任意整理によって借入ができない「ブラックリスト」という状態、本当に消えるの?消えるとしたらいつなのか?を知りましょう
ざっくりポイント
  • 任意整理をすると一般的に言われる「ブラックリスト」の状態にはなる
  • 「ブラックリスト」は永遠に続くわけではなく抹消される
  • 任意整理の場合には5年~7年でブラックリストは抹消する

目次

【Cross Talk】任意整理とブラックリストの正確な知識を身に付けましょう

任意整理をするとブラックリストに掲載されるんですよね。

正確に言うのであれば「ブラックリスト」というリスト自体は存在しませんが、「信用情報機関」の保有するデータベースに「事故情報」が登録されていることを、一般的には「ブラックリスト」と呼んでいますね。任意整理についてもブラックリストに入る対象です。

ブラックリストに入ってしまうと一生借入ができなくならないですか?

任意整理の情報は5年~7年で抹消されることになっているので心配しないでください。

任意整理とブラックリストの正確な知識を身に付けましょう

任意整理をはじめとした債務整理をすると「ブラックリスト」になると説明されます。ブラックリストに関する正確な知識と、いつ消えるのかについて知りましょう。

任意整理をすると「ブラックリスト」の正確な意味を知る

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 「ブラックリスト」というものがあるわけではない。
  • 「信用情報機関」に滞納や債務整理といった事故情報が登録されると、それをみた貸金業者等が貸付をしないという判断をすることが多い

そもそも「ブラックリスト」ってどんなものなんですか?

実は「ブラックリスト」というリスト自体は存在しないんです。

どういうことですか?

実は「ブラックリストに載る」というのは、返済の滞納や債務整理をした債務者について、債務者の借入についての情報をまとめている「信用情報機関」のデータベースに、「滞納した」「債務整理をした」という「事故情報」が登録されることを指しています。

登録されるとどうなるんですか?

銀行・消費者金融などの貸金業者、クレジットカードをつくる信販会社などは、この「信用情報機関」のデータベースをもとにお金を貸すか判断しており、債務整理をしたという「事故情報」があるのがわかれば貸さないという判断がされます。

任意整理などの債務整理をする場合のデメリットとして耳にする言葉として「ブラックリスト」というものがあります。
言葉の意味からすると「債務整理をした人一覧」のようなリストがどこかにあるような感じがするのですが、実はそういうわけではありません。

貸金業者は貸付にあたって申込をしてきた人の状態を知るために「信用情報機関」のデータベースを参照します。

各貸金業者・信販会社は「信用情報機関」に加盟することで、「信用情報機関」のデータベースに蓄積されている、クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報である「信用情報」を参照することができます。
もし2カ月以上の滞納をした場合や債務整理をした場合には、その「事故情報」が「信用情報」に登録されます。

審査の際にこの信用情報に債務整理をしていた情報が載っていた場合に、銀行・消費者金融・信販会社は貸付・クレジットカードの発行をしなくなります。

この状態を「ブラックリスト」と呼んでいます。

任意整理での「ブラックリスト」の情報の取り扱いを知る

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • いわゆる「ブラックリスト」は債権者に弁護士からの通知が届いたら掲載
  • 「ブラックリスト」はいずれ抹消される
  • 「完済から」5年で抹消されると考える

任意整理によるいわゆる「ブラックリスト」、これはいつから載るのですか?

任意整理を開始すると弁護士が債権者に「受任通知」を発送します。債権者は、この受任通知を受けて、信用情報機関に任意整理を開始したことを報告するので、この時点から「ブラックリスト」に載ると考えてください。

一度載ってしまった情報は抹消してもらえないのでしょうか。

いいえ、一般的に5年で消されるとされています。

いわゆる「ブラックリスト」に関する取り扱いを見てみましょう。

ブラックリストの基礎知識

信用情報を取り扱う「信用情報機関」ですが、系列によって3つの会社(シー・アイ・シー(CIC))、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC))に分かれています。
それぞれの会社によって取り扱いは違うので注意が必要ですが、細かい事よりも実際に利用する場合にはどうなのか?という観点からお伝えしたいと思います。

まず、いつからブラックリストなのかというと、任意整理を開始する旨の弁護士からの通知が貸金業者に届いた時が始まりです。
通知が届くと貸金業者は信用情報に関する事務処理を行います。この時点以降で新たな借入・クレジットカードの作成はできなくなります。

