退職代行を利用してトラブルになる場合や、トラブルの対応方法について解説いたします。
ざっくりポイント
  • 退職代行は交渉ができないので、退職金や有給休暇などでトラブルになる可能性がある
  • 請求や交渉が必要な場合は弁護士に依頼するのがおすすめ
  • 退職後は失業保険・健康保険・年金などの手続きを済ませておくべき

目次

【Cross Talk 】退職代行でトラブルになる場合があるの?

自分で退職を言い出すのが不安なので、退職代行サービスを使おうと思っています。ただ、退職代行を利用してトラブルにならないかが心配です。

弁護士が行うのではない退職代行サービスは、退職の条件や退職金などの交渉の代行はできないので、勤務先との交渉が必要な場合にトラブルになる可能性があります。不明瞭な報酬でトラブルになる可能性にも注意しましょう。

退職代行サービスによってトラブルになる可能性があるんですね。どんなトラブルがあるかも詳しく教えてください!

退職代行サービスでよくあるトラブルや、トラブルの対処法について解説いたします。

自分で勤務先に退職を伝えるのが不安な場合は、退職代行サービスを検討したくなるかもしれません。

しかし、退職代行サービスを利用することで、勤務先から退職条件や退職金についての交渉を断られたり、業者に支払う報酬で揉めたりなど、トラブルになる可能性もあるのです。

そこで今回は、退職代行サービスでよくあるトラブルや対処法について解説いたします。

退職代行でトラブルになる可能性のあること

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 退職代行は非弁行為にあたる可能性がある
  • 退職代行は交渉ができないので、退職金や有給休暇などでトラブルになる可能性がある

退職代行を使った場合に、トラブルになる可能性があれば教えてください。

退職代行業者が退職について交渉することは、非弁行為にあたる可能性があります。また、退職代行は交渉ができないので、退職金や有給の消化などでトラブルになる可能性があるのです。

非弁行為を行っている可能性がある

退職代行によるトラブルの一つは、非弁行為を行っている可能性があることです。

非弁行為とは、弁護士でない者が報酬を得る目的で、業務として法律事務を行うことであり、弁護士法によって禁止されています。

退職代行業者が退職の条件などについて勤務先と交渉した場合は、非弁行為に該当する可能性があるのです。

交渉が必要なことについては対応してもらえない

前述の通り、弁護士でない業者が退職代行をする場合、勤務先と交渉することは非弁行為にあたるので禁止されます。

法律で禁止されていることから、業者に退職代行を依頼したとしても、交渉が必要なことには対応してもらえません。

具体的には、退職の条件・退職日・退職金などについて交渉が必要になった場合は、十分な対応が期待できない可能性が高いのです。

勤務先が弁護士以外からの請求であることを原因に交渉を拒否する

退職代行を依頼した場合、
弁護士以外からの請求であることを理由に、勤務先から交渉を拒否される可能性があります。

弁護士以外の業者が退職について交渉を持ち出した場合、違法な非弁行為にあたるので、勤務先は交渉に対応する義務が基本的にありません。

非弁行為であることを理由に勤務先から交渉を拒否されて、退職がスムーズに進まない可能性があるのです。

給与・残業代・退職金の支払いを受けられなくなった

退職代行サービスを利用した場合のトラブルとして、
給与・残業代・退職金支払いをきちんと受けられない可能性があります。

労働者が退職するにあたって、未払いの給与や残業代・所定の退職金などを受け取ることは法的な権利です。

労働問題を取り扱う弁護士であれば、未払いの給与や退職金などがあれば、勤務先に対してきちんと請求できます。

しかし、交渉が禁止されている退職代行の場合は、勤務先が支払いに応じない可能性が高いため、給与や退職金などがきちんと支払われない可能性があるのです。

勤務先からの損害賠償請求に対応できない

退職時のトラブルとして、退職したことを理由に、会社から損害賠償請求される場合があります。

会社が損害賠償請求をする理由は、研修や育成にかかった費用を請求したり、突然の退職によって会社の業務に損害が生じたりする場合が考えられます。

労働問題に詳しい弁護士であれば、会社から不当な損害賠償請求が行われた場合は毅然と対応できます。

交渉が禁止されている代行業者の場合は、会社からの損害賠償に十分に対応できない可能性が高いのです。

有給消化ができなくなった

退職代行を利用したことによるトラブルとして、
有給休暇をきちんと消化できない可能性があります。

退職するにあたって、溜まっている有給休暇を消化することは法的な権利です。

しかし、退職代行の場合は有給の消化について勤務先と交渉できないので、勤務先に有給の消化を不当に拒否されてしまう可能性があるのです。

報酬でトラブルになる

退職代行を利用した場合、
報酬をめぐって業者とトラブルになる可能性があります。

退職手続きがスムーズに進まなかったにもかかわらず報酬を請求されたり、退職後に不明瞭な理由で高額な報酬を請求されたりなどです。

退職代行でトラブルを避けるためには

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 退職代行が何をしてくれるか、報酬などについて確認しておく
  • 請求や交渉が必要な場合は弁護士に依頼するのがおすすめ

退職代行によるトラブルを避けるには、どのようなことに注意すべきですか?

