- 「過払い金」とは消費者金融に払い過ぎたお金で、法律上返してもらうことができる
- 利息に関する法律の改正により、2010年以降に契約した場合には過払金が発生することは少ない
- 過払い金は時効となっているかの注意が必要
【Cross Talk】テレビやラジオでよく聞く「過払い金」って何でしょう?
よくテレビやラジオ・駅のポスターなどで、借金をしている人の中には「過払い金」というものが発生しており、消費者金融からお金を取り戻せると聞くのですが、お金を借りているのに返してもらえる…という内容がちょっと眉唾ものなのかな?と思っています。
そうですね。ちょっとわかりづらい権利ですが、実際に法律上請求できる権利です。時効により請求できなくなっている方も多いので早めに手続きをすることをお勧めします。
借金をしている方の中には、テレビ・ラジオなど様々な広告で「過払い金」というものを良く見たり聞いたりするのではないでしょうか。なかなか理解が難しいものなので「本当にそんな権利があるの…?」と思う方もいらっしゃるかと思うのですが、これは実際に請求可能な権利です。
過払金は、貸金業者が法律の規定を超えた利息を設定していたことが原因で、払いすぎた利息分を返してもらう権利です。
ただ、2010年に利息制限法が改正されたため、それ以降の契約については、各貸金業者が適切な利息に設定し直していることが多く、過払い金が発生しないことがほとんどです。また、過払い金が時効で消滅しているケースも増えてきているので注意が必要です。
借金の過払い金について
- 消費者金融が、法律の規定よりも多く利息を受け取っていた
- 多く受け取っていたお金の事を「過払い金」という
そもそも、「過払金」とはどういうものですか?
消費者金融は利息を受け取り過ぎていた時期があり、その受け取り過ぎていた金銭の事を「過払い金」といいます。発生のメカニズムを説明しますね。
「過払い金」というものの権利の内容について知りましょう。
過払い金とは?
「過払い金」というのは読んで字のごとく「払い過ぎた金銭」の事をいいます。
後述のグレーゾーン金利が原因で、消費者金融は法律で認められている以上の利息を受け取っていたことがあります。受け取りすぎた利息については、債務者に返さなければならないという最高裁判決があります。
グレーゾーン金利が原因だった
なぜ、過払い金が発生したかというと、グレーゾーン金利というものが原因です。
消費者金融等と契約をすると元本と一緒に利息を払う必要がありますが、利息については暴利にならないように上限が法律で定められています。
この法律には、「利息制限法」と「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」という2つの法律があり、前者は民事上の効力について、後者は高い利息を取った者に対して罰則を科するために刑事罰を規定しています。
利息制限法の法定利率は15%~20%です。一方、出資法上は、平成18年の改正まで、最高上限利率が29.2%を超える場合には刑事罰が課されていました。
そのため、利息制限法の法定利率を超えても、29.2%以下であれば、出資法には違反せず刑事罰が科されません。このように、利息制限法には違反するものの出資法には違反しない金利のことを一般にグレーゾーン金利と呼んでいます。
出資法が改正される平成18年頃まで、多くの貸金業者は、刑事罰が科されないのであれば良いだろうということで、このグレーゾーン金利で貸付をしていたのです。
そして、最高裁判所は、グレーゾーン金利で利息制限法以上の利息で貸していた部分を契約上無効と判断し、払いすぎている金銭(過払金)が発生している場合には、過払金を返してもらう権利があるという判決を下しました。
すでに過払い金は時効になった?
- 10年以上前の過払い金は時効で消滅しているおそれが高い
消費者金融からも借入れをしている時期があったので、それを請求することはできるわけですね!
ただ、過払金を請求する権利も時効で消滅している可能性があります。
上記の過払い金を請求する権利は、民法上の不当利得返還請求(民法第703条)という債権になるのですが、この権利は民法の規定によって10年で消滅時効にかかります。
そのため、完済して、その後借りて返してという取引をしていない場合、10年以上経つと、過払い金が時効で消滅していることになりますので注意が必要です。
また、2010年に出資法が改正されてグレーゾーン金利での貸付けにも罰則が適用されるようになりました。その結果、ほとんどお消費者金融は、利息制限法で許されている利息の範囲内に利息を引き下げました。
そのため、2010年以降に新規契約で借り入れをしている場合には、そもそも過払金が出ないことが多いので注意が必要です。
過払い金があるかはどうやって判断する?
- 過払い金があるかは貸金業者から提出してもらう取引履歴をもとに計算をする
過払い金が発生しているかどうかはどのようにして調べれば良いのでしょうか。
貸金業者から取引履歴を取り寄せて引き直し計算をして行うのが一般的です。
過払い金の概要については説明しましたが、過払い金が発生しているかどうかはどのように調べればよいのでしょうか。
過払い金の調査は「引き直し計算」というもので行います。
まず、貸金業者に対して過去の取引の履歴の開示を請求します。貸金業者はこれに応じる義務があります。
開示された取引の履歴には、いつお金を借りた・返したということが記載されていますので、引き直し計算用のパソコンの表計算のシートにその日付・入金・出金を入力していきます。
この入力によって、グレーゾーン金利で返済していた金銭を、利息制限法に基づく利息での計算結果を得ることができます。
引き直し計算をするためのパソコン用の表計算のシートはインターネットでダウンロードをすることができます。
過払い金の返還請求方法
- 過払い金の返還請求は専門家に依頼するのが一番早い解決
調査した結果過払い金が発生しているような場合には専門家に依頼した方が良いでしょうか?
交渉では解決できず、裁判をしないといけないケースもありますし、業者によって対応も異なります。過払金に詳しい専門家に依頼するのが一番良いでしょう。
調査の結果過払い金があった場合には、どのようにして相手に請求をすれば良いのでしょうか。
過払い金を返してもらうための手続の概要
過払い金を返してもらうための法的な筋道は次のようになります。
まず、貸金業者と交渉をします。
交渉が決裂した場合には裁判所に訴訟を提起します。
訴訟中に合意ができれば和解という形で支払いを受けますが、合意ができない場合には判決をもらいます。
判決に応じず支払いをしてこない場合には相手の資産を差し押さえ、そこから支払いをさせます。
現実に返還を受けるためのポイント
過払い金の請求は、発生している過払い金に、民法で定められた5%の利息を付して請求できることになっています。
しかし実際にその提案をしても、貸金業者の内部の規定にしたがった返金を打診してくることになります。
大手の貸金業者でも、機械的に5%の利息には応じない・過払い金として発生していた額の9割で・支払いは2か月後、といった処理をすることが多いです。
業者によっては元金の2割程度を半年後に支払うというところもあります。
交渉が決裂して裁判で判決を取得しても、実際に相手の財産を差し押さえるためには相手の資産(通常はその貸金業者の銀行口座)を特定する必要があります。個人でここまで行うことは現実的に困難と思われます。
過払金に詳しい弁護士であれば、どのような金額での和解が可能かを熟知しております。
そのため、弁護士に依頼して取戻しを行うのが現実的です。
まとめ
このページでは、過払い金とはどのようなものか、調査・請求の方法と併せてお伝えしてきました。
過払い金は取り戻せるものなのですが、実際の請求にあたっては調査・交渉・訴訟といったものが必要なので、弁護士に依頼して確実に行うようにしましょう。