借金を返済できずに払えなかった場合、犯罪になる?借金に関係する犯罪と併せて確認
ざっくりポイント
  • 借金を返済できないことは犯罪ではない
  • 借金を返済しないことが詐欺罪に該当する場合
  • 借金の取り立てで犯罪となり警察に捕まる場合

目次

【Cross Talk 】借金を返済しないと警察に捕まりますか?

借金の返済ができなくなっています。借金を返さないことはやはり悪いことなので、警察に逮捕されるような場合はあるのでしょうか?

いいえ、借金を返済しないこと自体は犯罪となるわけではないので、警察に逮捕されることはありません。ただし、当初から返済するつもりではないのに借り入れをしたような場合は、詐欺罪に問われます。

そうなんですね、詳しく教えてもらえますか?

借金・債務の返済ができなくても、犯罪というわけではない!

借金・債務の返済ができないことは、一般的に「悪い」ことです。ですが、借金・債務の返済ができないこと自体は、民事上の債務不履行に過ぎず、刑事上の責任に問われるわけではありません。

ただ、最初から返すつもりがない場合には詐欺罪に問われます。借金の取り立てには、どのような犯罪が成立するのかも併せて確認しましょう。

借金を返済しなかった場合、警察に捕まり、刑務所へ行くのか

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金の返済ができないこと自体は犯罪ではない
  • 詐欺罪に該当する場合

借金を返済しなくても犯罪ではないのですね。

最初から返済するつもりがないのにお金を借りるのは詐欺罪ですが、単にお金が返済できなくなったことは犯罪ではありません。

借金を返済しなかったら犯罪として警察に捕まるのでしょうか。

借金の返済ができないこと自体は犯罪ではない

まず、借金の返済ができないこと自体は犯罪ではありません。
確かに、借金をすれば、当事者は金銭消費貸借契約を結び、毎月期日に返済する必要があります。

しかし、これはあくまで民事上の義務であり、その違反に遅延損害金が課されることはあっても、刑事責任を問われるものではありません。
裁判もあくまで民事上の責任を追求するもので、刑事裁判ではありません。

そのため、借金の返済ができないこと自体は犯罪ではなく、警察に捕まる・刑務所に連れて行かれるということはありません。
弁護士に依頼して債務整理する場合も同様に、警察に捕まる・刑務所に連れて行かれる心配をする必要はありません。

返済するつもりがないのにお金を借りることは詐欺罪の可能性

ただし、最初から返済するつもりがないのにお金を借りることは、詐欺罪に問われる可能性があります。(刑法246条)

詐欺罪は、他人を欺いて財物を交付させたときに成立する罪です。
お金の貸し借りをする際、貸す側は、返済されることを前提としてお金を渡します。

そのため、返済をする気がないにも関わらず借りることは、他人を欺く行為にあたり、詐欺罪に問われうる可能性があります。

債務整理をする際に1度も返済していない相手がいるような場合は、詐欺ではないかという追求を受ける可能性があるので、返済する意図はあったけども返済時期に返済ができなくなったと相手に主張することとなります。

警察は借金問題に介入しないことが多い(民事不介入の原則)

法律上の問題は以上のようになっていますが、例えば借り入れをしている人が詐欺であるとして警察に被害届を出すこともあります。

この場合でも、お金を貸したにも関わらず返さない、と相談したとしても、お金の貸し借りについては民事上の問題ですので、警察は民事不介入の原則を理由として、介入しないことが多いでしょう。

借金の取り立てで警察に捕まる場合

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金の取り立てで警察に捕まる場合
  • 貸金業法違反・出資法違反のヤミ金融が行う行為など

借金の取り立てをする場合に警察に捕まっている人がいるのはどうしてでしょう。

借金の取り立てに関する法規制があるからです。貸金業法・出資法違反などについて確認しましょう。

逆に債権者が借金の取り立てで警察に逮捕されることもあるので併せて知っておきましょう。

貸金業法違反

貸金業者が行う借金の取り立てについては、貸金業法21条1項が次のような規制をしています。

  • 取り立てにあたって人を威迫するなどで人の私生活もしくは業務の平穏を害するような言動での取り立て(本文)
  • 正当な理由なく午後9時から午前8時までの間に取り立てをすること(1号)
  • いつまでに返済する・連絡すると申し出たにもかかわらず正当な理由なくその期間の前に取り立てをすること(2号)
  • 正当な理由なく勤務先など居宅以外の場所に取り立てをすること(3号)
  • 取り立ての際に退去するよう求めたのに退去しないこと(4号)
  • 張り紙・立看板をするなどで私生活に関する事実を債務者等以外の人に明らかにする行為(5号)
  • 債務者以外に返済資金を調達してくるように要求すること(6号)
  • 債務者以外の人に弁済するように要求すること(7号)
  • 拒否をしているにも関わらず債務者以外の人に債権の取り立てに協力することを要求すること(8号)
  • 弁護士・司法書士に依頼した後に正当な理由なく本人に取り立てをすること(9号)
  • 1号から9号(6号を除く)に該当する言動をすると告げること(10号)

通常の貸金業者であればこれらは遵守する必要があるので、違反した場合は後述する闇金融案件として併せて逮捕されます。

闇金融

貸金業者は貸金業法の登録を受けて営業し、利息制限法や出資法で定められている上限利息の範囲内で貸付を行い、取り立てを行います。
貸金業法の登録を受けないで営業する(無登録営業)・出資法の上限利息に違反して貸付を行うことは犯罪であり、この場合は民事上も不法原因給付として貸し付けた借金の返済を求めることもできません。

このような違法な金融業者のことを闇金融(ヤミ金・ヤミ金融・闇金)といいます。
闇金融は取り立てのために貸金業法の取立規制も守らないため、貸金業法(無登録営業・取立規制違反)・出資法違反として頻繁に逮捕されています。

自宅にあがってむりやりお金を持っていく行為

この他に、自宅にあがって無理やりお金を持っていく行為は、

  • 窃盗罪:勝手に持っていった場合
  • 強盗罪:暴行や脅迫によって持っていった場合

が成立する可能性があります。

ほかにも、暴行や脅迫によって支払わせた場合は恐喝罪が成立することもあります。
本来は民事上の請求(裁判・強制執行)によって取り立てを行うのが筋で、いくら債権があるからといってこのような行為は許されていません。

まとめ

このページでは、借金の返済ができないことは犯罪になるのかについてお伝えしました。
借金の返済ができないこと自体は犯罪ではありませんが、最初から返済するつもりがなくお金を借りる行為は詐欺罪となります。
刑事責任に問われなくても、民事上の責任追及に対しては適切な手当てが必要となります。
なるべく早く債務整理を検討するために、弁護士に相談してみてください。