会社(法人)の破産に必要な費用について知ろう
ざっくりポイント
  • 法人破産に必要な費用を知る

目次

【Cross Talk】法人破産の費用は、個人の自己破産と比較して高額になる

会社の借金が支払えなくなっているので会社をたたもうと思っています。ただ、法人を破産させるにもお金がかかると聞きましたが、どれくらいの費用がかかるのですか?

法人を破産させるためには、代表者個人で手続きをすることは難しいため、依頼する弁護士に対する費用が発生します。また、裁判所に対する申立費用、管財人に対する費用などもかかってきます。

法人破産に必要な費用を知る

法人を破産させる場合、個人の自己破産に比べ、高度な法的知識が必要となってきますので、代表者個人で手続を遂行することは極めて困難です。そのため、法人破産のほとんどは、弁護士に対し手続を依頼することになります。そこで、当然、弁護士費用が発生してしまいます。
また、裁判所へ申立てをする手続なので、申立費用もかかりますし、管財人(裁判所が調査のために選任する別の弁護士)に対する費用も発生します。
これに加え、代表者も同時に破産となる場合があるので、代表者の破産についても費用がかかります。
これらのことから、個人の自己破産と比較して、法人破産にかかる費用は高額になります。
もっとも、破産予定の法人の状況を見ながら、費用は決まるので、まずは弁護士に相談してみましょう。

法人破産の概要

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 法人破産は法人の資産及び債務を整理し会社そのものを消滅させる手続です。

「法人破産」とはどのような手続ですか?

法人破産は、債務超過に陥った法人について、法人の資産及び債務を整理し、会社そのものを消滅させる手続です。

法人破産は法人が利用する債務整理の手段の一つで、事業の継続を前提とせず、会社そのものを消滅させる手続です。法人破産は、法人の債務整理の中では、最も一般的な手続です。
法人の債務整理には、同じ清算型の手続きとして「特別清算」があり、他方、清算ではなく事業継続を目指す手続として「会社更生」、「民事再生」、「私的整理」などがあります。

法人破産の主な手続の流れは次のとおりです。

1 弁護士に相談し、法人破産が適切なのか検討する。
2 法人破産が適切な場合、弁護士に法人破産を依頼する。
3 弁護士の指示の下、必要書類等を準備したり、従業員を解雇したり、物件を明け渡したりする。
4 裁判所に申し立てる。
5 裁判所は法人を調査するため、申立代理人弁護士の他に、管財人として、他の弁護士を選任する。
6 破産法に則り、管財人主導の下、財産調査、換金、配当などの手続が進む。
7 債権者集会にて、管財人が手続の報告をし、裁判所が手続の終了を宣告する。

法人破産の費用

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 法人破産に必要な費用を知る

法人破産にはどのような費用がかかるのですか?

法人破産をする場合には、大きく分けて4つの費用が必要となります。
①弁護士費用、②申立手数料、③引継予納金、④代表者破産にかかる費用のそれぞれについて、説明していきましょう。

法人破産の費用は、個人の自己破産と比較して高額になる。

弁護士費用(対申立代理人)

法人破産は、高度な法的知識が必要となるので、弁護士への依頼が必要となります。そして、法人破産を弁護士に依頼する場合、まずは着手金という弁護士費用がかかります。
着手金とは、弁護士が依頼された法律事務を開始するために必要な弁護士費用ですので、原則として、事件を依頼する際に必要となります。

また、法人破産の着手金については、法人の規模、必要な事務処理量(従業員解雇が必要か、建物等の明渡しが必要か)などに応じて、弁護士が自由に決定できます。法人破産の場合、着手金で、最低でも50万円はかかるケースが多いようです。
他にも、弁護士費用として、弁護士が現地調査や出張などをした際に発生する日当などがかかります。

申立手数料(対裁判所)

法人破産は、裁判所に対し申立をする手続なので、裁判所に対し申立手数料などを納めなければなりません。申立手数料などについては裁判所によって多少異なりますが、東京地方裁判所の場合、
・収入印紙1000円
・郵券(切手)4100円分
・官報広告費1万4786円

がかかります。

引継予納金(対管財人)

法人破産を申し立てると、裁判所は、手続の公正性担保を目的とし、会社を調査するための管財人という別の弁護士を選任します。そして、管財人が、破産法に則り、破産手続を主導していきます。管財人はボランティアで引き受けてくれるわけではなく、報酬が発生します。

管財人の報酬は、管財人の事務処理量や成果に応じ、事件終了時、裁判所が相当の範囲内で決定します。
破産する法人に換価できる資産があれば、その資産は管財人の報酬や、債権者に配当されることになりますが、事件終了時に換価されるものが一切なかったということになると、管財人報酬が支払われなくなってしまうので、申立時点において、最低限の現金を確保した上で、管財人に引き継ぐことが必要となります。その現金を、引継予納金といいます。

引継予納金の額は、法人破産の申立時に、裁判所が法人の規模や資産等から判断しますが、東京地方裁判所の場合、最低でも20万円の引継予納金が必要となります。

費用負担の少ない法人破産の依頼方法

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 弁護士費用は、法律事務所によって様々。

法人破産はお金がかかりますね。なるべく安く依頼する方法をありませんか?

法人破産の弁護士費用については、ケースバイケースで、法律事務所が判断しています。また、相談無料の法律事務所や、弁護士費用の分割に応じてくれる法律事務所などもあるようなので、御自身に合った法律事務所を選ばれるとよいでしょう。

前述のとおり、法人破産にはかなりの費用がかかります。もっとも、法律事務所によって、費用は様々なので、諦めずに、御自身に合った法律事務所を探してみましょう。

相談料無料の弁護士を選ぶ

弁護士に依頼する場合、まずは法律相談が必要となります。最近では、個人のみならず法人の債務整理について、相談料を無料としている法律事務所も複数あります。

弁護士費用を分割にしてくれるところを選ぶ

弁護士費用の支払いについては、最近では、分割での支払いが可能な法律事務所も複数あります。まずは、弁護士に相談してみましょう。

まとめ

このページでは、法人破産の費用についてお伝えしてきました。
借金を返済できない局面でありながらも、何かと費用がかかってしまうのが法人破産です。
病院を選ぶことと同様に、一人の弁護士にしか相談できないわけではありませんので、いくつかの法律事務所をあたってみて、費用面など、御自身に合った弁護士に依頼し、手続を進めていきましょう。