退職代行のトラブルを避けるには、業者が何に対応してくれるか、報酬についてきちんと確認しておくべきです。勤務先への請求や交渉が必要な場合は、きちんと対応できる弁護士に相談することをおすすめいたします。

退職代行会社が何をしてくれるか確認

退職代行業者を利用する場合は、何について対応してくれるのかを事前にきちんと確認することが重要です。

退職にあたって勤務先との交渉やトラブルなどが生じた場合に、何をどこまで対応してくれるかは業者によります。

思わぬトラブルに巻き込まれないように、退職代行を利用する前に、対応してくれる内容や範囲についてはきちんと確認しておきましょう。

退職代行会社の報酬と不明点があるかを確認

退職代行を利用する場合は、報酬や不明点についてきちんと確認しておきましょう。

悪質な代行業者の場合は、スムーズに退職が進まなかった場合でも報酬を不当に請求したり、不明瞭な理由で報酬を上乗せして請求したりする可能性があるからです。

請求や交渉が必要な場合には弁護士に依頼する

退職するにあたって勤務先への請求や交渉が必要な場合は、弁護士に依頼することをおすすめいたします。

退職代行業者は交渉などの非弁行為が禁止されているので、勤務先への請求や交渉が必要な場合には、十分に対応できない可能性が高いからです。

労働問題に詳しい弁護士であれば、残業代や退職金の請求や、退職条件についての交渉などを問題なく行うことができます。

公務員・契約社員は退職代行を利用できるかを確認


公務員・契約社員
の場合は、
退職代行を利用できるかどうか、きちんと確認することをおすすめいたします。

民間の労働者とは異なる人事制度による公務員の場合は、退職代行業者が対応していない可能性があります。

また、契約社員は、雇用されてから一定期間は原則として自由な退職が認められない可能性があるので注意が必要です。

退職代行会社に相談するまでにまとめておくべき事項

退職代行によるトラブルを防止するために、あらかじめ以下の事項をまとめておくことをおすすめいたします。

・退職したい日
・有給休暇の消化方法
・勤務先に送付してもらいたい書類
・勤務先に返却してほしい私物の有無
・業務の引継ぎの有無

退職後の手続き

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 退職後は失業保険の受給の手続きを早めに済ませておくべき
  • 健康保険や年金の切り替えの手続きも原則として必要

退職後にどのような手続きを済ませておくべきでしょうか?

失業保険を受給できる場合は、早めに手続きを済ませましょう。退職後は一般的に、健康保険や年金の手続きなども必要になります。

失業保険の受給

雇用保険に加入している場合は、退職後に失業保険の給付を受けられることがあります。

退職してから一定期間が経過すると給付を受けられなくなる場合があるので、早めに手続きを済ませましょう。

健康保険の手続き

退職すると健康保険が失効するので、健康保険の手続きをする必要があります。

国民健康保険に切り替えたり、配偶者の扶養に入ったりなど、場面に応じて手続きを済ませましょう。

年金の手続き

在職中に第2号被保険者であった場合は、退職によって資格を喪失するので、原則として年金の手続きが必要です。

具体的には、第1号被保険者に切り替えたり、配偶者の扶養に入って第3号被保険者になったりなどです。

確定申告が必要な場合がある

退職によって確定申告が必要になる場合があります。

年度の途中で退職した場合や、年度末までに再就職しなかった場合などは、勤務先の給与について年末調整が行われない場合があるからです。

払いすぎた税金が返される可能性もあるので、必要な場合は確定申告を済ませておきましょう。

まとめ

弁護士が行うのではない退職代行サービスは勤務先と交渉ができないので、退職条件や退職金などについて勤務先と十分に話し合えずに、トラブルになる可能性があります。
退職代行サービスを利用する場合は、何をどこまで代行してくれるのか、報酬などについて事前に確認しておきましょう。
退職にあたって勤務先との交渉や請求が必要な場合は、労働問題の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめいたします。