
- 奨学金の返済ができなくて困っている方が急増中、あなただけではありません。
- 減額返還制度や返済期間の猶予など奨学金固有の返済を楽にする制度がある
- 親が連帯保証人になっている場合が多い、利息が高いわけではないので債務整理では注意
【Cross Talk】奨学金の返済が難しくなっている場合の債務整理には注意が必要
家があまり裕福というわけではないので、大学進学にあたって奨学金を利用したのですが、ちょっと返済が難しくなってしまいました。債務整理を考えているのですが、奨学金でも債務整理はできるのでしょうか。
債務整理自体はできますが、連帯保証人がついている点と、消費者金融や銀行などの貸金業者のような処理をしてもらえるわけではない点には注意が必要です。
債務整理というと、消費者金融や銀行などの貸金業者に対する借金を思い浮かべる方も多いと思うのですが、返済ができなくなった債務は奨学金も同様に債務整理の対象となります。
ただ、奨学金は貸金業者のように画一的な対応をしてくれない場合がある点や、そもそも奨学金の借入については連帯保証人がついているので、債務整理をする場合でも注意が必要です。
あなただけじゃない!奨学金を返済できない方が急増中

- 奨学金の返済ができない!という悩みをお持ちの方はあなただけではない
奨学金の返済ができない…なんていうのは本当に恥ずかしい話ですよね。
いいえ、昨今奨学金の返済に困る方は増えています。あなただけではないのでご安心ください。
「奨学金で大学まで出たのに、奨学金が返せないなんて情けない、こんな状態なのは私くらいじゃないか…」というようなお悩みはないですか?
実は奨学金の返済が上手くいかずに延滞をしている方が急増しています。
奨学金の運営をしている独立行政法人日本学生支援機構が、ホームページで発表している「返還金の回収状況及び平成28年度業務実績の評価について」によると、返還期限猶予者の数が平成23年には108,362件であったのが、平成28年には154,249件となっており、約1.5倍に増加しているといえます。
参照:返還金の回収状況及び平成28年度業務実績の評価について
延滞をしている理由としては、同じく独立行政法人日本学生支援機構のホームページの「平成29年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」によると、「本人の低所得」が全体の64.4%、本人の失業中が24.4%を占めています。
昨今、若者の給与が少なく、以前のように上がりづらいということが指摘されており、従来の感覚で奨学金を使って大学を出て就職をして返済をする、ということが困難になりつつあると考えられます。
奨学金の返済ができないという問題は特殊な問題ではなく、身近な問題であるということが言えるでしょう。
奨学金の支払いができないとどうなる?

- 奨学金の支払いができないとどうなるか
- 最終的には強制執行をされることになる
奨学金の支払いができなくなるとどうなるのでしょうか?
債権者から督促がされ、裁判・強制執行となるので注意が必要です。
奨学金の支払いができないとどうなるのでしょうか。
電話・書面で督促を受ける
返済ができなくなると、電話・書面によって督促を受けます。
自宅に書面が届くので、同居している家族がいる場合には、書面を見られてしまうと支払いの滞納をしていることが知られてしまいます。
遅延損害金の発生
延滞を始めると遅延損害金が発生します。
第一種奨学金については令和2年4月1日以降は年1.5%・第二種奨学金については令和2年4月1日以降は年3%の遅延損害金(延滞金)がかかります。
消費者金融や信販会社からの借り入れを延滞した場合に比べれば少ないですが、それでも支払う額は増えることになります。
信用情報に延滞していることが記載される(ブラックリスト)
3ヶ月程度の滞納をすると、信用情報機関にその旨が事故情報として登録されることになります。
これがいわゆるブラックリストで、貸金業者からお金を借りる、信販会社でクレジットカードを作る、携帯電話を分割で購入するなどができなくなります。
債権回収会社による督促
債権回収会社による督促を受けます。
債権回収会社は法律で債権者からの委託を受けて債権回収することが認められている会社のことをいいます。
特に知識がないと架空請求と間違えがちなのですが、正当に債権回収行為をすることが認められている方がいることを確認しておきましょう。
場合によっては弁護士に委託して回収をしてくることもあります。
支払督促・裁判
独立行政法人日本学生支援機構が作成した資料「貸与奨学金制度について」によると、滞納が9ヶ月に及ぶと支払督促をする旨の予告の通知を送り、その通知に対しても入金・応答がなければ支払督促という法的手続きを行うとされています。
参考:「貸与奨学金制度について」|独立行政法人日本学生支援機構
支払督促とは、簡易裁判所に申立てをして行う、簡易な法的手続きで、債務者が何もしなければ2週間で仮執行宣言が付与され、その後さらに2週間で確定します。
確定した場合には裁判で勝訴したのと同様に、強制執行に必要な債務名義とされ(民事執行法22条4号)、強制執行を行えるようになります。
債務者と争っているような場合や、金額が多い場合などには裁判を起こすこともあります。
強制執行
仮執行宣言付支払督促・判決書を手にした後は、財産に対して強制執行を行います。
給与・預貯金・不動産・自動車などに対して強制執行がされ、差し押さえになる可能性があります。
奨学金を債務整理するときの注意点3つ

