債務整理の手段の中で、一番借金を減額してくれる手続きを解説いたします。
ざっくりポイント
  • 債務整理には主に自己破産・個人再生・任意整理の3つの手続きがある
  • どれだけ借金を減額してくれるか?という観点からは自己破産・個人再生・任意整理の順番
  • どの方法が適しているかは人によって違うので弁護士との法律相談をして考えよう

目次

【Cross Talk】一番借金減額をしてくれるのは自己破産!以下個人再生・任意整理と続く

債務整理にもいろいろ種類がありますよね…

厳密にはたくさんあるのですが、主に使うのは自己破産・個人再生・任意整理の3つですね

どの手続きが一番借金減額をしてくれるのですか?

それは自己破産手続きです。その次が個人再生・任意整理の順番になっています。

では自己破産が一番いいですね。

連帯保証人がついていて絶対に知られたくない、住宅ローンを利用していて自宅を守りたい、などその他の要素もあるので、自己判断せずに弁護士に相談をしてみましょう。

借金減額をしたい場合には、自己破産・個人再生・任意整理のどれがいいのでしょうか?

債務整理には主に自己破産・個人再生・任意整理という3つの手続きがありますが、「借金減額」ということを最優先にすると自己破産が一番優れており、次に個人再生・任意整理と続きます。ただし、3つの手続きは債務の総額・収支の状況などによって使える・使えないということがありますので、弁護士に相談して最適な手続きを決定しましょう。

借金に困った時に減額などをしてもらう債務整理手続きの3つの種類

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 債務整理は借金に困ったときの手続きの総称をいい、実際には主に自己破産・個人再生・任意整理という個別の手続きを利用します。
  • 一番借金減額をしてくれるのは自己破産・ついで個人再生・任意整理となっています。

まずそもそも債務整理ってどのようなものなのか、借金を楽にしてくれる…という簡単なイメージしかないのですが。

そうですね、債務整理とは借金返済に困ったときに、法律上認められている様々な手続きをうまく利用して、家計を立て直す手続きの総称です。主な手続きとしては自己破産・個人再生・任意整理があります。

ホームページで見ていたりしてもその3つは良く目にするのですが、さっきお話しいただいたとおり、借金を減らせる額は自己破産>個人再生>任意整理の順番なんですね。

おっしゃる通りです!

弁護士の話にあったように、債務整理というのは、自己破産・個人再生・任意整理などの手続きの総称です。
この3つの手続きの中では、債務を原則免除してくれる自己破産手続きが一番債務を減額してくれるものといえることは間違いないでしょう。
次に個人再生は債務総額に応じて減額してくれますので(例えば、5分の1)、3つの手続きの中では2番目に減額幅が大きいといえます。

最後の任意整理は、貸金業者相手に現在ある借金を分割で支払い、将来発生する利息を放棄してもらう交渉を行って債務総額を減額する手続きですが、現在ある借金の支払いはしなければなりませんので、3つの手続きの中では一番減額幅が小さいといえます。

債務整理は借金減額幅だけで決めるものではない

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 「どの程度借金減額したいから、この手続きでお願いします」という形で手続きの依頼はできない
  • 債務総額・収支のバランスを中心としたさまざまな要素と相談しながら手続きを決定する

任意整理をするとたくさん返済をしなければならなさそうなので、一番借金が減額できる自己破産手続きでお願いできますか?

債務整理は借金をどれだけ減額できるかという観点のみから判断するのではなく、債務の総額・支払いができる金額・資産の状況・本人の意向などを総合的に判断して行います。

どういうことでしょう?

たとえば自己破産手続きや個人再生手続きは、借金がもうどうしても払えない支払不能という条件が必要になりますので、一時的に払えないような場合には利用できません。
例えば、自己破産手続きでは、手続き期間中、資格制限、すなわち、職業の制限が生じるので、自己破産手続きにより職業に影響が出る方には適さない可能性があり、この場合、個人再生、任意整理を検討することになろうかと思います。

他にはどのようなことが考慮されますか?

債務の中には連帯保証人がついているものはないですか?

あります!奨学金は父が連帯保証人です。

個人再生をするということは、連帯保証人である父に請求が行くということになりますが、それ自体は大丈夫でしょうか?