この情報は任意整理から5年が経過すると抹消されることになっています。

ローンやキャッシングができなくなる

ブラックリストの状態であると、貸金業者からの各種ローンやキャッシングができなくなります。
貸金業者は融資の申込みがあると、審査を行います。
この審査をする際に、信用情報を必ず確認し、任意整理の情報があると貸し付けを行いません。
これは銀行や消費者金融のキャッシングのみならず、住宅ローンや自動車ローン・教育ローンといったものも同様です。
そのため任意整理中はいままでよりもお金を計画的に利用する必要があります。

スマホなどの分割払いができなくなる

スマホや携帯電話の分割払いが利用できなくなります。
スマホや携帯電話の新規契約や機種変更をするにあたって分割払いとする場合には、やはり同様に信用情報を利用した審査が行われます。
そのため分割払いでの機体の購入ができなくなります。
ただ、あくまで分割払いができなくなるだけで、一括で購入することや、携帯電話キャリアとの契約までは成約されるものではありません。

ブラックリスト中はクレジットカードの作成ができない

ブラックリスト中はクレジットカードの作成ができません。
これは、クレジットカードの作成をする際には、信販会社は信用情報を利用して審査を行うためです。
同様に、従来もっているクレジットカードも、更新をする際に信用情報による審査が行われるので、利用できなくなります。

後述するように、インターネットで買い物をする際などには代わりになるものがありますので、これらを利用しましょう。

連帯保証人になれない

自分が借り入れをする場合のほかに、連帯保証人となる際にも信用情報によって審査がされます。
そのため、連帯保証人になれません。
奨学金の申込みをする際の連帯保証人になれないので、子どもが大学に進学する際に奨学金の利用をする場合には注意をしましょう。

ブラックリストで困らないために知っておいて欲しいこと

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 「ブラックリスト」になったとしても、多少不便があっても代わりになる手段はある

任意整理から5年も借り入れやクレジットカードが利用できないのは不便です…

いままで通りとはいきませんが、例えばVISAデビットのようにクレジットカードの代わりになる決済手段があったりもします。

ブラックリストの期間を気にする動機として、クレジットカードが利用できない、などの「生活が不便になる」ということが気になっている方もいらっしゃると思います。
たしかに、今までショッピングセンターや百貨店でポイントカードと一緒に使っていたものが使えなくなる…などの不便はあるかもしれません。

しかし、事前に入金をして利用するVISAデビットやETCパーソナルカードなどの代替手段などがあります。
借入についても、旅行をしたいなどの理由で借入はできませんが、葬儀や生活費など最低限必要なものについては市区町村が行っている生活福祉貸付という制度があり、これはブラックリストでも貸付を受けることが可能です。

ブラックリストが消えたらどうなるか

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 「ブラックリスト」に乗ってから5年たてば自由に借入ができるのではなく、「信用情報」にひっかからないだけ。

任意整理から5年たったら住宅ローンを組めますか?

正確に言うのであれば、任意整理の「事故情報」が5年経過することで抹消されたので、「信用情報ではじかれてしまうことがなくなる」というだけですので、5年たったら絶対に借入できるということではないのは気を付けましょう。

どういう事ですか?

住宅ローンは信用情報だけではなくて、頭金・職業・契約形態などの様々な事項を審査して行います。なので「信用情報ではじかれてしまうことがなくなる」としても、別の理由から5年たっているのに借入ができなかった、という方もいます。例えば、頭金を用意していない、非正規社員であるなどの事情が原因になっている可能性もあるので注意が必要です。

ブラックリストの期間を気にする理由のもう一つは、将来住宅ローンや自動車のローンを組みたいということではないでしょうか。

よく「5年たったら住宅ローンは間違いなく借りられますね?」と相談で弁護士に念を押す方もいらっしゃるのですが、弁護士がお伝えできるのは「信用情報が原因で借りられないということはない」ということだけです。
住宅ローンは信用情報に事故情報があるかないかだけではなく、頭金や収入、職業とその契約形態、勤続年数、家族構成など様々な要素で貸付をするかどうかを決めます。

自動車ローンも住宅ローンほど厳しくはないですが、審査はされます。
信用情報以外の理由で貸付を受けられないということまでは保証できないので注意をしてください。

まとめ

このページでは、「ブラックリスト」とはどのようなものか、いつからいつまでそのような状態なのかといったことを中心に、ブラックリストになった後のことまでお伝えしてきました。
債務整理のデメリットとして日常生活に影響を及ぼすものですが、代替手段はあります。
まずは目の前の借金の整理を優先することを考えるのが良いでしょう。