるものの、一般的には、依頼後分割で支払いをすれば良いということにして、ひとまず依頼を受け、債権者との交渉を始める弁護士が多いといえます。
解決報酬金
任意整理で相手方と交渉がまとまると定額で支払うお金が解決報酬金です。
解決報酬金についても弁護士会で上限を設けており、1件あたり2万円(税別)とされています。
こちらも1件あたりの金額ですので、複数の会社との任意整理を行い場合、その件数分が加算されます。
成功報酬
任意整理で案件を解決した際に、借金が減額することがあります。
その減額をした分に対しては成功報酬というお金がかかります。
こちらも弁護士会で上限が規定されており、減額に成功した金額×10%(税別)以下とされています。
つまり、50万円の債務が交渉の結果30万円に減額した場合には、20万円×10%=2万円の報酬の支払いが必要になります。
訴訟対応
任意整理をするにあたって貸金業者から訴えられる可能性がないわけではありません。
そのような場合には弁護士は訴訟に対応する必要があります。
具体的には、弁護士は、裁判に提出する答弁書や準備書面を作成・提出し、裁判の期日に裁判所に出頭する対応を行います。
ただ、多くの場合では裁判に勝って借金を無くしてもらう…というのは困難ですので、実際には貸金業者と合意ができるように裁判手続上または裁判手続外で、貸金業者と交渉することになります。
その費用は弁護士によって異なるため依頼する弁護士に確認する必要があります。
各種実費
通常の弁護士業務では、本人との郵送でのやりとりにかかった切手代、コピーにかかった印刷のための費用、といったものを本人に最後に請求しています。
費用が安いという理由で任意整理を依頼しても大丈夫?
債務整理についてはたくさんの弁護士や、同じく債務整理ができる司法書士も依頼を受けています。
いくつかの事務所を比べると、費用が安いようなこともあるのですが、費用が安いという理由で任意整理を依頼しても良いのでしょうか?
まず、一般的に司法書士のほうが、任意整理を含む債務整理を割安で行ってくれることがあります。
ただし、司法書士は債務整理については権限が限られているので、一概に比較できないため注意が必要です。
また、同じ弁護士でも費用が安いような場合には、債務整理を取り扱っている事務所間の価格競争をするために割安にしている場合や、そもそも経験が少ないため割安にして依頼してもらいやすくしている場合があります。
経験や実績が少ないような弁護士に依頼してしまうと、長期の分割をする交渉力がなかったり、任意整理が難しいイレギュラーな場合に柔軟に対応できないなどの問題を生じることがあります。
費用が安いというだけで弁護士・司法書士を選んでしまい、不利益にならないように、きちんとした任意整理・債務整理の実績があるかを確認して依頼しましょう。
自己破産や個人再生をする場合の費用の相場
自己破産や個人再生をする場合の弁護士費用の相場としては、
- 相談料:0円
- 着手金:30万円~50万円(税別)
- 成功報酬:30万円~50万円(税別)
- その他:4万円程度(通信費・実費など)
程度が相場です。
着手金とは別に成功報酬を受け取る事務所もあれば(東京新宿法律事務所は着手金のみ)、着手金は安くても成功報酬が高いなどがあるので、トータルの金額で検討するようにしましょう。
東京新宿法律事務所の報酬については、『借金問題に関する費用|東京新宿法律事務所』で確認してください。

- 弁護士に任意整理を依頼したほうが完済しやすい
そんなに費用がかかるのであれば、そもそも依頼ができないです…。頑張って支払いをつづけるしかないと思っています。
結局は弁護士に依頼するほうが安く済むのが通常です!まずは相談してみてください。
任意整理を弁護士に依頼するのにもかなりの費用がかかるとなると、依頼をする意味はあるのかという疑問を持ってしまうか方もいらっしゃるでしょう。
実際に依頼するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
返済を止めることができる
任意整理を弁護士に依頼をすると、一時的に返済を止めることができるようになっています。
これは、交渉のために債務がいくらなのかを確定させるために必要なものであり、その間は法律上では延滞をしているという状態ですが、この間の延滞について発生した遅延損害金は請求からカットされることもあります。
なお、この返済を止めている期間に、従来返済していた額を弁護士費用として分割して入金することで、無理なく弁護士に依頼することができるように着手金の支払い方法を設定している弁護士も多くいます。
請求は弁護士が引き受けてくれる
延滞をするとやはり督促を受けるのが普通なのですが、弁護士に任意整理を依頼している間は原則として貸金業者が債務者に請求をすることはなく、貸金業者は弁護士に対して連絡をするのみになります。
これにより、貸金業者からの過剰な取り立てから解放され、精神的に落ち着いて返済に向けた体制をとることができます。
返済額も大幅に圧縮する
当然ですが任意整理によって返済が必要となる額も圧縮されます。
現在返済が滞って遅延損害金が発生している場合には、遅延損害金の請求がされなくなるというだけでも大幅に違ってきます。
また、任意整理では貸金業者と話し合い、返済総額を一定額(一般的には元金+既に発生している延滞利息または遅延損害金)に確定し、その金額について将来の利息をつけない形での分割返済という条件で合意することがほとんどです。つまり、依頼者が従来通り利息を付けて自分で返済していくよりも、最終的な返済総額を大幅に減らすことができます。
また、一般的に3年間から5年間程度の長期間の返済という条件で合意することがほとんどですので、毎月の返済額を従来より減らすことができるのが通常です。
すなわち、返済に向けて体制を立て直す心の余裕が生まれ、返済総額及び毎月の返済額を減らして確実に完済に向かうことができるのが任意整理なのです。
分割払いでの依頼や弁護士以外に依頼する場合について解説

