自己破産を利用した場合のローン審査について知りましょう
ざっくりポイント
  • 自己破産の手続き期間中はいわゆるブラックリストとして一定期間ローンの審査が通らなくなる
  • ブラックリストの期間は10年で終わる
  • 審査の際のポイントを知る

目次

【Cross Talk】自己破産をしてから一定期間経てばローンは組める

私は4社から300万円以上の借金をしています。
残業も減ってしまい収入が落ち込んでいて、返済の目途がたっていません。自己破産もやむを得ないかと思っていますが、私の住む地域は自動車が必須で自動車ローンが組めなくなると不便です。また将来ですが住宅ローンも組みたいです。将来のローンについても教えてください。

一定期間は信用情報に事故情報が登録されるため、ローンは組めませんが、その期間は10年程度です。その後ローンを組む際の注意事項について説明します。

自己破産をしても一定期間経過すればローンを組むことは可能

自己破産などの債務整理を利用した場合のデメリットとして、信用情報機関に事故情報として登録されるため、ローンを組む・クレジットカードを作るなどができない、いわゆるブラックリストという状態になります。
この状態は自己破産の場合にはおおむね10年は続きます。自己破産による信用情報登録がなくなった後のことを考えてどうやってローンの審査を通すのかなどのコツを知っておきましょう。

自己破産でローンが組めなくなる仕組み

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 自己破産手続きを利用すると信用情報機関に事故情報として登録される
  • 事故情報の登録があるとローンが組めなくなるなどの影響がある

そもそも自己破産をするとローンが組めなくなる仕組みを教えてください

自己破産をすると信用情報機関に事故情報として登録されます。ローンの審査にあたってはこの事故情報があると通らないことになっています

まず、自己破産でローンが組めなくなる仕組みについて知りましょう。

信用情報の仕組みを知る

個人の支払能力に関する情報として、信用情報というものがあります。
銀行・消費者金融・クレジットカードを発行する信販会社などがこういった情報を参照しながら貸付・クレジットカードの発行などを行っています。

自己破産などの債務整理をすると依頼をした弁護士が貸金業者に依頼をうけた通知(受任通知)を送付します。
その通知を受けた貸金業者は信用情報機関に情報提供し、信用情報機関では債務整理をしたという事故情報を登録します。
なお、2回以上の延滞をした場合にも同様に、延滞したという事故情報が登録されます。
この登録があると、新しく住宅ローン・自動車ローンなどを含む借り入れに関する審査は拒否され、クレジットカードの新規作成の申し込みも拒否されることになります。

この状態をブラックリストと呼んでいますが、何か特別なリスト管理をしているわけではありません。
クレジットカードが作れない・借り入れができないといったことから、特に自動車の利用が頻繁な地域でのETCカードの利用や自動車ローン・車検ローンなどが利用できないなどの影響が出ます。
また住宅ローンの申し込みや保証人になることもできません。
このブラックリストの状態は信用取引に関わるものだけですので、選挙権などが奪われる・就職ができなくなるといった影響はありません。

いわゆるブラックリストも期間が限られている

このブラックリストの状態は永遠に続くわけではなく、一定期間で消えることになっています。
自己破産については信用情報を取り扱っている3つの機関によって下記のように扱われます

・CIC  5年(消費者金融が中心に利用)
・JICC  7年(信販会社が中心に利用)
・KSC 10年(銀行が中心に利用)

自動車ローンは信販会社に分類されることが多く7年・住宅ローンは銀行を利用することが多いので10年と覚えておけば良いでしょう。
この期間経過後には、事故情報が消され、信用情報には全く借り入れやクレジットカードの作成歴がない状態の信用情報になるとされています。

5~10年たってもローンを組めないことも?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • ブラックリストではないという理由だけで貸し付けを行うわけではない
  • 大きなローンを組む前に小さなローンなどで返済履歴(クレジットヒストリー)を作る

5年~10年経過後はローンを組めるということで良いでしょうか?

