公務員の債務整理には特殊な点があるので注意をしましょう。
ざっくりポイント
  • 公務員は身分が安定しているので与信審査が通りやすく額が大きくなりがち
  • 自己破産の場合の退職金の資産計上に注意が必要
  • 共済からの借入をしている場合にそれが債務整理の対象になると職場にばれてしまう

目次

【Cross Talk】公務員の債務整理に注意が必要?

私は公務員なのですが借金が膨らんでしまって返済ができなくなりました。債務整理を考えているのですが、債務整理にあたって気を付けることはありますか?

公務員の方が借金をする場合には特徴があり、債務整理の方法によっては注意が必要な場合があります。

公務員の債務整理において特殊な、退職金が多い・共済からの借入という点に注意

公務員として働いている人でも借金を抱えることはあります。
公務員が債務整理をする際には、退職金が比較的多いということ、共済から借入をするという点で特殊です。
それに応じて債務整理においても注意をしておくことがあることを知っておきましょう。

公務員は借金をしやすい職業

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 公務員は収入が安定しているので貸付けをしやすい=借金をしやすい職業

そもそも公務員と民間で勤めている方の間に借金の面で違いはあるのですか?

公務員は身分が安定しているので借入をしやすいという特徴があります。

「公務員が借金?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、警察官が結婚式を挙げるような場合に、たくさんの人を呼ばなければないようなこともありますし、当然ながら公務員でもギャンブル等にハマってしまって借金をすることはあります。

公務員は民間企業で勤めている人よりも、与信審査が通りやすく、より多くの額を借入しやすいという特徴があります。
なぜなら、公務員は給与やボーナスが民間企業で勤めている人よりも安定しており、リストラなどの恐れも基本的にはありません。
このように、返済に対する期待が持てる結果、多くの金額を借りられるという特徴があります。

公務員も債務整理はできる!注意点は3つ

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 公務員でも債務整理はできる
  • 公務員の債務整理の注意点を知っておく

そもそもなんですが公務員って債務整理できるんですか?何か制限はないのでしょうか。

債務整理自体を禁止・制限するようなものは何もないのですが、注意点はあります。

公務員も借金をする以上、返済ができないという事態に陥ることはあります。
返済ができない場合には債務整理を検討することになります。
公務員だからといって債務整理の手続きである任意整理・自己破産・個人再生といった手続きが利用できない・利用にあたって制限がある、といったことはありませんが、公務員が債務整理をするにあたっての注意事項はありますので、検討しておきましょう。

いわゆるブラックリスト

どのような債務整理をする場合でも、債務整理をすると信用情報に事故情報として登録されます。
その結果、住宅ローン・自動車のローンをはじめとした信用情報を参照してする借入や、信販会社からクレジットカードをつくることができなくなります。
いわゆる「ブラックリスト」という状態です。

なお、ブラックリストという名前のリスト・名簿・データベースで管理しているわけではありません。
このようにブラックリストという状態になった場合には借入れをすることができなくなり、公務員くらい収入がしっかりしている場合には、いざとなった場合の市区町村が行っている生活福祉貸付を利用することもできないことが想定されます。
そのため、債務整理後には生活費が不足することがないように注意をする必要があります。

自己破産・個人再生をしたいが、退職金の資産計上が過大な場合

債務整理で自己破産・個人再生をする場合,資産がどれくらいあるのかが手続きの中で問題となります。
債務整理をしなければならない状況なんだから資産なんてあるわけがない…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、退職金は実は資産として取り扱われます。

これは、退職金は給与の後払いという法的な性質があるためとされています。
ただ、現時点で定年まで勤めあげるのかは不明ですし、懲戒免職処分をうけて退職金がなくなるようなケースもあるので、全額を資産に計上するわけにはいきません。

そのため、退職金の1/8の額を資産として計上するのが原則となっています。
そして、自己破産手続きでは、債権者への配当として計算されますが、これは今すぐ退職してお金に換えてください、というわけではなく、配当するために退職金の1/8相当額を管財人に支払う必要が出てきます。

個人再生の場合には、清算価値保障として、退職金の存在によって弁済額があがる可能性があります。
公務員は民間企業で勤務することに比べて、退職金の額が多いので、注意が必要であるといえます。

共済組合からの借金を債務整理の対象とすると職場にばれやすい

公務員の方の借入の特徴として、共済組合から借入をすることがあります。
共済組合というのは、公務員を対象とする医療・年金などの福利厚生に関するものを運営している団体で、公務員は共済組合に加入しており、この共済組合から借入をすることができるようになっています。

もし、自己破産や個人再生をする場合には、共済組合から借入をしている場合には、その借入についても手続きに含める必要があります。
「黙っていればわからないんじゃないのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれないのですが、共済組合からの貸付けについては給与天引きされており、自己破産手続き・個人再生手続きともに裁判所に提出する書類として給与明細が求められるので、隠しようがないのです。
仮に自己破産・個人再生の準備中に、申告をしていなくて給与天引きで支払っていたような場合には、申立てをしてから返してもらったりする手続きが発生することになります。

そこで、共済組合相手に弁護士から通知を送って債務整理をする必要があるのですが、これにより職場には債務整理の事実が知られてしまう可能性は非常に高いと考えなければならなくなります。
ただ、任意整理であれば、共済組合のみを除いて債務整理をすることが可能ですので、まずこちらを検討するようにしましょう。

まとめ

このページでは、公務員の方が債務整理をする場合の特徴についてお伝えしてきました。
公務員であっても借金をすることがあり、返済ができない場合には、債務整理を利用することになります。
債務整理にあたっては、退職金が多くなりがちである、共済からの借入がある、という特殊な点があることを認識しておいて、債務整理にあたって不利に働かないように、弁護士と相談しながら債務整理を行うようにしましょう。