債務整理の手段の中で、一番借金を減額してくれる手続きを解説いたします。
ざっくりポイント
  • 債務整理には主に自己破産・個人再生・任意整理の3つの手続きがある
  • どれだけ借金を減額してくれるか?という観点からは自己破産・個人再生・任意整理の順番
  • どの方法が適しているかは人によって違うので弁護士との法律相談をして考えよう

目次

【Cross Talk】一番借金減額をしてくれるのは自己破産!以下個人再生・任意整理と続く

債務整理にもいろいろ種類がありますよね…。どの手続きが一番借金を減額してくれるのでしょうか。

自己破産は借金を免除してもらうものなので一番減額の効果が高いといえ、元金を減額して分割払いにする個人再生・元金を分割払いにする任意整理とつづきます。手続きにはメリット・デメリットがあるので、あなたの状況に合わせたものを選びましょう。

是非相談に乗ってください。

借金減額をしたい場合には、自己破産・個人再生・任意整理のどれがいいのでしょうか?

債務整理には主に自己破産・個人再生・任意整理という3つの手続きがありますが、「借金減額」ということを最優先にすると自己破産が一番優れており、次に個人再生・任意整理と続きます。ただし、3つの手続きは債務の総額・収支の状況などによって使える・使えないということがありますので、弁護士に相談して最適な手続きを決定しましょう。

借金に困った時に減額などをしてもらう債務整理手続きの5つの種類

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 債務整理は借金に困ったときの手続きの総称をいい、実際には主に自己破産・個人再生・任意整理という個別の手続きを利用します。
  • 一番借金減額をしてくれるのは自己破産・ついで個人再生・任意整理となっています。

まずそもそも債務整理ってどのようなものなのか、借金を楽にしてくれる…という簡単なイメージしかないのですが。

そうですね、債務整理とは借金返済に困ったときに、法律上認められている様々な手続きをうまく利用して、家計を立て直す手続きの総称です。主な手続きとしては自己破産・個人再生・任意整理があります。

ホームページで見ていたりしてもその3つは良く目にするのですが、さっきお話しいただいたとおり、借金を減らせる額は自己破産>個人再生>任意整理の順番なんですね。

おっしゃる通りです!

弁護士の話にあったように、債務整理というのは、自己破産・個人再生・任意整理などの手続きの総称です。
この3つの手続きの中では、債務を原則免除してくれる自己破産手続きが一番債務を減額してくれるものといえることは間違いないでしょう。
次に個人再生は債務総額に応じて減額してくれますので(例えば、5分の1)、3つの手続きの中では2番目に減額幅が大きいといえます。

最最後の任意整理は、貸金業者相手に現在ある借金を分割で支払い、将来発生する利息を放棄してもらう交渉を行って債務総額を減額する手続きですが、現在ある借金の支払いはしなければなりませんので、3つの手続きの中では一番減額幅が小さいといえます。

任意整理

任意整理は上述したように、元金のみの分割払いとする手続で、減額幅では一番少ないものです。
その分、個人再生・自己破産のように、法律の規定に沿った厳格な手続きを利用することがないので、手続きが簡単です。
また、連帯保証人がいるような、債務整理の対象としたくない債権者がいる場合に、手続きから外すことができるなど、柔軟な債務整理ができるという特徴もあります。
任意整理についての詳細は、「任意整理とは?~任意整理の手続やメリット・デメリットを解説!~」「絶対に損したくない人が知るべき任意整理にかかる費用の完全解説」で詳しくお伝えしていますので参照してください。

個人再生

個人再生は、元金の額や財産の額に応じて、民事再生法に定められた割合に従って、借金を減額してもらう手続きです。
そのため任意整理の元金の分割返済ができない場合でも、減額してくれる個人再生であれば払える、ということも多いです。