5年~10年経過すれば、「ブラックリストである」という理由でローンが組めない、ということはなくなるでしょう。ただ、必ずローンが組める、という訳ではありません。ローンはブラックリストかどうかだけで審査しているわけではないので他の要因で審査に落ちることがあります。

5年~10年経過したとしても必ず借り入れができるというわけではありません。
確かに、ブラックリストの期間が終わった後には、信用情報に事故情報が載っていません。
しかし、ブラックリストではない、という理由だけで貸金業者はお金を貸すわけではありません。
例えば、収入がないような場合にはローンは組めません。
債務整理が終わってブラックリストではなくなった場合でも「ブラックリストであることを原因にローンが組めない」ということはなくなっても、ローンが必ず組めるわけではありません。

自己破産後にローンを組むための戦略

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 自動車ローンや住宅ローンの基本的な仕組みを知る
  • 自己破産後にローンを組む際の特有の事情を知る

信用情報との関係はわかりました。実際にローンを組む時に、どのような点に気を付ければいいでしょうか。

ローンは事故情報の有無だけで決定するわけではありません。ローンに通りやすくなるため方法を知りましょう。

では自己破産後にローンを組むためにはどのようにすれば良いのでしょうか。

事故情報が消えているか確認する

まず本当に事故情報が消えているかを確認しましょう。
事故情報が消えていない状態で申し込みをしても審査に落ちます。
その審査に落ちた履歴が残ってしまい、あらためて事故情報が消えた後でも審査に通りづらいことになってしまいます。
事故情報が消えていてることを確実に確認してから借り入れをするようにしましょう。
事故情報が消えているかは、信用情報期間に信用情報の開示の請求を行うことによって確認できます。

信用情報に登録があるときにしっかり頭金を貯めよう

特に住宅ローンを将来組みたい方は、信用情報に登録がある期間にしっかり頭金を貯めるようにしましょう。
住宅ローンの借り入れは頭金をどれだけ準備できているかと、後述する属性によって審査されます。
債務整理直前までは返済のために切り詰めた生活をしているのでギリギリの生活をしていますが、債務整理により生活に余裕が出るため、支出が増えることがほとんどです。
その結果10年間ギリギリの生活をして頭金が貯められなかったような場合には、返済をしてもらえるのか審査の担当者が不安に思ってしまう可能性が高いです。
10年間の間にしっかりした返済能力・家計管理能力があることを示すために1円でも多くの頭金を貯めるのは必須といえます。

クレジットヒストリーを積む

信用情報には、事故情報だけではなく、通常の利用・返済の履歴が掲載されています。
このような利用の履歴のことをクレジットヒストリー(省略してクレヒスとも)といいます。
審査の際にはクレヒスを確認して、計画的な利用ができる人か、返済ができているかなどを確認します。

ブラックリスト後はこれらの履歴が一切ない状態なので、大きな借り入れをするとどうしても審査の際に躊躇する原因となります。
まずは額の多くない携帯電話の分割購入や、キャッシング枠を0円にしたクレジットカードなど、審査に通る可能性が高いものを利用するところからはじめ、しっかりと利用・返済を重ねてクレジットヒストリーを積んでから大きなローンの申込みをしましょう。

ローンを組む際の「属性」を知ろう

ローンを組むときには、借り入れをする人がどのような人かという「属性」が審査されます。
アルバイトや契約社員よりも正社員の方が安定しているといえるので、返済をしてもらうことに対する期待が高いといえます。
同じ正社員でも半年しか勤務していない人と、10年勤務している人では10年勤務している人の方が、返済に対する高い期待を持てると言えますね。
自動車ローンにしても住宅ローンにしても、きちんと返済できるか?ということに対して様々な事情から判断しています。
外部に基準が公開されているものではありませんが、どうしたら返済をきちんとする人であるかを示せるか?ということを意識しましょう。

自己破産後のローンについて知る

自己破産後であることによって影響する事項を知りましょう。
まず、自己破産で免責の対象になった会社についてローンは組むことができません。ローンにあたって保証会社としてグループの消費者金融などが利用されることもあるのですが、こういった会社からの借り入れについて免責の対象となった場合も同様にローンを組むことができません。
また、上述した通り、事故情報が消えた後の信用情報は真っ白の状態です。
通常の生活をしていると、借金をしていない人でも、携帯電話の分割支払いや・クレジットカードの利用などを行っており、その履歴が記載されています。
こういった履歴がないのは、自己破産・任意整理・個人再生問わず債務整理や延滞があったという推測もできてしまいますので、大きな買い物をする前にこういった履歴を作ることも有効な場合があります。

まとめ

このページでは、自己破産後にローンを組むことができるのか、ローンを組むために必要な行動などについてお伝えしました。