ギャンブルでした借金を任意整理することは可能
ざっくりポイント
  • 任意整理をするにあたってはギャンブルのために借金をしたといった理由は問わない
  • 任意整理が可能かどうかは返済ができるかどうかで決まる
  • 自己破産をするときにはギャンブルをしたことが手続に影響

目次

【Cross Talk】ギャンブルでした借金は任意整理できる?

私は消費者金融3社から借金をしているのですが、借入れをした原因がパチンコとか競馬とか競輪とかのギャンブルがほとんどです。
債務整理に関する情報を見ているとギャンブルによる借金で債務整理ができない…といったものも目にしたのですが、任意整理はできなくなりますか?

借金の原因がギャンブルであっても任意整理はできます。
手続に影響するのは自己破産ですが、実際にはギャンブルが原因である場合でも自己破産により免責される可能性があります。

ギャンブルが原因の借金でも任意整理は可能!自己破産では手続に影響

借金をする原因には様々なものがあり、その中には競馬・競輪・パチンコなどギャンブルによる場合もあります。
自己破産においてギャンブルが原因の借入れは免責不許可事由になるという情報を元に、債務整理が全般的に利用できなくなるという勘違いをしてしまいがちですが、任意整理については返済さえできればギャンブルが原因であっても利用できますし、自己破産も手続に影響はあるものの利用できます。

ギャンブルが理由で借金をしても任意整理は可能

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 任意整理は借金の原因を問わない
  • ただし、任意整理は返済が前提となる手続なので、返済できる必要がある

借金の原因がギャンブルであっても任意整理ができる、ということですね。

はい、任意整理は借金の原因を問わず行うことができます。

ギャンブルが原因で借金をしても任意整理をすることは可能なのでしょうか。

任意整理とは?

任意整理は、借金返済に困ったときに採る手段の一方法で、裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して、債権者との合意により借金を減額させる方法のことをいいます。
他の債務整理方法の自己破産・個人再生といった方法では法律の規定に則って裁判所に申立てをして行うのですが、任意整理は個別に債権者と交渉をして借金減額を目指すものになります。
交渉といっても昨今では標準的な処理として、元金を36回の分割で返済をしていく、という内容に落ち着くことがほとんどです。
それ以上の分割回数を提案しても貸金業者の場合には承諾をしないことが多いです。

任意整理は借金の理由に関係なく行える

任意整理をする際に債権者との交渉で重要になるのは、債権者に対して支払いをすることができるのかどうかということで、借金の原因については確認する場合もありますが問題とならないことがほとんどです。
任意整理で債権者との合意に基づき、和解後の金額の支払いができる限りは、借金の原因がギャンブルであるような場合でも利用することはできます。

任意整理の手続

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 任意整理の手続の流れを知ろう

任意整理の手続はどのようにすれば良いですか?

主な手続の流れをご説明します。

任意整理の主な手続の流れを知りましょう。

法律相談

任意整理をするためにはいきなり弁護士に申し込みをするわけではなく、まず法律相談という形で話し合いを行うことから開始します。
任意整理をしたいという希望があったとしても、借金の額・収支のバランスを考えると、任意整理で想定される毎月の支払いができないという場合もあります。
そこで、まずは法律相談という形で、どの債務整理方法が適しているかを弁護士に相談した上で手続を開始します。

債務の調査・弁護士費用の支払い

弁護士に任意整理の依頼をした後はどのような手続をたどるのでしょうか。
まず弁護士の側では、債権者に対して取引の履歴を送ってもらうように通知し、その取引の履歴をもとに、債務の額についての正確な情報を調査します。
この手続には通常2ヶ月~3ヶ月はかかります。
一方依頼者は、現在の収入によって毎月の返済が本当に可能かどうか確認するため、弁護士の指示に基づいて、弁護士に毎月の返済額を支払って積み立てを行います。

交渉・和解締結

調査と調査結果に基づいた返済計画の立案が終わる頃に、交渉の準備を始めます。
交渉は弁護士の側から貸金業者に対して書面(郵送・FAX)で支払計画について呈示をするところから開始し、貸金業者の側でこれに対する返答をする、という形で行います。
特に大きな争点がなければそのまま書面を取り交わして、1ヶ月~2か月後くらいから返済が開始します。

支払い開始・完了

和解契約書を弁護士より送ってもらって、そこに記載されている振込先に返済をしていくことになります。
返済が完了すれば任意整理は終了します。

任意整理以外にも債務整理方法はある

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 任意整理以外の手続を知る
  • ギャンブルが原因であることによって影響を受けるのは自己破産

任意整理で提案することになる金額の支払いができない場合にはどうすれば良いですか?

自己破産や個人再生といった手続を検討しましょう。
ギャンブルが原因である場合でも自己破産では手続に影響しますが利用できないわけではありません。

上述したとおり、任意整理では元金を36回分割払いにしてもらうように交渉することが基本です。そのため、たとえば債務額が300万円である場合には、毎月8万4千円程度の支払ができることが前提になります。
これを48回分割にしてもらってもっと月々の支払いを少なくしてもらいたいと思っていても、36回を超える分割を債権者が承諾することは例外的で、債権者と合意できないことも多くあります。
債権者と合意できない場合には他の債務整理手続を検討することになります。

個人再生

その一つの方法が個人再生です。
借金の額を1/5程度に圧縮してもらって、圧縮した額を3年(36回分割。例外的に5年の場合もある)での支払いにしてもらう手続です。
申立書を作成して添付書類を収集して裁判所に申立てをして行います。
個人再生の利用にあたっては借金の原因は申告する必要はあるものの、それによって利用することができないというものではありません。

自己破産

もう一つの方法は自己破産です。
借金を原則として免除してもらうことになる手続で、個人再生と同様に裁判所への申立てで行います。
自己破産については、免責不許可事由といって、特定のことをしていると免責をしないという条件があり、実はギャンブルをして借金を作った場合は免責不許可事由とされています。
もっとも、免責不許可事由がある場合でも、裁判所が免責を認めるのが相当であるという事案の場合には裁量免責という制度で免責を出すことができ、実務上は自己破産手続に真摯に協力をしている限りはほとんどのケースで裁量免責が認められています。

ただし、裁量免責が相当かどうかの調査をするために、簡単な同時廃止という手続ではなく、管財人のつく管財手続が利用されるため、裁判所から選任される管財人への報酬となる予納金の支払いが必要になったり、破産手続による住居制限・郵送物の転送が行われるなどの影響があります。

まとめ

このページでは、借金の原因がギャンブルである場合に任意整理ができるのかについてお伝えしてきました。
任意整理については、分割返済できちんと支払いができる、ということが条件になり、借金の原因は問われません。
元金の分割払いができるのであれば利用可能ですが、そうではない場合には自己破産・個人再生といった手続の利用を検討すべきこととなります。
どのような手続が適しているのかは、実際に弁護士に相談しながら検討していくのが良いでしょう。