しかし、個人再生を利用するくらい借金が返済できないのであれば、自己破産を利用することも可能です。
免責してもらえるところをあえて減額の上で払っていく必要はないといえます。
ただ、自己破産によって住宅ローンで支払っている住宅を失いたくない、資格制限で職を失いたくない、という場合に個人再生であれば
自己破産はしたくない!個人再生手続ってどんなもの?メリット・デメリットを教えて!
個人再生ってどのくらいかかるの?個人再生の期間と費用を解説

自己破産

自己破産は、借金などの債務を免除してもらう手続きです。
養育費や税金など、一部の債務については免除してもらえませんが、借金からは免れることになるので、借金減額という観点からは一番効果的な手続きです。
ただし、手続きが厳格であるのでデメリットもあるので、状況に応じて慎重に利用するのが良いでしょう。
自己破産については、「自己破産ってどんなもの?メリット・デメリットとは?
「絶対に損したくない!」という人へ!自己破産をするためにかかる費用を解説!」で詳しくお伝えしていますので参照してください。

過払い金支給返還請求

借金を長期間していた場合には、過払い金請求をすることができる場合があります。
この場合に、過払い金請求をすることで、従来あった元金がなくなったり、過払い金をほかの借金の返済に充てることで、借金を完済するという方法も検討しておきましょう。
どのくらいの借金減額ができるかについては、過払い金の額にもよります。
過払い金請求については「借金の過払い金ってCMでよく聞くけど、過払い金ってなに?」を参照してください。

債務整理は借金減額幅だけで決めるものではない

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 「どの程度借金減額したいから、この手続きでお願いします」という形で手続きの依頼はできない
  • 債務総額・収支のバランスを中心としたさまざまな要素と相談しながら手続きを決定する

減額幅が一番多いのは自己破産のようなので、自己破産を申し込みたいです。

お気持ちはよく分かるのですが、自己破産が利用可能な状況か、他の手続きのほうが良い可能性はないかなどを総合的に判断すべきなので、まずは現在の状況を教えてください。

さて、相談者様は、「減額幅が一番大きい自己破産手続きを利用したい」という意向があるようです。
しかし、債務整理は減額できる金額の大きさのみから手続きの選択をするわけではありません。

弁護士の話にもあったとおり、自己破産・個人再生を利用する前提条件などもあり、そもそも利用ができない場合もあります。
自己破産・個人再生が嫌だ…とおもっても、借金の額が多すぎると任意整理では対応できない可能性もあります。

相談者様のケースのように、連帯保証人には絶対に迷惑をかけたくない…というのであれば自由度の高い任意整理を使うのが妥当なケースもあります。

借金はなるべく減額できるのが理想ですが、個人の債務総額・資産・収入などの状況に合わせて総合的に判断して手続きを決めることになります。
ただ、弁護士は直感で決めているわけではなく、ある程度の判断方法がありますので、そちらをお伝えします。

弁護士はどうやって債務整理の方法を決めているのか

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • まずは任意整理か自己破産or個人再生かで分ける
  • 自己破産or個人再生では基本は自己破産
  • 自己破産を使えない事情(住宅ローンで家を維持したい・資格制限のある職業についている)がある場合には個人再生の利用を検討する

現在の状況をお伝えしたうえで、弁護士はどうやって債務整理の方法を決めているのですか?

債務額と返済可能額を判断して、任意整理が可能か、自己破産・個人再生が適しているのかを見極めることになります。

まず、弁護士は貸金業者ではないので、弁護士が借金の一本化を方針として定めるわけではありません。

法律相談で、債務額・返済可能額を中心とした、借金と収支の状況などについて深く掘り下げますが、ここで過払い金の請求をするのに十分な期間の借入をしているような場合には、まずは過払い金の計算をすることになります。

債務が残っている場合には、任意整理・個人再生・自己破産のいずれかによって債務を処理するのですが、最初の判断としては、総債務額を36回で割った金額の支払いがそもそもできない場合には、任意整理以外の法的手続きを検討することになります。

