借金をした原因が騙された場合でも返済義務はある!正しい対処法は?
ざっくりポイント
  • 騙されて借金を作った場合騙した相手に請求をする権利はあるが現実には取り戻しは難しい
  • 借金をした動機は貸金業者にとっては関係ないことなので、返済義務を負う
  • 返済ができない場合にも放置をせず、返済できない場合には債務整理を利用しましょう。

目次

【Cross Talk】騙された!?私は被害者だからお金は返さなくてもいいですか?

結婚を考えていた相手がどうしても今すぐお金が必要だというので、私が消費者金融から借入をしたものを渡したのですが、お金を渡した直後からその相手とは連絡が取れなくなりました。
結婚詐欺だということを消費者金融に伝えれば返済をしなくても良いものでしょうか?

その場合でも消費者金融への支払いはしなければならないですね…。
支払いができるのかできないのかをきちんと見極めて、支払いができないのであれば早々に債務整理を検討しましょう。

騙されて作った借金でも支払い義務はある!取り戻すことは難しいので、支払えないなら債務整理を

クロストークの相談者様のように第三者から騙されて消費者金融等から借入をした場合でも、基本的に支払い義務はあります。
法律上の建前では詐欺の加害者からお金を取り戻すことができるのですが、現実には相手を特定することができず、相手が逮捕されるなどした場合にわずかな金額を受け取ることができる可能性があるのみです。
支払う気になれないのはわかりますが、とはいえ放置や夜逃げが良くないのは当然で、もし支払いができないのであれば早々に債務整理を検討しましょう。

騙されて作ったとしても借金返済の義務はある

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 騙されて借金を背負ったとしても返済義務はある

そもそもなんですが、今回私は被害者です。それでも消費者金融に対して返済をしなければならないものなのでしょうか。

法律的には返済する義務があるといえます。

冒頭の相談者様のように騙されて借金をつくった場合にはどのような法律関係になるのでしょうか。
この点については「動機の錯誤」という難しい法的な理論によって説明されるものになるので、説明は割愛しますが、消費者金融や銀行などの貸金業者からお金を借りて詐欺の加害者に渡したようなケースでは、消費者金融への支払いについて無効で返済義務もない、とできるケースはまずありません。
一旦冷静になって消費者金融や銀行側の立場に立ってみるとわかるのですが、借入原因について問わない消費者金融や銀行のカードローンの貸付について、借入れの動機次第で無効となるというのでは、貸金業者は危なくて貸付なんかできない…という事になるのです。
納得のいかないものではあるのですが、一旦返済義務はあるという風に把握してください。

加害者からお金を取り返すことが理想だが難しい

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 法的な構成としては加害者からお金を取り返すことになる
  • 現実は仮に詐欺をした者が逮捕されたとしても取り返すのは難しい

騙された私は法律ではどのように救済されるのでしょうか。

法律的には詐欺の加害者からお金を返してもらう、というのが理想ですが、現実には難しいです。

上述のとおり消費者金融などの貸金業者への返済義務は否定されないのであれば、被害者はどのように救済されるのでしょうか。

法的な関係は?

まず法的にはどのような関係にあるのでしょうか。この点、被害者としても法律上は、加害者に対して不法行為に基づく損害賠償請求権(709条)をはじめとする、何等かの請求権を有しているのが通常です。
上述の相談者様の例でいうと、贈与を取消・無効にできると評価できる場合には、支払った金額を不当利得として返還してもらう権利(民法703条)も発生しているといえるでしょう。
法律上の関係だけを見れば、きちんとバランスがとれているといえます。

現実にはどうなるか

しかし、現実的にこのような請求ができるのか、というとまず難しいでしょう。
相談者様のように結婚詐欺をしているような場合には、加害者の身元をそもそも特定することができません。
身元を特定できないということは、法的に存在している上記のような権利を行使するのがまず不可能です。

相手が逮捕された場合にはお金は返ってくる?

当然このような場合には詐欺をされたことを被害届・刑事告訴という形で警察に申告します。
もし、これによって詐欺を行った者を逮捕できた場合にはお金を返してもらえるでしょうか?
まず、加害者は詐欺で手に入れたお金は使いこんでしまっていることが通常で、被害者への損害賠償をはじめとする多数の債務について自己破産をすることが考えられます。

仮に自己破産をしたとしても、悪意で加えた損害賠償請求権は、自己破産手続きにおいても免責されない債権であると規定されているので、法的には請求しつづけることはできますが、加害者の手元にお金がない以上、現実にはやはり厳しいでしょう。

このようなケースでは詐欺の加害者が逮捕された際には刑事弁護活動が始まるわけですが、その一環として不起訴にされないために刑事裁判に先立って示談をすることが通常で、それによって一部の金銭が返ってくる可能性はあります。
しかし、全額が返ってくるというケースはまずないので、仮に相手が逮捕された場合でもお金は返ってこないと考えるべきことになります。

債務整理で借金を減額することができる

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 放置、夜逃げは問題を解決しない
  • 支払えないのであれば早々に債務整理を

ちょっと精神的に落ち着くまで払うとか払わないとかを考えたくないのですが…放置するとどうなりますか?

借金を延滞したとして信用情報に事故情報が登録され、電話・書面での督促が始まるばかりか、遅延損害金の請求をされることになります。支払いができるのであれば支払いを、できないのであれば早々に債務整理を考えましょう。

たとえどのような事情があっても借金は支払わなければならない、という事を把握したならば、次に考えるのは借金の支払いをどうして行くか、という事になります。

放置や夜逃げは解決にならない

上記の相談者様のように、詐欺の直後は支払う・支払わないというような事すら考えられない、ということもあるかと思います。そのため、しばらく放置する、という事をするとどうなるのでしょうか。
まず、返済期日を2回以上過ぎると、信用情報に「延滞」という事故情報が掲載され、新たな借入やクレジットカードを作る事ができないブラックリストに載った状態になってしまいます。
当然ですが、登録をしてある携帯電話の番号には毎日貸金業者から電話が来ますし、書面での督促の通知がきます。

長引いた場合には裁判にもなるでしょう。
このような状況が精神的なダメージに追い打ちをかけて、やむにやまれず夜逃げに至る可能性もあります。
消費者金融からの貸付についても時効という制度で消える可能性があるため、時効を狙って夜逃げをする方がいらっしゃいます。

しかし、夜逃げをしても公示送達という方法で裁判を起こすこと自体はでき、これによって時効が完成せずにいつまでも請求しつづけることができる状態を維持できます。以上より、放置や夜逃げは借金問題の根本的な解決になりません。

債務整理を検討しよう

そこで、支払うことができない場合には債務整理を検討しましょう。債務整理には、任意整理・自己破産・個人再生といった方法がありますが、自己破産手続きを利用すれば、借金の返済義務を免れることもできます。

まとめ

このページでは、騙されて借金を背負ったときの返済義務や対処法についてお伝えしてきました。
法的な請求権が存在しても、現実的には借金した額に全額あてられるような金額を返還してもらえる可能性は極めて低いといえます。
放置や夜逃げは問題解決にならないことも知っていただいた上で、支払えないのであれば債務整理を検討してみてください。