裁判を起こされた後でも任意整理などの債務整理はできるのか
ざっくりポイント
  • なぜ借金が払えない場合に裁判をするのか
  • 裁判を起こされた後でも債務整理は可能
  • 裁判を起こされた場合の債務整理の注意点

目次

【Cross Talk 】借金の裁判を起こされました。もう債務整理はできないでしょうか。

貸金業者から借金をしていたのですが、返済ができなくなり、長期間督促を無視していたところ、裁判所から書類が届きました。どうやら訴訟を起こされたみたいです。もう債務整理はできないのでしょうか。

そんなことはないです。多少注意が必要な点はありますが、債務整理は可能ですよ。

よかったです!債務整理を依頼したいです。

裁判を起こされた後でも債務整理は可能!その場合の注意点は?

借金返済ができなくなると、貸金業者は債務者に対して裁判を起こします。裁判を起こされた場合でも債務整理は可能です。ただし、裁判を起こされたことで、債務整理に多少配慮が必要となります。

このページでは、裁判を起こされた後でも債務整理が可能であること、その注意点について確認しましょう。

借金の裁判を起こされた後でも任意整理などの債務整理は可能

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金の裁判を起こされた後でも債務整理は可能
  • 万が一給与の差し押さえをされているような場合は自己破産・個人再生をすれば差し押さえが解除される

借金で裁判を起こされても債務整理は可能なのですね?

はい、借金で裁判を起こされても、どの債務整理手続きも行うことが可能です。

借金の裁判を起こされた後でも、債務整理は可能です。

借金の裁判目的

貸金業者は借金の返済をしなくなった場合には、裁判を起こします。
もう支払うためのお金がないという場合でも裁判を起こすのですが、なぜ貸金業者は裁判を起こすのでしょうか。

目的の一つ目は、相手の財産に強制執行をする前提として裁判を起こす必要があるから
です。

相手の財産に強制執行をする場合には、民事執行法22条各号に定められている債務名義が必要となるのですが、その一つが裁判を起こして取得する確定判決です(1号)。
差し押さえるようなものがない債務者でも、働いて得ている給与があり、給与は1/4を差し押さえることができるようになっています。

そのため、給与の差し押さえを狙って裁判を起こします。

また、働いておらず収入がないような場合でも、裁判を起こして強制執行ができない証明(執行不能調書)を取得して、貸金業者内部で借金に関する会計処理(貸し倒れ償却)を行います。
そのため、裁判を起こすことになります。

借金の裁判を起こされた後でも債務整理は可能

では、借金の裁判を起こされた後には債務整理は可能なのでしょうか。
この点について、注意点があるのですが債務整理自体は可能です。

任意整理の場合には貸金業者と交渉をして裁判を取り下げてもらう働きかけをします。
自己破産・個人再生をする場合は、裁判を起こしていても起こしていなくて、債権者は手続きに参加することになります。そのため、債務整理は可能です。

給与の差し押さえは自己破産・個人再生で解除される

裁判後に給与の差し押さえをされているような場合、自己破産・個人再生をすれば差し押さえが解除されます。
自己破産について規定している破産法249条は、債務者に対する強制執行の中止が規定されています。

また、個人再生について規定している民事再生法39条1項は、債務者に対する強制執行の中止が規定されています。
このような規定があることから、自己破産・個人再生をする場合には、強制執行をしても無駄となると考え、まだ裁判をしていない場合には裁判を起こさない、既に裁判をしている場合には裁判を取り下げる・強制執行をしない、ということが期待できます。
ですので、早めに債務整理をするようにしましょう。

借金の裁判を起こされた場合の債務整理の注意点

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金の裁判を起こされた場合の債務整理の注意点

借金の裁判を起こされた場合にはどのような点に注意が必要でしょうか?

いくつか注意すべきことがあるので確認しましょう。

借金の裁判を起こされた場合の注意点は次の通りです。

任意整理の条件が悪くなる可能性がある


任意整理の条件が悪くなる可能性があります。

任意整理は、元金のみを36回~60回で返済し、利息・遅延損害金はカットしてもらうのが通常です。
しかし、裁判を起こされていると、
遅延損害金の一部を主張されたり、より短い分割回数を主張されることがあります。

裁判をされるかもしれない場合には、早め任意整理を始められるように、弁護士に相談を急ぎましょう。

一時的に給与の差し押さえをされる可能性がある

既に判決を取られていて、貸金業者が強制執行の準備にかかっているような場合には、
一時的にでも給与の差し押さえを受ける可能性があります。

この場合には、自己破産・個人再生の手続きを急ぎ、差し押さえの解除をしてもらえるようにします。
既に差し押さえられた場合には、任意整理では差し押さえの解除は期待できません。

弁護士が裁判所に出頭する場合費用がかかる可能性がある

裁判を起こされた場合で、対応を弁護士に任せる場合、弁護士が裁判所に出頭する必要があります。
この裁判所に出頭する場合に発生する交通費と、弁護士が出頭のために時間を費やしたことに対する日当の支払いが必要となり、費用が余計にかかることになります。

なお、弁護士が対応したからといって、借金の裁判をされても勝訴に導けるわけではなく、時間稼ぎをしてくれるにすぎません。

まとめ

このページでは、借金が返済できずに裁判を起こされた場合でも、債務整理が可能かについてお伝えしました。
借金が返済できずに裁判を起こされた場合でも債務整理は可能です。
ただし、債務整理においては注意が必要となることもあるので、まだ裁判を起こされていないのであれば、早めに弁護士に相談・依頼するようにしてください。