- 奨学金は通常の債務整理と違う注意点がある
お金が払えない…という点では消費者金融や銀行などで借入をしたものも、奨学金も同じなので、同じ感覚で債務整理ができますか?
奨学金には保証人がついている、貸金業者とは違うところがある、という事情から、通常の債務整理のように取り扱うことはできませんが、注意点を知っておけば対策はできます。
借金をはじめとした債務の返済に困った場合に利用するのが債務整理なので、借入先が貸金業者の場合も奨学金の場合にも債務整理をすべき場合は出てきます。
しかし、奨学金には、保証人がついていること・貸金業者のように利率の高い貸付ではないこと、といったことから、債務整理においても考慮が必要です。
減額返還制度や返還期限の猶予制度が利用できないか検討する
まず、奨学金のみの返済が難しい場合には、減額返還制度や、返済期間の猶予制度の利用を最優先に考えます。
債務整理をする場合に、自己破産や個人再生といった手続きに良いイメージを持っている方は少なく、返済はするけれども軽くしてくれる任意整理を希望する方が非常に多いです。
しかし、任意整理をしても連帯保証人には別途請求が行きますし、そもそも任意整理とは消費者金融や銀行のカードローンなどの利率が高いものに対して有効で、奨学金のようにもともとの利率が低いものに対してはあまり効果がないのです。
したがって、返済金額の軽減をしてくれる減額返還の制度や、返済自体を先に猶予してもらう返還期限猶予の制度を利用したほうが良いといえます。
減額返還や返還期限猶予は弁護士に依頼するわけではなく、日本学生支援機構に直接申し込みをすることによって行います。
債務整理の方法を工夫する
生活苦から借金をしてなんとか頑張っていたけれども、借金も増えてきて家計を圧迫している場合には、奨学金についての対処と借金についての債務整理を併せて検討することになります。
債務整理として任意整理を行う場合には、保証人がついていて、かつ減額の効果のない奨学金は上記の制度による返済軽減をすることにして、その他の借金についてのみ任意整理をするというのが一つの手です。
ただ、返済不能と判断できる場合で自己破産・個人再生をする場合には、奨学金も債務のうちの1つとして手続きに組み入れていかなければなりません。
もし自己破産をする場合で、その前に奨学金だけ返済していたようなことがあると、特定の債権者のみ優遇して返済した偏頗弁済(へんぱべんさい)と評価され、免責をしてもらえなかったり、厳しい手続きになったりします。
どの債務整理手続きが適しているのかは、専門家である弁護士と相談するのが良いでしょう。
自己破産・個人再生の場合には保証人と話し合う
自己破産・個人再生をする場合には、上述した通り奨学金も同じ手続きの中で処理をしていきます。
そのため、残っている奨学金についてのみ、保証人に対して請求がいくことになります。
通常は親が連帯保証人になっていると考えられますので、突然請求がいってびっくりしないように、債務整理を利用する前に事情を伝えましょう。
このときに気を付ける点としては、保証人といっても通常の借金のように全額を保証しているわけではなく、保証はあくまで半額です。
にもかかわらず、奨学金の保証人に対して全額の請求をしている場合があり、このことがテレビや新聞でも報じられました。
また、このときに返済をしてくれた親に対して、奨学金の返済代わりとして金銭を支払うのもNGとなりますので注意が必要です。
まとめ
このページでは、奨学金の債務整理についてお伝えしてきました。
奨学金が返済できないという方が増えているので、あなただけが特殊なのではない、ということを知っていただいたうえで、奨学金という債務の特殊性を知っていただき、債務整理をするのであれば、適切に行動できるように、早めに弁護士に相談するようにしてください。