- 弁護士費用は分割払いができて無理なく支払える
- 法テラスに依頼をすると安くなる
- 司法書士は一般的には安いとされるが権限に制限がある
弁護士への支払いは分割払いができるんですね。そのほかにも安くしたり司法書士に依頼したほうが安くなったりということはありませんか?
弁護士への支払いは分割払いにできます。法テラスへの依頼で弁護士費用が下がる可能性はあります。司法書士は一般的には安いとされますが、実際には弁護士と変わらない費用となっていることもあるので注意しましょう。
弁護士費用の支払いについて、分割払いや法テラス・司法書士に依頼することを検討しましょう。
分割払い
上述しましたが弁護士費用は分割払いができます。
いったん弁護士に依頼してしまうと、返済を止めることができるので、その分を弁護士費用の支払いに当てます。
つまり、毎月5万円の返済をしていた場合、返済をストップして弁護士費用の支払いに当てることができ、無理なく支払いができるようになっています。
返済を止めても、弁護士に依頼したあとは、督促ができなくなっているので安心してください。
法テラス
法テラスの弁護士に相談をすれば、相談料は無料ですし、依頼をして弁護士費用について民事扶助を受けられれば、弁護士費用の総額自体も非常に安くなり、毎月5,000円~程度の支払いでよくなることもあります。
ただし、相談にのってくれる弁護士が債務整理に詳しくない・そもそも債務整理の依頼を受けていない、という可能性もあります。
債務整理を成功させるためには、債務整理をたくさん取り扱っている弁護士に依頼をするのが良いでしょう。
司法書士
債務整理は司法書士も行っています。
しかし、司法書士は、任意整理については140万円以下のものしか受けられず、自己破産・個人再生については書類作成しかできず、債務整理の権限に一定の制限があります。
また、一般には司法書士のほうが費用が安いとされていますが、実際に比べてみると弁護士と変わりない費用がかかる場合もあります。
司法書士に依頼をする場合には、費用が本当に安いのか?制限がかかる額ではないか、といった観点から相談・依頼することが必要です。
自分で手続きをする
債務整理の手続きを自分で行なうことも法律上は可能です。
しかし、自分で手続きを行なうと、
- 貸金業者の督促が止まらない
- 正しい債務整理の手続きの選択が難しい
- 貸金業者が誠実に交渉などに応じないことがある
というデメリットがあります。
まず、債務整理をすると貸金業者の督促がストップするのは、貸金業法において弁護士に依頼すると本人への取り立て行為を止めなければならないという規定があるからです(貸金業法21条1項9号)。
弁護士に依頼せずに自分で手続きをする場合には、貸金業者は取り立てを止めなければならない理由がないので、手続きをする期間中通知・電話での督促を受け続けることになります。
また、債務整理には任意整理・自己破産・個人再生といった方法があるのですが、どの手続きが適しているかは、本人の借入状況・返済能力によります。
自己破産や個人再生は嫌だからという理由だけで任意整理を自分で貸金業者と行い、和解後の金額が払えず結局自己破産をしなければならないことになりかねません。
さらに、貸金業者は弁護士からの請求に対しては基本的にはマニュアル的に処理をすることになっていて、利息や遅延損害金のカットに応じてもらえます。
しかし、個人からの請求については、窓口が違うこともあり、弁護士から任意整理の交渉をするような対応をしてくれない場合もあります。
そして、正しい情報がないため、貸金業者の主張があっているかどうか判断できず、不利益な任意整理をしてしまうことがあります。
自分で任意整理・債務整理を行なうのはリスクがあるため、おすすめできません。
任意整理の費用の支払い時期

- 任意整理についての費用を払うとき
- 相談時・依頼時・和解後の費用の支払いのタイミングを確認
任意整理の費用はいつ支払うのですか?
任意整理の費用の支払いのタイミングを確認しましょう。
任意整理の弁護士費用はいつ支払うのでしょうか?
相談料がかかる場合
相談料がかかる場合には、相談時に前もって支払うか、相談後に支払います。
30分5,000円という相談料の設定をしている場合には、相談がどのくらいかかるかによって費用が異なるので、相談後に支払うことになります。
着手金
着手金は、弁護士に依頼する時に支払います。
多くの事務所で着手金は分割での支払いにしており、分割での支払いについては契約時に取り決めます。
分割での支払いにする場合に、依頼時にどの程度の支払いが必要かは、事務所によって異なるので、法律相談の予約をする際に、依頼をする場合にはいくら支払わなければならないか、確認するのも良いかもしれません。
なお、通信費や事務費用などが発生する場合には、着手金の分割支払いと一緒に請求する場合と成功報酬と一緒にあとから請求する場合があり、こちらも事務所によるので、相談の際に確認するようにしましょう。
成功報酬
成功報酬は、弁護士が貸金業者と任意整理の交渉を取りまとめたときに支払うことになります。
任意整理が始まると毎月の返済が始まるので、一括で成功報酬を納めるのが難しい場合には、成功報酬も分割して支払うことを認めてくれることもあります。
まとめ
このページでは任意整理の費用についてお伝えしてきました。
借金返済に困っている局面なのに費用がかかるのが任意整理ですが、弁護士も依頼しやすいように相談無料、分割での弁護士費用の入金を認めていたりします。
当然ですが、返済額が減額する効果もあるので、お悩みの方は是非相談することをおすすめします。