遅延損害金とはどのようなときに支払わなければならないのか、計算方法、支払えない場合の対処方法。
ざっくりポイント
  • 遅延損害金とは
  • 遅延損害金の計算方法
  • 遅延損害金が払えない場合の対応方法

目次

【Cross Talk 】遅延損害金ってどういう場合に払う必要がありますか?

借金の返済について悩んでいます。貸金業者からの督促状を見たのですが、遅延損害金というものがつけられています。これはどのようなものですか?

本来の返済日に返済できず、延滞した場合に支払うべきものです。今延滞しているならば早急に手を打つ必要があります。

相談に乗ってもらっても良いですか?

遅延損害金とはどのようなものか?返済ができなくなっているときの対応方法とは?

借金の契約に付随するものとして遅延損害金があります。遅延損害金は返済が遅れたときに支払うべきもので、貸金業者から借り入れをした場合にはついては必ず規定されています。遅延損害金の計算方法や遅延損害金まで払うことができない場合の対応方法と併せて確認しましょう。

借金を延滞したときに発生する遅延損害金とは

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金を延滞すると遅延損害金が発生する
  • 遅延損害金の計算方法

遅延損害金とはどのようなものですか?

借金の場合返済が遅れたときにペナルティとして払うものです。計算方法など詳しくみてみましょう。

遅延損害金とはどのようなものでしょうか。

遅延損害金とは

遅延損害金とは、金銭債務の履行が遅延したときに損害を賠償するために支払われる金銭のことをいいます。

遅延損害金の仕組み

借金は、法律上は金銭消費貸借契約を結んで行われます。
金銭消費貸借契約を結ぶと、毎月返済日に決められた金銭を返済する債務が発生します。
その返済日に返済しなかった場合に発生する損害賠償金が遅延損害金です。
貸金業者から借金をした場合には遅延損害金について契約書で規定しているので、遅延損害金の計算、支払は契約書に基づいて行われます。
また、例えば個人間のお金の貸し借りのように、遅延損害金について全く定めていない場合には、遅延損害金は民法の法定利率に基づいて計算されます。
法定利率は2020年3月30日までは年5分(年利5%)とされており、2020年4月以降は3%となり3年ごとに利率を見直すことになっています。

遅延損害金と利息の違い

貸金業者から借金をした場合には利息を支払います。
利息はお金を貸してもらったときに払う対価のようなもので、延滞の有無にかかわらず支払うものです(この利息が貸金業者の収入源になります)。
遅延損害金は返済が遅れたときにのみ支払う損害賠償金という点で両者には違いがあります。

遅延損害金の計算方法

遅延損害金の計算方法は次の通りです。

借入額✕遅延損害金の年率✕滞納日数÷365日

例えば、30万円の借金があり、20%の遅延損害金の契約をして30日延滞したとすると、
300,000✕20%✕30÷365=4.932円(四捨五入)
です。

遅延損害金の上限利率を定める法律

借金の遅延損害金については上限を定める法律があることを知っておきましょう。
借金の遅延損害金は、利息の上限を定める利息制限法によって、契約利息の1.46倍までとされています(利息制限法4条1項)。
また、貸金業者が定める遅延損害金は、年20%までと規定されています(利息制限法7条)。
上記の利率を超える割合の遅延損害金が定められていたとしても、超過部分は無効になります(利息制限法4条1項、同7条)。

遅延損害金とブラックリストの関係

遅延損害金が発生することとブラックリストとはどのような関係があるのでしょうか。
ブラックリストとは、支払いの遅延や債務整理などの手続きをした場合に、信用情報期間にその旨が事故情報として登録されることをいいます。

事故情報として登録されると、新たな借り入れやクレジットカードの作成、携帯電話の分割購入などが一定期間できなくなります。
これらの措置は、返済を延滞のほか、延滞がなくとも債務整理の手続きを行った場合に行われる措置で、事故情報が掲載されたから遅延損害金が必ず発生する、という訳ではありません。
ただ、支払の遅延が原因でブラックリストになっている場合には、既に多額の遅延損害金が発生していることがあるので、早めに対応をするようにしましょう。

遅延損害金の支払いができない場合の対応方法

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 遅延損害金の支払いができない場合の対応方法
  • 貸金業者に早めに相談するか債務整理を行う

遅延損害金の額がかなり多くて支払えそうにありません。

債務整理をおすすめします。任意整理をすれば遅延損害金をカット・大幅減額することができる可能性がありますよ。

遅延損害金の支払いができない場合の対応方法について確認しましょう。

貸金業者に相談する

まず、貸金業者に相談してみるのも方法のひとつです。
冠婚葬祭や車検など一時的な費用負担によって返済ができない、というような場合であれば、貸金業者の対応によっては、利息のみの支払いにしてもらって、遅延損害金が発生しないようにしてもらえる可能性があります。
もっとも、貸金業者への相談は延滞して遅延損害金が発生してからでは遅い可能性が高いです。
相談するなら、延滞をする前にしましょう。

債務整理をする

遅延損害金の返済ができないと考えている場合には、債務整理を行いましょう。
自己破産をすれば、遅延損害金を含めた債務が免責されますし、個人再生では大幅に減額されて分割で返済することが可能です。
任意整理によると、遅延損害金や利息の増加を防ぐことができることがほとんどですし、場合によっては遅延損害金・利息をカットした元金のみの分割返済となることもあります。
ただし、遅延損害金の額があまりにも多すぎると、貸金業者の態度が硬化し、遅延損害金の全部または一部の支払いを強硬に主張されることがあります。
遅延損害金を含め、借金の返済ができないと感じたときには、早めに弁護士に相談するようにしてください。

借り換えローン・おまとめローンは非常に厳しい

なお、借金返済を楽にするために使われる借り換えローンやおまとめローンは、遅延損害金が発生してしまっている場合は使えない可能性もあります。
借り換えローンとは、利率の低い銀行から借り入れ、高い消費者金融への返済をしてしまうことで、利息の負担を減らすものです。
おまとめローンとは、いくつもある消費者金融などからの借り入れを、利率の低い銀行から借り入れして返済してしまい、借金を一つの銀行にまとめることをいいます。
これらは、消費者金融などよりも審査の厳しい銀行からの借り入れになるので、返済が厳しいような場合はもちろん、既に延滞していて遅延損害金が発生しているような場合での利用は厳しい可能性が高いです。

まとめ

このページでは、遅延損害金についてお伝えしました。
期日に借金の返済ができなくなったときに発生するのが遅延損害金です。
任意整理で遅延損害金をカットすることもできますが、早めに交渉に着手することが欠かせません。
返済が厳しいと感じたときには、早めに弁護士に相談するようにしましょう。