自己破産に必要な書類と記載事項等を詳しく解説いたします。
ざっくりポイント
  • 自己破産申立書債権者一覧表など法律などで要求されている
  • 運用上要求される書類もある
  • 作成する書類が多いので弁護士に依頼をしたほうがいい

目次

【Cross Talk】自己破産に必要な書類を知りたい!

あちこちに借金があって返済が難しくなってきました。自己破産したいのですが、手続にはどんな書類が必要になりますか?自分で集めたり作ったりできるでしょうか?

自己破産をするには、たくさんの書類が必要になります。法律上要求されているだけでも、自己破産の申立書や債権者一覧表などの書類がありますが、それ以外にも裁判所の運用上、いろいろな書類の提出が要求されています。ご自分で必要書類を集めたり作ったりすることはなかなか難しいかもしれませんね。

どんな書類なのか、詳しく教えてください!

自己破産をするにはどんな書類が必要?

自己破産をして免責決定を得れば、借金を返済する義務が免除されます。
借金の返済に苦しんでいる債務者にとってはありがたい制度ですが、債権者から見れば元本すら返ってこないということになります。
このような強力な効果を認めるからには、裁判所は、債務者の借金を免除して経済的な更生を図ることがふさわしいかを審査する必要があります。
そのため、自己破産をする場合、法律や裁判所の運用などで、たくさんの書類を提出することが要求されています。
そこで今回は、自己破産に必要な書類について解説します。自己破産を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

法律などで申立ての際に必要とされている書類

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 法律などで申立ての際に必要とされる書類

法律や規則で自己破産の申立ての際に必要とされる書類にはどのようなものがありますか?

申立書のほかにも多くの資料の提出が必要とされるのでじっくり確認しましょう。

法律や規則で申立ての際に必要な書類としては次のようなものがあります。

役所で用意する書類

役所で取得してくる書類としては次のようなものがあります。

・住民票もしくは戸籍謄本:本人の確認のためで裁判所によって異なる

・税金・社会保険料の滞納がある場合:滞納状況が分かる書類(免責されるわけではありません)

・課税証明書

・生活保護を受けている場合には生活保護受給証明書

役所では、住所などを証明するための住民票もしくは戸籍謄本や、納税ができていない場合の納税に関する書類、課税証明書、生活保護を受けている場合には生活保護受給証明書などを取得します。
住民票や戸籍謄本については、発行してから3ヶ月以内のものが必要となるので注意をしましょう。

居住関係で用意する書類

居住関係で必要な書類として次のようなものを提出します。

・賃貸借契約書

・住宅使用許可証

・不動産登記簿謄本

・固定資産課税証明書

・水道光熱費に関する領収書

賃貸・持ち家などに応じて必要となる書類は異なりますが、申立てをするときに弁護士から指示があるものを用意しましょう。

収入・勤務先関係で用意する書類

収入や勤務先との関係で必要なものとして次のようなものが必要です。

・給与明細(直近2ヶ月分)

・源泉徴収票(1年~2年分)

・退職金見込額証明書・退職金規程・就業規則

・会社から借り入れがある場合の債権届出書

勤務先に自己破産を知られたくない場合の対処法

会社から借り入れがある場合には会社に知られても仕方なのですが、会社から借り入れが無いのにもかかわらず、退職金見込み証明書や退職金規程の提出をお願いすると、会社からは辞めるつもりか?という推測をされる、過去に自己破産をした社員がいる場合には自己破産をするのではないか?などと考えられ、自己破産をすることがわかってしまうことがあります。

そのため、資産設計の相談をファイナンシャルプランナーにするにあたって、退職金に関する情報が欲しいと相談するなどして、自己破産するわけではないけども退職金に関する情報が必要であるなどとお願いしてみましょう。

退職金見込額証明書に関する注意点

自己破産をしても退職をする必要がない職業がほとんどですが、自己破産においては退職金の1/8が資産として計上され、20万円以上ある場合には管財事件となって、相当分を積み立てなければなりません。
そのため、退職金見込み額証明書が必要になります。

誰に対しても退職金が出るような職場ではない場合には、このような書類を用意していないこともあるので、就業規則や労働契約書などで退職金がない旨を説明することがあります。
取得が難しい事情がある場合には、弁護士に相談してみましょう。

