半日有給を取得した場合に残業代の計算をどのようにするのか?
ざっくりポイント
  • 半日有給の取り扱いを知る
  • 半日有給の場合の残業代請求の計算方法を知る

目次

【Cross Talk】半日有給がある場合残業代はどのように計算するの?

私は勤めていた会社を退職することになりました。
残業代の支払いがみなし残業分以外になかったので、辞めた後に残業代の請求をしたいと思っているのですが、通院のためにちょくちょく午前の半日有給をとっていました。
その場合の残業代の計算方法を知りたいです。

半日有給の場合には、午後に残業をした場合でも8時間を超えていない部分については1.25倍しないで計算をします。

半日有給の場合の残業代の計算方法

残業を含む時間外労働に対しては、割増賃金の支払いが必要になります。残業をする場合には1日8時間以上を超えると1.25倍の倍率になります。
有給取得の方法として午前ないし午後のみ休むという半日有給(半休)という方法がありますが、この場合の割増の計算方法としては1日8時間を超える労働までは1.25倍する必要はないということを知っておきましょう。

半日有給の扱い方

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 有給・半日有給の基本的な仕組みを知る

そもそもですが、半日有給はどのような取り扱いになっているのでしょうか。

そうですね。まずは有給および半日有給の仕組みについての基本をおさらいしましょう。

有給の基本的な考え方

そもそも有給とはどのようなものなのでしょうか。
法律上正式には「年次有給休暇」といって、ご存知のとおり会社を休んでも給料をもらえる休暇のことをいいます。
休暇なので1日まるごと休むことができるのですが、1日休むのであれば半日・1時間単位で休みをもらってもよさそうですが、かえって会社が有給を利用する用途を労働者に聞いて
「そのような用ことであれば半日で充分」などと有給取得を制限しかねないので、有給は1労働日を単位としてとらせるというのが行政解釈とされています。

しかし、日本の有給取得率の低さから、有給の有効活用の一環として労働基準法39条4項にあるように、労使の間に協定がある場合には時間単位で有給を取得することは認められています。
半日有給(半休)については規定がないものの、会社が認めれば出すことができるという、有給の原則からはすこし外れた例外的な措置であるということを知っておいてください。
最近では役所の用ことや通院など丸一日かかるわけではない用ことのために有給を一日使うのはもったいないなど、実益を考えて半日有給を導入している会社は非常に多いといえます。

半日有給の取り扱い1:午前・午後で区分する

法律上の原則ではないため、半日有給の出し方も会社によります。
一つの方法としてはお昼休みを挟んで午前・午後という風に区分をして、午前・午後で区分けする方法です。

午前休とする場合には、午後が始まる13時からの出社ということになります。
明確ではあるのですが、例えば9時から18時が労働時間であり、お昼休みが12時から13時となっている場合には午前が3時間・午後が5時間となるので、午後休にしたほうが長くなることになります。

半日有給の取り扱い2:所定労働時間を半分で割る

均等に計算をすることを考えれば所定労働時間を半分で割る方法が考えられます。
9時から18時が労働時間で12時から13時が昼休憩である場合には、労働時間は8時間になりますので、午前休とする場合には14時に出社して18時まで仕ことをする、ということになります。

このようにすれば、始業時刻が午後1時間経過してからにはなりますが、午前休・午後休でも休みになる時間は一緒になります。
労務管理が容易になった昨今では、このような形で有給を付与する会社も増えております。

半日有給制度の残業代計算について

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 残業代の支給はある
  • 割増賃金は1日8時間労働を超えてから

では、午後14時から勤務をはじめて、午後20時まで働いたとします。
そもそも午前休の半日有給をもらった場合に残業代はもらえるのでしょうか、またその場合、割増賃金の計算はどのようにすればよいのでしょうか。

半日有給の場合にも残業をすれば残業代はもらえます。
この場合8時間以上の労働をした場合にはじめて1.25倍の割増になると考えるので、18時から20時までの残業は1.25倍するのではなく1倍で計算をしてください。

半日有給をした場合に残業代を受け取ることはできるか

半日有給をした場合に残業代を受け取ることはできるのでしょうか。
この点については、半日有給を取得したからといって、残業代支給の対象にならないというわけではありません。

半日有給の場合を考えますと、午後休にした場合には残業をすることは少ないので(早出の上で午後までに切り上げれば残業と同様に時間外労働の対象となります)、残業するとなると午前休で午後からの勤務によって生じることが多いと想定されます。

相談者様のように9時から18時までの勤務になっている時に、午前休で午後20時まで勤務した場合には2時間の残業が生じており、これに対しては残業代の支払いが必要になります。

残業代の計算方法は?

残業代の計算については、通常残業をすると、「(1時間あたりの賃金×残業時間)×1.25」という割増賃金で計算するという覚え方をしている人も多いかもしれません。

しかし、1.25倍をするのは週40時間・1日8時間を超える場合にのみ計算するのであって、半日有給を取得している場合には8時間を超える労働をしているものではないため、1.25倍の割増賃金を支払う必要はないことになっています。

そのため、9時から18時までが拘束時間となっており、休憩が1時間であるような場合に、午前休を取得して14時に出社して20時まで働いた場合には2時間残業したことになりますが、この部分については1.25倍をしないで計算をすることになります。

これが同じく午前休を取得して14時に出社して24時まで働いた場合には、22時までの八時間分については割増をせずに、22時から24時について時間外労働にあわせて深夜労働として1.5倍の割増賃金を受け取ることができるようになります。

まとめ

このページでは、半日有給の取得と残業代の計算についてお伝えしてきました。
半日有給というものがどのように扱われているかと、半日有給時の残業代の計算方法について知っていただけたと思います。
残業代の計算は細かい規定も多く、正確な金額の算出をするためには労働基準法などの基本的な考え方に通じていないと難しい場合も多いです。
弁護士に相談するなどして、確実に残業代を請求できるようにするのが、賢い残業代請求の方法といえるでしょう。