そうなると、自己破産手続きを利用するか個人再生を利用するか、という判断になります。
ここで、ほとんどのケースでは自己破産手続きの利用をお勧めすることが多いです。

なぜなら、個人再生も自己破産と同じ裁判所を利用する手続きで、書類作成・添付書類の準備などの負担はかわりません。
それにもにもかかわらず、個人再生は、債務が大幅に減額されますが、支払いを継続しなければなりません。
であれば最初から借金を0に減額したほうが良い…ということになります。
ただし、以下の2つのケースでは個人再生がお勧めです。

一つは、住宅ローンで借入をして家を建てている場合で、この場合には個人再生の住宅ローン特別条項というものを利用することによって、住宅ローンだけそのまま払い、それ以外の債務整理をすることができます。
もう一つは、警備員・宅建業など「他の人のお金を預かる可能性のある資格」で仕事をしている人です。自己破産手続きを利用すると一時的に職業につけなくなるので、個人再生を利用します。
いずれも大体の判断方法なので、もっと詳しくは弁護士と相談するのがよいでしょう。

自分に合った減額方法

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金減額方法まとめ

ここまでいろんなお話していただきましたが、最後にもう一度借金減額の方法をまとめて確認させてください。

わかりやすくまとめてみましょう。

最後に、手続きをもう一度わかりやすくまとめましたので、自分に合った借金減額方法を探すのにお役立てください

任意整理

仕組み:裁判所を通さず代理人が債権者と直接交渉し元金の分割払いとしてもらうもの。
減額:主な債務整理方法である自己破産・個人再生よりも借金減額は少ない。
メリット:連帯保証人がある債務を外して債務整理をするなど、自由度の高い債務整理方法である。
デメリット:元金の分割払いをする必要があり、その額の支払いができない場合には利用することができない。

関連記事:
任意整理とは?~任意整理の手続やメリット・デメリットを解説!~

個人再生

仕組み:民事再生法に定められた額に借金を減額し、それを分割払いとする。
減額:借金を免除してくれる自己破産よりは減額は少ないが、元金の返済をする任意整理よりは減額される。
メリット:住宅ローンで住宅を購入した場合に住宅を維持することが可能である。資格制限を受けない。
デメリット:減額されているとはいえ返済する必要がある。自己破産と同様に手続きが複雑である。

関連記事:
個人再生ってどのくらいかかるの?個人再生の期間と費用を解説

自己破産

仕組み:破産法に定められた手続きによって借金を免除してもらう。
減額:非免責債権以外は免責されるので、一番減額される。
メリット:任意整理・個人再生に比べると以後返済しなくて良い。
デメリット:手続きは厳格であり、住宅ローンで購入した住宅を維持できない、資格制限などがある。

過払い金請求

仕組み:払いすぎた利息を返してもらう手続き。
減額:払いすぎた利息がいくらあるかによる。
メリット:過払い金のほうが多い場合には、現金を手にすることもできる。
デメリット:長期間借り入れをしていない場合過払い金自体が発生していない可能性が高く、時効にかかっていないなどの条件があり、請求できる人がすくない。

借金の一本化

仕組み:利息の高いところからの複数の借入について、利息の安いところから借り入れをして返済をしてしまい、以後は利息の安いところに返済をする。
減額:借り換えた先でも利息は発生するので、任意整理よりもさらに減額が少ない。
メリット:債務整理をするものではないのでブラックリストにはならない。
デメリット:審査が厳しく利用者が限られていたり、必ず返済が楽になるというわけではない。

まとめ

このページでは債務整理の借金減額についてお伝えしてきました。
基本的には自己破産>個人再生>任意整理という順に借金減額の効果があるのですが、債務整理でどの方法を用いるかは人によります。
ですので、弁護士に相談するなど、第三者に判断をしてもらうことを念頭に入れながら債務整理を進めるのが良いでしょう。