自己破産するとできない7つのこととは?
ざっくりポイント
  • 自己破産手続き中は債権者への返済や財産処分などが制限される
  • 手続き後も職業制限や信用情報への影響など一定の制約がある
  • 多くの制限は一時的なものに留まる

目次

【Cross Talk 】自己破産するとできない7つのこととは?

自己破産すると色々なことができなくなると聞いたので、不安です。

確かに一定の制限はありますが、多くは一時的なものです。正しい情報を知ることが大切ですね。

具体的にはどのような制限があるのか、また誤解されがちなことなどについても教えてください。

自己破産するとできない7つのこととは?

自己破産は借金問題を解決する法的手段ですが、手続き中や手続き後には一定の制限が伴います。これらの制限について正しく理解せずに手続きを進めると、思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。

一方で、自己破産に関する誤った情報も多く見受けられるため、本記事では自己破産によって実際にできなくなること、よくある誤解などについて詳しく解説します。

自己破産するとできない7つのこと

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 自己破産手続き中は債権者への返済や財産処分などが制限される
  • 職業制限や信用情報への影響など、手続き後にも一定の制約がある

自己破産を検討しているのですが、手続きをするとどのようなことができなくなるのでしょうか?

自己破産中と自己破産後、それぞれに分け、できなくなることを具体的に説明します。

自己破産中にできないこと5選

自己破産手続き中には、破産手続きの適正な進行を確保し、債権者間の公平性を保つために、様々な制限が課せられます。これらの制限は手続きが完了するまでの一時的なものですが、違反すると免責が認められなくなる可能性もあります。

ここでは、手続き中に制限される5つの重要な事項について詳しく見ていきましょう。

債権者への返済

自己破産の手続き中に債権者へ返済を行うことは、偏頗弁済にあたる可能性があるため認められません。偏頗弁済とは、複数の借金がある中で特定の債権者にのみ優先的に返済することです(破産法252条1項3号)。

自己破産は、全ての債権者が公平に不利益を負担することで、債務者を救済する仕組みです。そのため、特定の債権者を優遇する行為は制度の趣旨に反するものとして、禁止されています。

例えば、自己破産手続き中にも関わらず、親族や知人からの借金だけを優先的に弁済すると、偏頗弁済とみなされる可能性があります。

偏頗弁済によって免責が認められないと、自己破産の手続きをおこなっても借金の返済義務がなくなりません。このような事態を避けるためにも、自己破産を検討している場合は自己判断で債権者への返済をおこなわないよう注意が必要です。

不動産・自動車などの資産を持つこと

自己破産を行うには、高価な財産を処分する必要があります。一般的に処分対象となる財産の基準は「99万円を超える現金および20万円を超える価値のある財産」とされています。

不動産は一般的に20万円以上の財産価値があるため、持ち家は基本的に処分の対象である一方、自動車の取り扱いはローンの有無によって決まります。まず、ローンが残っている場合、自動車の所有権はローン会社にあるため、破産と同時に車両が引き上げられます。これに対し、ローンが完済されている場合、車両の価値が20万円を超えるかどうかが判断基準となります。

車両価値の判断については、一般的には、普通乗用車であれば6年、軽自動車であれば4年の減価償却期間を経過すれば無価値として保有が認められる可能性が高くなります。そのほか、解約返戻金が20万円以上の生命保険に加入している場合は保険が解約され、返戻金が債権者への返済に充てられることになります。

関連記事:自動車は生活に欠かせない!自己破産をした場合にはもう持てない?

裁判所の許可を得ない引越しや海外渡航

管財事件の場合、引越しや海外渡航に裁判所の許可が必要です(破産法37条1項)。これは、申立者が勝手に引越しすると裁判所からの郵便物が届かなくなり、連絡も付きにくくなるため、手続きに支障を来たすからです。

一方、同時廃止であれば引越しは自由におこなえます。同時廃止とは、破産手続き開始と同時に破産が終了し、免責手続きに移行する手続きです。

また、海外渡航についても管財事件の場合は裁判所の許可が必要です。これは、裁判所や破産管財人がいつでも債務者と連絡を取れるようにしておくためです。

ローンやクレジットカードの利用

自己破産を行うと、信用情報機関に事故情報が記録されるため、ローンやクレジットカードの利用ができなくなります。

信用情報機関とは、クレジットカードや融資の審査に必要な個人の信用情報を管理している機関です。自己破産の情報は信用情報機関によって記録され、利用中のクレジットカードは原則として解約されます。

そして、新たなクレジットカードの発行やローンの申込みをおこなっても、金融機関が信用情報機関を通じて審査する際に事故情報が確認されるため、審査に通りにくくなります。そのため、キャッシングやカードローンなどの借り入れも制限されます。

ただし、事故情報の記録は永続的なものではなく、5〜7年経過すれば記録は削除されます。そのため、自己破産後も一定期間を過ぎれば事故情報のない状態での審査を受けられます。

端末料金を分割払い中の携帯やスマホを持つこと

携帯やスマホの端末料金を分割払いで購入している場合、自己破産によって契約が解除される可能性があります。これは、端末の分割払いがローンと同様の債務として扱われ、自己破産によって免責の対象となるためです。

自己破産手続きが開始されると、弁護士からの受任通知や裁判所からの通知が携帯電話会社に送付されます。そして、会社側が利用者の自己破産を把握すると、契約解除の手続きがおこなわれます。

ただし、端末料金を既に完済しており、料金の未払いもなければ、自己破産をおこなっても契約は解除されません。そのため、携帯やスマホへの影響は分割払いの債務が残っている場合にのみ生じます。

関連記事:任意整理・自己破産後は携帯電話って契約できるの?ローンは組める?

自己破産後にできないこと

自己破産手続きが完了して免責許可が下りた後も、一定の条件下で制限される事項があります。これらは社会的信用の回復や破産制度の適正な運用を目的としたものです。

手続き中の制限とは異なり、期間や条件によっては長期間にわたり影響する場合もあるため、事前に理解しておくことが重要です。

一定の職業に就けなくなる

自己破産を申立てて破産手続きが始まると、特定の職業への就業が制限されます。制限される主な職業は以下の通りです。

  • 弁護士(弁護士法第7条4号)
  • 税理士(税理士法4条2号)
  • 司法書士(司法書士法5条3号)
  • 社会保険労務士(社会保険労務士法5条2号)
  • 公認会計士(公認会計士法4条4号)
  • 行政書士(行政書士法2条の2第2号)
  • 警備員(警備業法4条)
  • 生命保険外交員(279条1号、307条1号)
  • これらの職業は顧客の財産管理や機密情報を取り扱う性質があるため、破産者には業務の遂行が認められません。

    もっとも、この制限は永続的なものではなく、免責許可決定を受けて復権すれば再び資格を取得することが可能です。つまり、自己破産をした場合であっても、将来的にはこれらの職業に就けるようになるということです。

    関連記事:自己破産すると仕事ができなくなる!?職業制限はあるの?

    2回目以降の債務整理

    2回目の自己破産は法的には可能ですが、1回目と比較して免責が認められにくくなります。特に、前回と同じ理由で借金を重ねた場合、裁判所が「反省していない」と判断する可能性は高いでしょう。裁判所は申立者の生活態度の改善や反省の姿勢を重視するため、同じ過ちを繰り返していると判断されれば免責は通りにくくなります。

    ただし、2回目の自己破産が絶対に認められないわけではありません。例えば、病気による医療費やリストラなどのやむを得ない事情が原因の場合や、前回の破産後に十分な反省と生活改善の努力が認められる場合には、2回目でも免責でも許可される可能性はあります。

    2回目の自己破産では個別の事情や経緯が重要な判断材料となるため、債務整理に慣れた弁護士に相談し、判断を仰ぐのも有効です。

    関連記事:借金返済のためのコツ5選と債務整理を検討するタイミング

    自己破産後にできないと誤解されることとは?

    知っておきたい借金(債務)整理のポイント
    • 仕事や就職活動への影響は限定的であり、多くの職業では制限を受けない
    • 海外旅行や日常生活への制限は手続き完了後に解除される

    自己破産に関して色々な噂を聞くのですが、何が本当なのかわかりません。

    間違った情報が広まっていることも多いので、正しい知識を身に付けましょう。

    自己破産について、実際にはできることでも「できなくなる」と誤解されがちな事項があるため、こちらで代表的なものをご紹介します。

  • 仕事がクビになる
  • 就職活動で不利になる
  • 海外旅行できなくなる
  • 弁護士・会計士・警備員など一部の職業では自己破産による制限を受けるものの、それ以外の職業では債務整理を理由とした解雇は通常認められません。労働契約法16条では、解雇には「客観的に合理的な理由」が必要とされており、自己破産だけを理由とした解雇は不当解雇となる可能性があります。

    また、就職活動時に求人側の企業が自己破産の事実が知られることは、基本的にありません。企業が応募者の自己破産を知る手段としては官報が挙げられますが、一般企業が官報をチェックするというのは極めて稀です。

    そして、海外旅行についても手続き中の制限と混同されがちですが、自己破産後は通常通り海外渡航できるため制限はありません。

    まとめ

    自己破産にはいくつかの制限がありますが、全てが永続的なものではありません。手続き中の制限は免責許可決定後に解除され、信用情報も時間の経過とともに回復します。
    重要なのは、自己破産の制限を正しく理解し、根拠のない噂や誤解に惑わされないことです。特に職業制限については限定的であり、多くの職業は自己破産による影響を受けません。また、就職活動や海外旅行への影響も実際にはほとんどないのが現実です。
    自己破産を検討している方は、制限を過度におそれることなく、正確な情報に基づいて判断することが大切です。個別の状況によって影響は異なるため、専門的な判断が必要な場合は弁護士などに相談することをおすすめします。自己破産は人生の再スタートを切るための制度であり、適切に活用すれば新たな人生を歩むことができます。