未払いの残業代を支払ってもらう場合の細かい内訳はどうなっているのかを確認
ざっくりポイント
  • 残業代請求は給与の請求である
  • 割増賃金・利息・付加金などの内訳
  • 内容証明などでの記載方法

目次

【Cross Talk 】残業代の請求の細かい内訳は?

先日会社を辞めたのですが、残業代を一切払わない会社だったので請求をしようと思っています。なんとなくの金額を書いて請求しても払いそうにないので、詳しく内訳を書いて送りたいのですが、どのような費目があるのでしょうか?

未払い残業代分に加えて、未払い分にかかってくる遅延損害金や、訴訟になった場合には付加金を請求することになります。残業代は割増賃金で請求するのも忘れないでくださいね。

詳しく教えてください。

残業代は給与として発生しているものに遅延損害金をつけて請求する

残業代を請求する際にいくらの金額で請求するか、その内訳はどうなっているのでしょうか。
残業代請求というと、残業代を支払わない会社・使用者に対して特別な請求をするように思えるかもしれませんが、残業代自体は給与そのものですので、会社には賃金請求権を行使することになります。したがって、未払い残業代自体は給与の計算方法で計算し、さらに未払いである分について発生する遅延損害金についても請求をします。訴訟になった場合には付加金の支払を請求することもできます。

残業代請求は何の請求をするものか

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 残業代は給与
  • 未払い残業代には遅延損害金がつく

未払いの残業代はそもそもどんな内容の請求なのでしょうか?

未払い残業代の請求は、時間外労働に対する給与の支払を求めることです。給与が未払いになっているので法律の規定に従った遅延損害金と一緒に請求することになります。

残業代が未払いの場合に会社に請求する金銭の内訳はどのような形になるのでしょうか。

残業代は給与である

まず前提として、残業代がどのようなものかを確認しましょう。
残業代は、時間外労働に対する対価ですので、給与の性質をもつのです。
したがって、労働契約の定めに従い、働いた月の翌月の給与の支払い日に支払われるべきものになります。

法定労働時間を超えると割増賃金の請求をすることになる

法定労働時間を超えた時間を働いたときには、月60時間以内は25%・月60時間を超えると50%の割増賃金で給与を払わなければなりません。
残業以外に早出の場合も時間外労働に該当します。また、深夜残業になった場合には25%・休日労働の場合には35%を乗せて計算します。

遅延損害金・付加金を請求する

上述したとおり、残業代は給与(賃金請求権)です。
そのため、ある月に残業が発生した場合、給与が末締め翌月末に支払の場合には、残業代も翌月末に支払わなければなりません。

それにもかかわらず残業代を支払わなかった場合には、会社・使用者は従業員に対して給与の支払について債務不履行となります。
債務不履行があった場合には、遅延損害金を付けて支払わなければなりません。

労働契約や就業規則に遅延損害金を何パーセントにするかの記載があればこれに従うことになりますが、労働契約や就業規則で給与の支払をしなかったときの規定をすることはありません。
そのため、法律上の規定に基づき、遅延損害金の支払を求めることになります。

法定利息については2020年4月1日の債権法改正の流れの中で改正されているので、以下の利率となります。

2020年3月31日まで 商法の規定が適用されない場合 年5分(5%)
2020年3月31日まで 商法の規定が適用される場合 年6分(6%)
2020年4月1日から 一律 年3分(3%)

2020年の3月31日までの未払い分について、相手が株式会社であれば、商法の規定が適用されるので6%で計算をするようにしましょう。
この利率については「賃金の支払の確保等に関する法律」によって、会社を退職した後は14.6%の遅延利息になります。

例えば、2020年5月末で退職した場合には、2020年3月末までに支払をすべき給与については6%の利息をつけて、2020年4月から5月に支払うべきものについては3%の利息をつけて、2020年6月以降はすべて14.6%で計算をすることになります。

また、裁判所は使用者に対して「付加金」という金銭の支払を命じることができます(労働基準法114条)。
これは残業代請求の支払を裁判で行った場合に裁判所が支払わせるもので、裁判手続きを利用した場合の規定です。

ただし、付加金の支払が命ぜられるのは、残業代の未払いが相当悪質である場合に限られるので、残業代が支払われない時に必ず支払ってもらえるものではないことに注意をしましょう。

残業代請求の内訳をどのように記載するか

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 残業代を請求する際のそれぞれの内訳の記載方法

では実際に残業代を請求する際にはどのように記載をして請求しますか?

通常は残業代の金額と、支払日までの◯%の遅延損害金を付加した金額を支払えという内容で請求をします。

それでは、実際この残業代の内訳をどのような形で記載して請求するのでしょうか。

内容証明郵便などの書面

残業代を請求する際の方法について、法律で定められているようなものはありません。
しかし、通常は相手の会社の人事・総務・法務・上司・社長といった人が確認できるような形で請求します。

電話やSNSのメッセージなどで請求するのは得策ではありません。
そのため、書面で相手に通知して請求することが一般的です。
中でも、時効の完成を猶予する方法である内容証明郵便を利用するのが実務上の一般的です。
その、内容証明郵便では、次のような記載をします。

「金◯◯円(未払給与◯◯円・遅延損害金◯◯円)及び支払済みまで14.6%の割合による遅延損害金を本書面到達後◯日以内に下記口座に振り込む方法で支払うことを求めます。」

きちんと請求内容がかかれていれば、絶対こうでなければならないというものではありませんが、支払を求める金銭のみを書くのではなく、未払になっている給与がいくらか、いくらの遅延損害金の支払を求めるのか、合計いくらなのかを記載します。

訴え提起時

訴え提起時には訴状中の訴訟物の価額と請求の趣旨の中で、いくら払うかについての金銭の支払について記載します。
訴訟物の価額は、この訴訟での金銭請求の額で、いくらの印紙を張り付けなければならないか決めることになります。

そして、請求の趣旨のところには
「被告は原告に対し、金◯◯万円及び内金◯◯円に対する令和◯年○月◯日から支払済みまでの年14.6%の割合による金員を支払え」 という形で記載をします。

まとめ

このページでは、未払い残業代を請求する際の内訳についてお伝えしてきました。
未払い残業代は給与の支払を求めるものなので、支払われていない場合は遅延損害金の支払を受けることができます。
その請求をする際には、合計金額がどのような内訳で計算されたかも記載するように注意をしましょう。