預貯金・保険関係で用意する書類

預貯金関係の必要書類

・貯金通帳のコピー:裁判所によって1年から2年分

預金通帳の記帳を長いことしていない場合には、その部分がまとめられていることがあります。
この場合には銀行にまとめられている部分の詳しい取引が分かる取引の履歴を提出してもらいます。

通帳の取引の内容はきちんと説明できるようにしておきましょう。
特に、例えばフリマサイトでの売却などを行っていて個人名義の金銭の出し入れがある場合には、ヤミ金融からの借り入れ・返済や小口の借り入れ・返済があることを疑われるので、取引の流れを確認できるようにしておきましょう。

保険関係の必要書類

・保険証書

・解約返戻金を証明する書類

保険証書のコピーが必要です。

掛け捨てのものであれば保険証書のみで良いのですが、解約返戻金がある積立タイプの生命保険がある場合には解約返戻金を証明する書類の提出が必要です。
これは、解約返戻金も資産として取り扱われて、20万円以上あるような場合には解約もしくは同等の金銭の組入を要求されるためです。

自動車・バイク・不動産を所有している場合に用意する書類

自動車・バイク関係で用意する書類

・車検証

・中古車販売業者による査定額

自動車やバイクは権利関係が車検書に記載されているので、車検証が必要です。
また、中古車販売業者に査定を依頼するなどして査定額を出しておく必要があります。
これも、自動車が資産として認定されるかどうかを判断するために行われるもので、20万円以上の価値があるかどうかが目安となります。
ネット査定でも良いですし、正式な書類が出せない場合には、査定にきた業者さんが名刺の裏に査定額を書いてもらってこれで替えることが可能です。

不動産関係で用意する書類

・不動産登記簿謄本

・固定資産評価証明書

・不動産の価値が分かるもの

・任意売却に関する書類

不動産がある場合には売却する必要があることが多いです。
そのため、不動産の価値が分かるものを添付します。
債務整理の依頼を常々受けている弁護士であれば不動産業者とのパイプがあるので紹介してもらいましょう。
なお、申立て前に任意売却を行った場合には、任意売却にかかる書類の一切が必要となる可能性があります。

運用上要求されるもの

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 運用上要求される書類がある
  • 破産に至った経緯等を記載した陳述書が必要になる
  • 財産の有無を確かめる疎明資料も

教えていただいた法律上要求される書類を出せば、それで手続は終わるのですか?

実務上、財産に関する資料や破産に至った事情等を記載した陳述書の提出が要求されています。

自己破産の場合、破産手続開始原因があることの証明は求められていません。
しかし、実務上は、その事実の有無を検討するため、次のような破産に至った経緯や財産に関する資料の提出が要求されています。

・陳述書

破産に至った経緯等を記載した陳述書の提出が要求されています。

東京地裁の場合、陳述書には、

・現在の収入

・現在から過去10年間の経歴

・家族関係等

・現在の住居の状況(賃借か、所有・共有かなど)

・破産申立てに至った事情

・免責不許可事由の有無

などを記載することになっています。

弁護士に依頼するメリット

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 必要書類の多くは自分で作成しなければならない
  • 財産や収支の調査も必要なので時間と手間がかかる
  • 迅速に手続を進めたいなら弁護士に依頼を

かなりたくさんの書類が必要になるのですね。自分で全部用意するのは大変そうですね…

申立人側で作成しなければならない書類が多いので、自分一人でやろうとするとどうしても時間や手間がかかってしまいますね。自己破産の手続を早く進めたいのなら、弁護士に依頼をするのが近道といえるでしょう。

これまで解説した必要書類のなかには、住民票のように役所で発行してもらえるものもありますが、大半は自分(申立人側)で作成しなければならないものです。
また、これらの書類を作成するには、その前提として財産や収支の調査も必要になります。

これらの調査、書類の作成には相当の時間や手間がかかりますので、仕事や家事など普段通りの生活を送りながら自分で自己破産の準備をするのは大きな負担になるでしょう。

また、自分では準備ができたと思って裁判所に書類を提出しても、裁判所から記載の不備や必要書類の不足を指摘され、記載の訂正や書類の追完等でさらに時間や手間がかかるおそれもあります。
このようにみると、自己破産の手続を迅速かつ円滑に進めたいのであれば、専門的な知識と経験のある弁護士に相談するのが望ましいといえます。

まとめ

自己破産の申立てに必要な書類について解説しました。
裁判所によって必要書類の書式や運用も変わりますので、自己破産を考えている方には、自己破産に詳しい弁護士に依頼をすることをおすすめします。