いいえ、父は高齢でギリギリの生活をしている状況なので迷惑はかけられないです。

であれば、すべての債務を対象とする個人再生を利用するのではなく、返済できる金額にもよりますが、借金減額は一番少ないけれども、奨学金は外して消費者金融と銀行だけの借金の手当をするということもできる、任意整理を検討することになるでしょう。

さて、相談者さんは、「減額幅が一番大きい自己破産手続きを利用したい」という意図があるようです。
しかし、債務整理は減額できる金額の大きさのみから手続きの選択をするわけではありません。

弁護士の話にもあったとおり、自己破産・個人再生を利用する前提条件などもあり、そもそも利用ができない場合もあります。
自己破産・個人再生が嫌だ…とおもっても、借金の額が多すぎると任意整理では対応できない可能性もあります。

相談者様のケースのように、連帯保証人には絶対に迷惑をかけたくない…というのであれば自由度の高い任意整理を使うのが妥当なケースもあります。

借金はなるべく減額できるのが理想ですが、個人の債務総額・資産・収入などの状況に合わせて総合的に判断して手続きを決めることになります。
ただ、弁護士は直感で決めているわけではなく、ある程度の判断方法がありますので、そちらをお伝えします。

弁護士はどうやって債務整理の方法を決めているのか

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • まずは任意整理か自己破産or個人再生かで分ける
  • 自己破産or個人再生では基本は自己破産
  • 自己破産を使えない事情(住宅ローンで家を維持したい・資格制限のある職業についている)がある場合には個人再生の利用を検討する

人によって債務整理の方法が違うよ…というのはわかったのですが、実際にどの債務整理方法がこの人にあっているかどうかというのを判断するのですか?

まずは、任意整理を利用できるか、できないかというところから判断することが多いです。

といいますと?

任意整理における貸金業者のスタンスは実務上ほぼ決まっており、債務を36回(3年)~60回(5年)の分割で払えるかどうかで判断します。

もうすこし具体的に教えてください。

A社には債務額が50万円あるとして、36回分割をすると毎月約1万4千円の支払いになります。他にも50万円借りている場合には2万8千円になりますね。この金額の支払いができないので48回に伸ばしてくれといっても、貸金業者が応じるとは限りません。

なるほど、月々支払える額が36回の分割の範囲におさまっていないと、任意整理は使えないのですね。

その通り!そのような方は基本的に自己破産手続きの利用をいただくことになります。

個人再生手続きはどのような場合に使うのですか?

任意整理ができないような場合やできても苦しいような場合であって、住宅ローンを利用して家に住んでいるような場合や、資格を利用した仕事についている場合には、自己破産ではなく個人再生を利用するといった判断をすることが多いです。

必ずこの通りに行うというわけではないのですが、まずは総債務額を36回で割った金額の支払いがそもそもできない場合には、任意整理以外の法的手続きを検討することになります。

そうなると、自己破産手続きを利用するか個人再生を利用するか、という判断になります。
ここで、ほとんどのケースでは自己破産手続きの利用を勧められることが多いのです。

なぜなら、個人再生も自己破産と同じ裁判所を利用する手続きで、書類作成・添付書類の準備などの負担はかわりません。
それにもにもかかわらず、個人再生は、債務が大幅に減額されますが、支払いを継続しなければならないのです。
であれば最初から借金を0に減額したほうが良い…ということになります。
ただし、以下の2つのケースでは個人再生が薦められます。

一つは、住宅ローンで借入をして家を建てている場合で、この場合には個人再生の住宅ローン特別条項というものを利用することによって、住宅ローンだけそのまま払い、それ以外の債務整理をすることができます。
もう一つは、警備員・宅建業など「他の人のお金を預かる可能性のある資格」で仕事をしている人です。自己破産手続きを利用すると一時的に職業につけなくなるので、個人再生を利用します。
いずれも大体の判断方法なので、もっと詳しくは弁護士と相談するのがよいでしょう。

まとめ

このページでは債務整理の借金減額についてお伝えしてきました。
基本的には自己破産>個人再生>任意整理という順に借金減額の効果があるのですが、債務整理でどの方法を用いるかは人によります。
ですので、弁護士に相談するなど、第三者に判断をしてもらうことを念頭に入れながら債務整理を進めるのが良いでしょう。